【感想】鳩の栖

長野まゆみ / 集英社文庫
(98件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
39
23
23
2
0

ブクログレビュー

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  • 23

    23

    このレビューはネタバレを含みます

    2021/03/28 読了。
    感想は某所のブログで書いたものの再掲です!


    ・長野まゆみ著『鳩の栖』を昨日読み終わりました。電車乗るときにちまちま読み進めてたので、そこそこの時間をかけて…… 中学生の少年が主人公の短編オムニバス。長野まゆみ…… 嫁を亡くした義兄と嫁の弟の関係が好きすぎるだろ。『レモンタルト』なんか一冊丸々そうだったし、『鳩の栖』では『紺碧』『紺一点(紺碧の続編)』に出てきた。



    ・長野まゆみ、作中で少年(青年)が同性の人物に心惹かれることが多いのだけど、その感情が恋であるかというのは明言されないことも多い。私はそういう感情の曖昧さも大変好みでして…… 『紺碧』『紺一点』で感情の明言がされていなかったんですが、主人公(浦里亨とおる)と仲の良い、楽天家で活発な真木くんの存在がかなり良い。

    ・亨くんは姉夫婦と同居していたのだが、姉が亡くなって以来義兄と二人暮らしをしている。姉を亡くしてから近くに住む叔父が自分を引き取ると言っているが、叔父の家には苦手な叔母と従兄弟がいるため、亨くんはまだ決めかねている様子。亨くんの義兄である来島さんは亨くんの学校で教師をしており、ちいさな田舎町で若くして配偶者を亡くした彼は再婚の手立てをいろいろな方からされるのだが、なんやかんや断り続けている。そんな来島さんに亨くんがほのかな好意を寄せていることに真木くんは気づいている。



    ・なんやかんやあり、来島さんは別の学校へ転任することになってしまう。新しい家は今の住居より狭く、亨くんはやむなく叔父の家に行くことにする様子。そんな事情を知った真木くんは、もう兄さんに迷惑はかけられないから、と煮え切らない亨くんに義兄についていくことをけしかける。

    「浦里は、自分の気持ちをごまかすのかい、」
    「おれは、浦里のことが好きだからわかるんだよ。来島と離れることなんて、できやしないのさ。それだけは、自分のことみたいに、はっきりわかるんだ。」

    ・ま、真木~~~~~!!!

    ・真木!おまえってやつは! おまえというやつは!

    ・真木~~~!!

    ・真木くんと亨くんは頭のいい男子校に一緒に進学するのだ。真木、おまえというやつは。

    ・しかも、真木くんは亨くんのごはんを食べながら「浦里、おまえ旦那をもらうなら無口な奴といっしょになっちゃ不可いけないぜ。すぐケンカになる。陽気で口上手の旦那にしろよ」とか言ってしまう。

    ・真木よ、どっちなんだい。おまえは亨くんとどうなりたい。おい。となり、長野まゆみに感謝をした。

    ・ハア……ハア…… 長野まゆみを読むと、文体のうつくしさ、物語のはかなさに反して感情がめちゃめちゃになってしまう。レモンタルト、読み直したいな。

    ・前述どおり、レモンタルトも義兄と弟の話なんだが、こちらは完全に恋の話になる。「もう、ずっと前から義兄あにのことが好きだった」という帯、作中にも出てくる一節なのだが、この文が出てくる瞬間が本当に良い。長野まゆみよ、ありがとう。



    ・長野まゆみの少年・青年愛が本当に好きなんだよな。私のオススメは青年愛では『レモンタルト』、少年同士のラブでは『ぼくはこうして大人になる』です。これらでneeの趣味がわかる。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.06.19

  • towa

    towa

    長野まゆみが描く少年像はどれも儚く理想然としていて涼しげ。
    単純に憧れるし、美しいと思う。
    表題作と『紺碧』『紺一点』が好きです。

    投稿日:2021.11.30

  • みぃ

    みぃ

    懐かしさを感じながらも、情景が浮かぶような温かさもあり、そんな中で登場人物の気持ちが自然と伝わってくるような短編集でした。
    ヨーグルト食べたくなった

    投稿日:2021.05.06

  • 橘

    素敵な空気です。落ち着いてて清々しくて。
    少年たちに気品が感じられるところか大きいなあ、やはり。
    「鳩の栖」「紺碧」「紺一点」が好きです。
    浦里と真木は続きがあったはずなので楽しみです。

    投稿日:2020.04.10

  • 菓子パン

    菓子パン

    初読みの作家さん。結論から言うとドンピシャにタイプの文章。シンプルで静かだけど、その中にも美しさが垣間見えるような言葉遣い。国語の教科書に載ってそうな、読解問題向けの短編集だけど普通に趣味で読む分にも楽しいので、こういう物語に学生時代に出会えていたらよかったのになーという感じ。
    本作は表題の「鳩の栖」以外にも中学生の男の子が主人公の短編が4作ある。作者のあとがきにも書いてあるように、この本は「騒がしい思いに駆られがちな年齢の彼らの、静かな部分を描いて」いる。大人に比べればまだ不自由な身で、どこか不器用さが残る少年たちの心の奥を描いた、四季折々の物語。友や家族との死別、複雑な家族構成など、様々な境遇の彼らが何を思い、どう進むのかを繊細に描いているのが好きだな…
    中でもお気に入りは「鳩の栖」と「紺碧」。病で伏せている至剛のために水琴窟を鳴らす操の描写が愛おしい。「紺碧」では真木のキャラクター性が好きだった。おちゃらけていて自分の弱さを決して見せないけれど、友達の亨には真摯に接する姿がかっこいい。
    続きを読む

    投稿日:2020.01.18

  • imemuy

    imemuy

    長野まゆみさん2冊目。素朴な単語の全てが味わいがあり美しく、梨木香歩さんのような温かみがありレトロで不思議な雰囲気が出ている。
    ファンタジックかと思いきや、繊細な血の繋がりとひそやかな少年愛のようなものを感じた。続きを読む

    投稿日:2019.08.17

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