【感想】エピソードで読む西洋哲学史

堀川哲 / PHP新書
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
1
5
1
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • medamaoyaji

    medamaoyaji

     ウワサ話のようなエピソードを中心として、25人の哲学者の思想を簡単に披瀝してくれる秀逸な本。文章も上手い。このまま25コマの講座として使える。

    投稿日:2018.11.04

  • ー

    近代から現代までの主要な哲学者の一部について人生史と哲学にわけて書かれた読本。
    哲学者の項末に参考文献を上げてあるのが助かる。
    哲学も詩と同じく言語化された思惑や思想の源にはその人の生きてきた中で培われた人生観や世界観が影響しているのだなと思った。
    中世の学者の生活様式や経済事情などが識れてよかった。
    続きを読む

    投稿日:2016.09.10

  • ragrag

    ragrag

    「エピソードで読む」というタイトルがちょっとチープなので、単なる雑学本だったらつまらないなと思いつつ、飛行機の中で読もうと思って取っておいたのですが、結構、面白かったです。よくこれだけ哲学者の私生活に関するエピソードを集めたものだと。フランスのサロンが哲学者の交流に果たした役割、哲学者を取り巻く(今から見れば)滅茶苦茶な男女関係、学者にとって貴族の子弟の家庭教師をすることの意味、貴族の子弟のグランドツアーの意味、ナチスによるユダヤ人迫害とアメリカにおける哲学など、哲学者達の思想を形作った時代背景がよく分かりました。
    ザックリと全体の流れを言いますと、巨大河川の流域で生まれた文明がギリシャやローマなど地中海地域で進化し、ローマ帝国が誕生し、やがて中世封建社会になり、西欧で近代資本主義社会が生まれた。この西欧文明がキリスト教と共に世界に拡大し、日本も含めて世界は西欧化を目標にするようになった。こうした歴史観を哲学に持ち込んだのがヘーゲルで、このヘーゲル主義から神をカットするとマルクス主義になり、更にマルクス主義もカットすると、所謂「歴史の終焉」に至るということです。
    近代哲学については、18世紀末から19世紀初にかけて三人の哲学者、イギリスのスミス(「国富論」1776年)、ドイツのカント(「純粋理性批判」1781年)、ヘーゲル(「精神現象学」1807年)によって整理統合されたが、この時代に資本主義がヨーロッパ全体に広がったことを背景に、その後の哲学者にとっては、宗教や自然科学だけでなく、経済学が必須科目になっていったということです。哲学者にはかなり年齢を重ねてから大成した人が多いですが、その理由がよく分かりました。
    続きを読む

    投稿日:2013.08.15

  • henahena1

    henahena1

     社会科とか倫理で習ったデカルト、ホッブズ、ロック、ニーチェ、フロイト、ウィトゲンシュタインなどの著名な哲学、倫理学、心理学の巨人を取り上げ、生い立ちや思想の背景にあるもの、思想自体の解説が書かれている。
     高校の時は倫理が好きで、いろんな思想を知ることが面白かったからだが、結局はキーワードの暗記がメインで、「カント・純粋理性批判・悟性・格率」とかなんとか覚えて実際よく分からないまま終わってしまっていた。この本では、例えば「ギャングに追われた友人をかくまったときどうするか」で、絶対善を求めてうそをつかずに「いる」と答える方が正しいとカントは言ってるんだよ、でもおかしいよね、だからカントは挫折して、この世には道徳の絶対基準なんかないよね、ということになる。のように解説されており、読みやすいし面白い。著者の文才が光っていて、飽きずに読むことができる。社会契約説のところでは、「国家のために生命を賭けて戦う倫理的義務はあるのか」といった話が面白かった。実存主義って倫理で習った時にはかっこいいとか思ってたけど、なんか変な人たちばっかりだな、という印象。とにかく、哲学や思想に興味のある人なら飽きない本だと思う。「読書案内」もついているので、この後本格的に勉強する人にも役立つのではないだろうか。(13/06/08)
    続きを読む

    投稿日:2013.06.08

  • lmndiscrm

    lmndiscrm

    このレビューはネタバレを含みます

    文体が面白かった、し、おおざっぱとはいえ、どなたがどんな考えを持っていたか、ということは把握できた。
    ヒューム、アダム・スミス、マルクス、ニーチェあたりが特に印象に残った。

    あと「読書紹介」みたいなコーナーは、とても助かる

    レビューの続きを読む

    投稿日:2012.06.10

  • polyhedron

    polyhedron

     デカルトから現代まで,後世に名を残した哲学者たちの人生と思想について,平易な文章でまとめている。人間とは何か,いかに生きるべきか,真理とは何か,そもそも認識とは?…,とかく思想・哲学というものは,不必要に高尚でとっつきにくいと感じてしまうが,それを生み出してきた人物の生涯や歴史の動きとあわせてみていくととても面白い。世界史の歩みは良くも悪くも西洋が牽引してきたから,西洋のものの考え方をたどることは世界史を理解する鍵にもなる。本書では,各思想家のエピソードに重点をおいて読者の関心を保ちつつ,それぞれの哲学のポイントもしっかり解説。
     人物のエピソードについての感想だが,やはり哲学者って変わり者が多い。思索の邪魔なのか生涯独身がやたらと多く,妙なコンプレックスを持っていたり,強い自殺願望があったり。発狂して廃人になるのも,かえって哲学者として箔が付くくらいの雰囲気。幸せな人生を送った,なんていうのは皆無といってもいい。人間あまり深くものを考えるとろくな事がないようです。仕事や子育て,日常の雑務に追われつつ,たまに本を読むくらいが最も幸せな人生かもしれないな。
     どうでもいいことだけど,この本でひとつ気になった点。各思想家について,まず国籍や生歿年等の基本データに触れているのだが,ここで「享年七十九歳」等とやってるところ。天より享くる年七十九,なのだから「享年七十九」ですよね。「とし」が重複です。そして読みは「キョーネンシチジューク」でなくては。「ナナジューキュー」では締まりがありません。吉良邸に討ち入った「四十七士」は「シジューシチシ」で,「ヨンジューナナシ」ではおかしい。7×7=49は「シチシチシジューク」,まず「ナナナナヨンジューキュー」とは言わない。こういった数字は音読みのほうが歯切れが良く,声をだして唱えるにはもってこい。
    続きを読む

    投稿日:2011.10.26

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。