【感想】水の炎

松本清張 / 角川文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
1
2
3
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • てつ

    てつ

    松本清張といえば、社会派推理や古代史を扱った作品が多いが、本作はそれらと異なるジャンルに属する。
    ひとことで言うと、欲望と野心の固まりであり家庭を省みない夫に苦悩しながらも、美しく健気に生きるヒロインの姿を描いたロマン小説。
    東都相互銀行の若手常務で野心家の夫である塩川弘治との生活に心を満たされぬ信子は大学の通信教育を受け、独身教授浅野を知る。浅野は信子の知的な美しさに心惹かれ、彼女に愛を告白する。だが、信子はその激しさにたじろぎ、次第に距離をおくようになる。ところが、夫は、愛人を利用して、信子が浅野と不貞を働いているかのように、二人の接近を画策する。彼は実業界への飛躍を図ろうと、その元手を信子の実家から借りるが、信子の不倫をでっち上げることで、その借金を棒引きにしようと企てたのである。
    家に縛られ、夫に尽くす、世間の目を気にする・・・相当古い時代背景の小説ではあるが、サスペンスの要素もあり、それなりに楽しめた。妻の気持ちや人権を踏みにじり、愛人を操り、野心達成のため手段を選ばぬ悪辣な塩川。そんな彼の成れの果ての姿に対し、自らを見つめ直した信子が最後に見せた毅然とした態度には思わず「よくやった」と拍手を送りたくなった。
    続きを読む

    投稿日:2021.11.17

  • minerva-48

    minerva-48

    相互銀行の設立者の息子で、その野心家で妻を顧みない夫、その夫と親の勧められるままに結婚した若き妻、その妻が通信教育のスクーリングで出会った若き大学助教授、そして、相互銀行の息子をたぶらかす新興企業の面々。続きを読む

    投稿日:2020.08.01

  • まるたま。

    まるたま。

    面白かったけれど、弘治のように、無茶に無茶を重ねていくのを見て、絶対しっぺ返しがくるぞ、と思ったらその通り。
    或る程度展開は読めた。

    投稿日:2017.09.11

  • kei_m

    kei_m

    野心家の若手銀行役員と形だけの結婚生活を続ける美しい妻・信子、リゾート開発会社への出資を目論む夫は・・・。
    信子は28歳というが、現代の女性に比べればものすごく大人。今の感覚からとすれば信子の行動は歯がゆく感じるが、意思の強いきっぱりとした女性である。
    ろくな男が出てこない小説であった。
    (電子書籍 Reader)
    続きを読む

    投稿日:2015.05.24

  • マタン

    マタン

    松本成長の得意な鬼畜男、が出てくる作品。
    それと対比するように美しい花のごとき
    女性が出てくるのです。
    ちなみにそれが、鬼畜男の妻。

    彼女は有無も言わさず
    鬼畜男の陰謀煮から娶られていきます。
    そしてその中では想っていた人の
    死すらあるのです。
    もし彼女に「決断力」があったら…

    ただし、この鬼畜男に
    最悪の制裁がくるのは
    まさに爽快そのもの。
    諸悪がきられていくそのさまは
    まさに「爽快」
    続きを読む

    投稿日:2012.08.01

  • ionantha

    ionantha

    松本清張『水の炎』も読了。夫婦それぞれの気持ちの変遷に、融資だの起業だの愛人だのが絡んでくる。有名どころの(これも有名?)清張ミステリとはちょっと毛色が違うけれど、いろんなところに散らばるハラハラ感がたまらん。最後の一文に出てくる「正確に」という言葉に、なんかシビレた。続きを読む

    投稿日:2012.02.28

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。