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久米郁男 / 有斐閣 (20件のレビュー)
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総合評価:
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shinano
【星:3.0】 私には読むのが早すぎたかもしれない。正直あまり頭に入ってこなかった。 サブタイトルに「政治分析方法論のすすめ」とあるが、この本は一般的な「因果推論」について語られており、具体例として…政治の話は多いものの、決して政治分析方法論に限定された内容ではなかったと思う。 いずれにしても私には難しかった。続きを読む
投稿日:2024.01.03
暖かい頬
具体例が多く分かりやすいが、分かった気になってしまうところがある。いざ自分で実践する時には、分かった気になっていたところが分からなくなる。
投稿日:2022.08.07
中尾
選挙や民主化などを題材にした、統計的手法を用いた因果推論についての本。この手の本は色々読んできたが、これが一番良い。自分が政治学を勉強したきたこともあって、すごく読みやすかった。 1章 説明の枠組み… フォアボールを出すくらいなら、打たれた方がましなのか? 日本において国政選挙より、地方選挙の投票率が高いのはなぜか? イタリアにおける州政府のパフォーマンスの際について説明する 日本のファシズムがナチズムとは違った形で成立した原因 2章 反証可能性 科学的に検討される仮説は反証可能性を持っていなければならない 反証可能性がない例:金星は自分の意思で動いている 〇因果関係が成り立つ条件 1.独立変数と従属変数の間に共変関係がある(5章) 2.独立変数の変化は、従属変数の前に生じている→時間的先行(6章) 3.他の変数を統制しても、共変関係が観察される(7章) ◯文化論的説明の論理的問題 分析の際、「〇〇人はしがちだ」のような無意識な文化的先入観には気をつける 1.ステレオタイプ 字の通り先入観 2.N=K問題 N(説明されるべき事例の数:従属変数)=K(説明の数:独立変数)となる場合、1つの原因に対し1つ結果が生じることになる 3.トートロジー 結局言ってることは前後同じ続きを読む
投稿日:2021.10.30
horinagaumezo
政治現象の原因を経験的・実証的に推論するための方法論を解説。 様々な政治学等の研究の事例を紹介しながら、量的分析だけでなく質的分析にも目配りして、かなりわかりやすく政治分析方法論を解説していて、まがう…ことなき良書である。規範偏重の政治学者等への批判も痛快だった。続きを読む
投稿日:2021.10.28
starkirari
社会科学における因果関係の推測方法を記した本 推測方法を巡る議論に細かく目配りしている所為で、本筋が見えにくく、著者がどう考えているかもわかりにくいため、マニュアル本としては扱いにくい。 事例も豊富…だが、五月蠅い嫌いがあり、読み物としてはそこそこ面白いが、骨格が掴みにくい。 社会科学の方法論の決定版とは成り難い、中途半端な本続きを読む
投稿日:2021.09.20
つくもなす
このレビューはネタバレを含みます
• さまざまになされる議論の中にどのような因果関係に関する主張が含まれているか、あるいは自分の行う主張がいかなる因果関係を含んだものかを明確にすることが、まず重要である。何が原因であり、何が結果なのかという、いわばフローチャート(流れ図)を描けなければならない。(6) • 因果関係が成立するための3条件(15) 高根正昭『創造の方法学』 1) 独立変数と従属変数の間に共変関係がある 2) 独立変数の変化は、従属変数の変化の前に生じている(時間的先行) 3) 他の変数を統制(コントロール)しても(他の変数の値を固定しても)共変関係が観察される • 説明とは、ある現象がなぜ生じたのかを示すこと(47) 1) 個別的な説明 2) 一般化された説明 多様な現象を抽象化・一般化することで、個別的説明を越えた一般的・理論的な説明が生み出せるのである。(50) • 因果関係を考えるときに 1) なぜこの結果が生じたのかと考える場合と 2) このようなことを原因として何が起こるだろうかと考える場合がある。 社会科学では、従属変数の変化や違いから因果推論をすることの方が多い(59) • バイアス(65-66) 精密な身長計を使っていても、測定の際に靴を脱ぐようにとか、あごを引いて背筋を伸ばしてといった注意をきちんとしなければ、測定結果は当然歪んでしまう。これを測定の「バイアス」という。どのようにバイアスのない効率的な推定を行うかが重要になる。 • ランダム・サンプリング(69) ゆがみのないサンプルを選ぶためには、国民全体という母集団からくじ引きで調査対象者を決めるような、無作為抽出(ランダム・サンプリング)によって調査対象が選ばれなければならないのである。この種の歪み、「バイアス」を避けることが記述においては非常に重要である。 • 質的研究における記述的推論とバイアス(70-71) 仮説が正しければ観察できる「観察可能な含意(observable implication)」をできるだけ多く想定し、実際にそれが観察できるかを確認することが必要になる。 • 記述と特殊性論の危うさ(80) 正確な記述は、単に記述の対象を深く調べるだけではなく、その対象が他と比較してどのような特色を持つのかを調べることをも必要とする。 • 帰無仮説(90-92)null hypothesis 「筆者に超能力がある」という仮説を実証する際、どのような証拠があれば仮設が実証されたとみなせるのを決めるのは難しい。そこで、「筆者には超能力はない」という仮説(帰無仮説)を置いてみる。→1%の有意水準で超能力はないとは言えないと結論する。社会科学の世界では、5%以下の有意水準があれば、帰無仮説が否定されたと考えることが通常 • 相関関係(95) 二つの変数の間に相関関係があるかどうかを確認することで共変関係の存在を調べることの方がふつう • 共変関係を見ていくと、いろいろとおもしろい発見をすることができる。これこそ、研究の醍醐味である。(97) そして、共変関係の確認は、因果関係を推論する上での第一歩である。 • 因果推論の根本問題(128-9) ある原因によって一定の結果が生じるときに因果関係があると言う。より厳密に言うならば、他の条件を変化させずに独立変数の値だけを変化させたときに、従属変数の値がそれに応じて変化する、すなわち因果効果が生じる場合である。 どれほど多くのことを実験的に制御したとしても、けっして因果的推論を確実には行いえない。 • 根本問題の「解決」方法(129-130) 1) 科学的解決 2) 統計的解決 • 観察と他の変数の統制-重回帰分析(134-) • 理論と分析の単位(146) 理論のレベルと観察のレベルにずれが生じる研究デザインを採用する際には注意が必要:例)独立変数が個人のレベル(理論)、学級あるいは都道府県という集計されたレベル(観察)→生態学的誤謬 (ecological fallacy) • ばらばらだった候補者データを集計することで特徴が鮮明になった気がする。しかし、実は両党の違いが鮮明に見える気がするのは、集計を行ったからである。集計データのみに頼ることによって、本来はそれほど明確でない特徴が明確に見えてしまい、誤った推論に及ぶこともありうる。ここでも、分析の単位をどこに置いているのかを意識する必要がある。 • ジョン・スチュアート・ミルの差異法と合意法(174) • 差異法(method of difference)異なる結果を示している複数の事例を比較して、その違いをもたらした原因を推論する(例:デュルケムの『自殺論』) • 合意法(method of agreement)逆に複数の事例に共に生じたある事象の原因として、これら複数の事例に共通して存在する要因を探すことで、因果関係の推論を行う方法。 • 比較事例研究法は、計量分析の対象になりにくい事例に対してとられることが多い(例:政治学におけるマクロな歴史的現象) • 差異法のメリットとデメリット(178) 因果関係の推論を行う上で、差異法をとることのメリットはその推論の構造が実験と類似している点にまずある。そこでは、独立変数の値が異なるときに、従属変数の値が異なっている、すなわち独立変数と従属変数の共変関係を確認する構造になっている。 最大の弱点は、他の変数のコントロール。実験では、統制群と実験群を設けることで他の変数の統制を行うことができた。定量的研究でも、重回帰分析のような手法で他の変数の影響をある程度コントロールしうる。しかし、差異法に基づく事例研究ではこれが難しい。 • 差異法における方法論的前提(180) Most Similar Systems Design • 合意法の方法論的課題(192) 共通要因のどれが本当の独立変数であるかを判断することは難しくなる。ここでも、研究デザインは不定であるという批判を受けることになろう。 • Most Different Systems Design(192) 差異法では、できるだけよく似た事例を取り上げて、よく似ているにもかかわらず違う結果になっている事例を選択した。これに対して合意法は、まったく逆の選択を行う必要がある。すなわち、さまざまな側面で大きく異なっている複数の事例を選択した上で、それらの事例に共通の値をとる独立変数と従属変数が観察されれば、他の変数ではなくその独立変数が原因であることを推論できる。 • 仮説演繹法(Hypothetico-deductive Method)(202-) 因果効果の確認を手掛かりに仮説検証をめざす研究デザインは、社会科学を含め科学的な研究において広く採用されてきた標準的な手法である。以下のようなデザインをとる。 ①手持ちのデータから帰納的に仮説を構築する。 ②設定した仮説が正しければ、どのようなことが観察できるかを考える。この予想を、仮説が正しければ観察できる事象という意味で「観察可能な合意」と呼んでいる。 ③この予想が当たっているかどうかを、実験や観察によって確認する。 ④予想が正しかったと確認できれば、遡って仮説自体を正しいと結論する。 • 決定的事例研究(crucial case)(204) ①Most Likely Case Method:仮説検証の際に、その仮説が成立するはずだと予想されるような事例を分析して、その仮説が当てはまらないことを示して仮説を否定する方法(経済成長と民主化の因果関係における、中国およびインドの逸脱事例) ②Least Likely Case Method:その逆に、その仮説が成立しそうにないような例を分析し、そこでも仮説が成立していることを示して、仮設の確からしさを確認する方法 • 決定的事例研究とパズル(208) 例)真渕勝「官僚の力が極めて強いとされてきた日本において、財政赤字が先進国中で最大となったのはなぜか」というパズル=現実の状況からの論理的な推論に基づいて考えたパズル 例)久米「大きな労働組合がない日本の労働者の労働条件の改善」先行研究がよって立つ理論からの逸脱にパズルを見出し、従来の理論の修正をめざす • 理論の改善と決定的事例研究(210-211) 決定的事例研究が、理論仮説の厳密な検証に用いられることはむしろ稀。仮説の構築や改善に用いられることが多い。 キングたちが言うように、複数の独立変数を含む理論について単一の観察で決定的な反証や確証を行うことはできない。さらに、確率論的な理論仮説であれば、その反証では不充分だろう。しかし、その仮説が最も妥当しそうな事例で、少なくともその一部分が予想と異なる結果を示すなら、それは理論仮説を改善する重要な手掛かりになるだおう。決定的事例研究の価値はそこにある。 • 事例研究のような定性的研究においても、そこでめざされるべきは単なる「分厚い記述」ではなく、方法論的な自覚を持った研究態度である(221) • 政治分析の目的に関する強調点の違い(221) ①キング=コヘイン=ヴァーバに代表されるアプローチは、基本的に政治現象を説明する一般法則(covering law)の発見をめざしているといえる。 ②①を批判する伝統的な定性的研究者は、政治現象が生じるプロセス事態にも関心がある。同じ結果が生じていても、そこにいたるプロセス自体に強い関心を持つと言ってよい。そこで、因果関係が測定される一方、因果のプロセスがブラックボックスのまま放置されることに不満を抱く。 ・『思考力改善ドリル』と類似
投稿日:2021.03.05
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