【感想】ベンジャミン・バトン 数奇な人生

フィツジェラルド, 永山篤一 / 角川文庫
(51件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
6
7
20
5
3

ブクログレビュー

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  • mario13

    mario13

    このレビューはネタバレを含みます

    令和の時代にはギャップを感じる考え方が多くやや暗くなった。
    見かけ70歳の子供が生まれたらショックだろうけど、自分の子をさけずむ、周囲の人々も(病院でさえ)陰口を叩く。子供自身も生まれたことを歓迎されていないと気づいているなんて、ベンジャミンに同情した。ここの辺りの描写が一番辛く、読むのをやめようかと思った。
    今の時代なら相談窓口があったり、周囲ももっと多様性を認めてくれそう。

    ベンジャミンは見た目年齢を認めくれた、若く美しい女性と結婚するのだが、
    妻と見た目が逆転すると、妻を疎ましく思うのだ。
    すっかり同情できなくなった。
    今が楽しく、過去の苦労や感謝なんて忘れてしまうのだ。

    そして赤ちゃんとして亡くなる。

    40代で経営するくらい会社を大きくしたり、見た目20代の時に大学に入り、アメフトで活躍したり、孫と遊んだりと、充実した期間もあった。

    人生の充実感は、感謝を忘れては得られない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.03

  • しあす

    しあす

    マイベスト映画の原作を読んだらベンジャミン生後すぐに喋り出して笑った。気性も人格も荒々しめで驚いた。これはこれで勿論よいがあれだけ人生の無情と刹那を表現したデヴィッドフィンチャーってやっぱ凄いと思った続きを読む

    投稿日:2024.02.27

  • パリの雨音

    パリの雨音

    老化とどうつきあうかは、問題で、老人と海(ヘミングウェイ)なんかも、幸せだったかどうかなどいまさらどうでもよくて、逆を向かないそれとどうつきあうかかな?このベンジャミンバトンも、少し違うが、バルザックの不老長寿薬みたいなところを思わせてくれる。この三作を合わせ読むといいかもしれない。続きを読む

    投稿日:2024.02.03

  • ミイ

    ミイ

    ブラッド・ピット主演の映画にもなった表題作を目当てに読んでみましたが、この話は驚くほど短い。50ページくらいしかない。
    「最後の美女」や「異邦人」もそうですが、一見すると突拍子もない設定や、華やかそうなキャラクター設定でも、読んでみるとその中身はかなりあっさりというか刹那的な感じ。
    自分にとって良い場所や良い時間というのは想像以上に限られていて刹那的ということかな。
    続きを読む

    投稿日:2023.01.10

  • じゅう

    じゅう

    「F・スコット・フィッツジェラルド」の短篇集『ベンジャミン・バトン 数奇な人生(原題:The Curious Case Of Benjamin Button)』を読みました。

    たまにはファンタジーもイイかなぁ… と思い、買っちゃった作品です。

    -----story-------------
    歳を取るごとに若返り、0歳で生涯を終えた男の物語。
    老人として生まれ、若者へと時間を逆行して生きる「ベンジャミン・バトン」。
    しかしその心は同世代の人間と変わらず、青春時代の苦悩や恋愛や結婚を経験し、戦争などの逆境に果敢に挑んでいく。
    不思議な人生を歩みつづける彼を、最後に待つものは…(『ベンジャミン・バトン』)。
    20世紀を代表する伝説的な作家による、ロマンあふれるファンタスティックな作品を集めた傑作選。
    -----------------------

    以下の7篇を収録した作品です。

     ■ベンジャミン・バトン 数奇な人生(原題:The Curious Case Of Benjamin Button)
     ■レイモンドの謎(原題:The Mystery Of The Raymond Mortgage)
     ■モコモコ(シャギー)の朝(原題:Shaggy's Morning)
     ■最後の美女(原題:The Last Of The Belles)
     ■ダンス・パーティの惨劇(原題:The Dance)
     ■異邦人(原題:One Trip Abroad)
     ■家具工房の外で(原題:Outside The Cabinet-Maker's)
     ■訳者あとがき
     ■解説 小山正


    『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(1922年初出)は、老人として生まれ、若者へと時間を逆行する男「ベンジャミン・バトン」の物語、、、

    ファンタジーとはいえ、設定があまりにも奇抜で感情移入できなかったなぁ… 人生について考えさせられる寓話なんでしょうが、この作品に入り込むためには想像力が足りなかったですね。

    独特で不思議な読後感はありますが、消化不良な感じです。


    『レイモンドの謎』(1909年初出)は、「レイモンド家」の娘と使用人が殺され、夫人が行方不明になるという事件を描いた物語、、、

    軽く読めるミステリとして愉しめました… 新聞記者「ジョン・サイレル」の推理が冴えますが、ちょっと出来過ぎな感じがありましたね。

    「フィッツジェラルド」が13歳のときに描いたデビュー作?で、中学校の校内誌に掲載された作品らしいです。


    『モコモコ(シャギー)の朝』(1935年初出)は、モコモコの毛をした犬「シャギー」の視点で一日が描かれる物語、、、

    微妙な感情が理解できないので、仲間の死や人間の行動が淡々と描かれているのが興味深かったですね。


    『最後の美女』(1929年初出)は、第一次世界大戦の最中、ジョージア州の田舎町タールトンにやってきた若い兵士「アンディ」と、町の数少ない若い女性のひとりで南部育ちの美女「アイリー」の恋物語、、、

    青春小説、恋愛小説ですが、読後に残るのは喪失感… 切ない物語ですが、男性遍歴を繰り返す「アイリー」には感情移入できなかったなぁ。


    『ダンス・パーティの惨劇』(1926年初出)は、南部の田舎町デイヴィスで起きたダンスパーティーでの殺人事件を描いた物語、、、

    被害者の「マリー」は、浮気現場を目撃された直後に何者かに射殺されていた… 婚約者の「チャーリー」が容疑者として浮かぶが、実は浮気相手の彼女が。

    なかなか印象的な短篇ミステリに仕上がっていましたね。


    『異邦人』(1930年初出)は、アメリカからヨーロッパにやってきた若夫婦「ニコール」と「ネルスン」の夫婦関係を描いた物語、、、

    旅を重ねるうちに二人の関係は徐々に荒んでいく… 不気味なラストが印象深く、寂しくてやるせない結末でしたね。


    『家具工房の外で』(1928年初出)は、家具店の軒先の車中で妻の買い物を待つ父親と娘のファンタジックな物語、、、

    目の前の街並みを舞台にして即興で物語(おとぎ話)を紡いでいく展開が素敵でしたね。

    ファンタジーとして愉しめる小品でした。




    ファンタジーを期待して買った作品ですが、意外や意外… ミステリの方が印象に残りましたね。
    続きを読む

    投稿日:2022.08.20

  • yuko-romarin

    yuko-romarin

    「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
    老人の姿で生まれ、年を重ねるごとに若返っていき、赤ん坊の姿で亡くなる1人の男の物語。

    「レイモンドの謎」
    フィツジェラルドが13歳の時に書いたミステリー。ミステリーの完成度は低いけど、普通の中学生が書いたのなら、まずまず。

    「モコモコの朝」
    犬の目線で語られるある日の朝。

    「最後の美女」
    兵役で南部のある町に滞在した男が密かに想いを寄せる美女の恋愛遍歴。

    「ダンスパーティーの惨劇」
    主人公は家の都合で北部から南部に移住してきた少女。町の若者の中で唯一大学を出ているインテリア青年を好きになるが、彼には婚約者がいた。なので、町を出ようと決心した。

    町を出る2日前に開かれたダンスパーティーに参加した。そこで彼の婚約者が別の男とキスしている現場を目撃してしまう。パーティーもたけなわの頃、銃声が轟いた。彼の婚約者が射殺され、アリバイのない彼が容疑者として浮上するのだが…

    「異邦人」
    他人との付き合いが煩わしく、でも二人きりの生活も退屈して住まいをころころ帰る若い夫婦の話。

    「家具工房の外で」
    母親が買い物している間にふと見た景色から御伽噺を展開させる父親と幼い娘。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    個人的にダンスパーティーの惨劇が良かった。こちらはミステリーとしての組み立てもしっかりしていて犯人が誰か?だけでなく動機や殺害方法も納得の行くもの。

    異邦人はフィツジェラルド自身と妻のゼルダをモデルにしてるんじゃないかな?という気にさせられた。

    私もギャッツビーしか読んだことがないけど、純文学だけでなく、こういうエンタメも書いていたんだ!と新鮮な驚きがあった。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.01

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