【感想】習近平 なぜ暴走するのか

矢板明夫 / 文春文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • mysterymanbo

    mysterymanbo

    まえがきの毛沢東の秘書や党内の重要ポストを歴任し、今は隠居の身の元共産党最高幹部の話が面白い。
    「人類を進歩させるものは4つある。民主主義、法治、科学、改革だ。逆に進歩を邪魔し後退させるものは、独裁、人治、愚昧、革命だ。毛沢東は後の4つすべてをやって大混乱を招いた。次の鄧小平は毛沢東の失敗を踏まえ2つを変えた。愚昧ではなく科学、革命ではなく改革に力を入れ経済成長させた。しかし、独裁と人治は継承した。その後の江沢民、胡錦濤、習近平は鄧小平が描いた欠陥のある設計図の実行者でしかない。しかも、残念ながら、政治家としての魅力も実力も能力もだんだん小粒になっている」民主主義がいいのはわかってるんだネ。
    意外だったのは、絶大な権力者という印象の強い習近平は実は歴代でもっとも求心力の弱い最高指導者だったこと。
    本書は、習近平がポスト胡錦濤に選ばれた理由、習近平の人間像、これからの中国について展望する。
    巻末の101人の重要人物事典もありがたい。
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    投稿日:2023.06.04

  • 1440612番目の読書家

    1440612番目の読書家

    共産党の権力闘争は異常に激しく命懸けである。毛沢東と対立した劉少奇は、田舎に帰り農家となったが軟禁先では入浴も散髪もできず、医師から暴言暴行を連日受けて死んだ。毛沢東の指示と思われる。
    天安門事件は趙紫陽が院政を敷く鄧小平を倒すため民主化デモを利用した側面がある。
    毛沢東は政権は銃口から生まれると言った。軍事部門である共産党人民解放軍を掌握することは中国のトップにとって必須である。
    習近平の父は共産党幹部の改革派であったが、文革時投獄経験のある改革派だった。近平は文革時農村での農作業を経験しており、逞しくなったと評される。
    表向きは一流大学卒化学専攻となってるが、実態は中卒程度の学歴である。
    ソ連でも中国でも最高指導者には理系出身が多い。文系出身者はマルクス主義は学説の一つと知ってるが理系は知らず、何の抵抗もなく党の指示を素直に受け入れるためである。
    江沢民の反日教育により若者層は日本に対し敵対心を強く持っており、習近平も基本的に対日対米強硬路線である。
    胡錦濤政権では温家宝首相という改革派がいたが、習政権ではみな保守派である。
    毛沢東、鄧小平は革命戦争を勝ち抜き、誰にも似ていない数奇な人生を歩んだカリスマ性があった。90年代以降の中国指導者にはそれがなくなり、習近平も共産党派閥の妥協により総書記となった人である。
    趣味はサッカーと囲碁である。
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    投稿日:2022.01.16

  • parupito

    parupito

    「習近平 なぜ暴走するのか 矢板明夫 文春文庫 2014年 古本110円」産経だし文庫だしまあ批判するだけのとんでも本かなぁと読んだら習近平の詳細な背景が書かれていて、物凄く読み応えがあって最後まで読んだ。参考文献もしっかりしてるし残留孤児なので半分中国人だから深みがある。現台北支局長。続きを読む

    投稿日:2021.12.13

  • 源氏川苦心

    源氏川苦心

    文字通り中国の最高指導者の習近平国家主席の半生を描いた一冊。同時に、中国の知られざる政治状況も解説してをります。まあ「知られざる」といふのは、単にわたくしが無知なだけかも知れませんが。

    三部構成です。第1部(第1章~第6章)は「習近平はなぜ選ばれたのか」。
    前任の胡錦涛が退任した時、習近平は党内序列は6位。しかし上位の人物が定年(かつては共産党のトップは終身制といつてよいほど権力にしがみついたものですが、現在は定年制が定着したといふことです)などで次々と表舞台から消えたのであります。
    で、習近平に権力の座が転がり込んだやうです。太子党と呼ばれる一大派閥の一員であつたこともその要因であらうと述べてゐます。いづれにせよ権力闘争は水面下で行はれてをり、その詳細は分かりません。

    第2部(第7章~第12章)は「謎に満ちた習近平の人間像」。
    父・習仲勲の影響が色濃く出てゐるさうです。習仲勲は党内では中中の実力者だつたのですが、一冊の小説本で、政敵から名指しで批判されたことをきつかけに失脚します(後に復権)。
    習近平は若い頃、農村で相当な苦労をして地元の支持を得ます。この時の苦労話はちよつと同情しちやいますな。ちよつとだけど。しかし所詮はお坊ちやんさといふ声もあつたとか。

    第3部(第13章~第17章、文庫版新章)は「習近平時代の中国はどうなるのか」。
    習近平総書記には課題が山積してゐます。軍の掌握、少数民族問題、言論統制の限界等等。国民からその目を逸らせやうとの意図か、対外的には強硬な姿勢を貫いてゐます。
    スプラトリー諸島(中国名・南沙群島)に於ける振舞なんかが一般的に知られてゐます。国際的な判断が示された後でも無視するありさま。
    日本の排他的経済水域への侵入や沖ノ鳥島周辺で勝手に海洋調査をしたり、とにかくやりたい放題。わしらは世界第二の経済大国だぜ、何か文句あるか、てな感じですかな。
    国内向けには「反腐敗キャンペーン」を張り、国民にアピールする。もつとも、中国の政治家はほぼ例外なく腐敗に染まつてをり、習近平自身も同様であります。単に政敵を排除しやうとの目的なのですが、そんな事情を知らぬ庶民は、習近平に喝采を送つてゐます。
    習近平時代に中国は崩壊するかどうか。そもそも中国崩壊論は30年前くらゐから言はれて、結局崩壊しません。まあ当分はこんな状態が続くのでせう。

    著者は、習近平を、歴代の中国最高指導者の中でも、最も実力のない人物と、屡々述べてゐます。確かに過去の政治家人生を顧みても、これといつた実績はないのです。その実力のなさを糊塗するかのやうに、暴走を続けるのだと評してゐます。
    うーむ、さうなのか。一度権力を握れば最後、実力がなくてもやりたい放題が出来るのですな。
    いやあ、改めておそがい国だと認識した次第であります。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-788.html
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    投稿日:2019.05.29

  • ウッサン

    ウッサン

    中国はやはり奇奇怪怪、理解し難い。共産党幹部の蓄財はすさまじい。日々労苦の労働者諸君、身を粉にして、党を利するか!働かざる者食うべからずだ。

    投稿日:2016.06.13

  • zhongxia

    zhongxia

    偉大な指導者なのか、それとも・・・
    まだ評価するには早いが。
    私にとってはまだまだ得体のしれない人物だ。生い立ちなどがわかるし、入門としてはいいかも。

    投稿日:2015.05.16

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