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高橋克彦 / 角川文庫 (2件のレビュー)
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tikuo
幕末の佐賀の医者で蘭学者であり、泣き上戸の佐野栄寿は、破門を気に京都に上り、佐賀藩に大砲と蒸気船を作るべく、人材を集める。 狙ったわけではないが、ちょうどテレビでも話題になっている、日本初の反射炉を…活用しようという話である。また、個人的に最近佐賀に縁があるので、まさかそちらの話と思わずに手にとった。 また、高橋克彦の十八番である東北(主に岩手)出なかったも以外な展開である。いずれ東北に行くのであろうと読んでいたが、全く行かない。 さて、佐野氏については詳しく知らなかったのだが、2章からはなかなかに行動力があり、ハッタリをかます大人物で、冒頭の泣き虫の何もできないキャラとは予想ができない展開を見せる。また、各登場人物で、絶妙としか言えないタイミングでイベントが起こるため、飽きさせない。 ちょっと面白いのは、著者が資料を著者目線で解説し、「…といわれているが、史実とは異なるのではなかろうか」というツッコミを入れている部分が多々見られる。 佐賀藩に戻ってからは、幕末の開国、安政の大獄などの解釈の難しい事件が立て続けに起こるため、蒸気船や反射炉そっちのけになってしまっているのは少々残念である。 日本赤十字を起こした佐賀藩の先進性も読みどころだが、「大砲の構造は完成されてしまって、150年は進歩がない」など、当時の技術の問題点をザクザクと指摘しているところは、なかなか痛快である。続きを読む
投稿日:2019.09.05
todo23
一般的にはミステリー作家に分類されるのかもしれませんが、私にとって高橋克彦といえば「炎立つ」。なかなか重厚な作品でしたが、本書も本格的な歴史小説です。 佐賀・鍋島藩の幕末での独自の技術革新は有名です…が、そこに焦点を当てた作品は初めてです。なんと言っても「からくり儀右衛門」や「加賀の弁吉」などが活躍するのが嬉しい。 からくり儀右衛門は、先日HPで話題になった「弓射り童子」の作者ですし、弁吉については、読了直後にテレビ番組で日本の写真創始者として紹介されていました。悪く言えば物まねからスタートし、器用さで本家を凌駕していく日本の技術者の典型みたいな人です。 なんだか、読書感想とは違うものになりましたが、なかなか面白い作品でした。 続きを読む
投稿日:2017.11.08
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