【感想】【語注付】地獄変

芥川龍之介 / 集英社文庫
(67件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
15
26
17
1
0

ブクログレビュー

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  • tomojuju

    tomojuju

    私が読んだ本はこの表紙ではなかったけれど、多分中身は一緒のはず。

    先日読んだ乙女の本棚の蜜柑以来、芥川龍之介をもう少し読みたい、と思って最寄り図書館にあったやつで有名どころが入ってるものを選んできました。

    改めて読むと、色々発見がありました。

    地獄変はかいつまんでストーリーは知っていたけどちゃんと読んだのは初めてかもしれない。猿の件とか、父親がお弟子さんたちにしてきたこととか、あれらを含めて最後の狂気にたどり着くんだな。

    奉教人の死、も、あぁ、そうだった、としみじみ。

    個人的に1番印象に残って好きだったのは、秋。
    これも初めて読んだけれどすごく切ない、美しいけれど真実味のある作品でした。

    2024.3.31
    56
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    投稿日:2024.03.31

  • 人・本・旅

    人・本・旅

    何十年ぶりに芥川を手に取ってみた。
    まずは、芥川龍之介の写真。ここまで印象にのこる作家も珍しいが、それほど、心に残る何かがあるのだともおもう。
    羅生門の人の中にある曖昧な善悪の境界、生と死の混在する現実は、妙な納得を強制的にさせられる感じ。
    鼻と芋粥も、望んだものが手に入ることが、自分自身の中の何かを失くすことでもあるという矛盾の可能性を見せてくれる。
    地獄変は、純粋さと、美しさと、悪意とが、人間臭さのなかに見出される。クライマックスが派手であるが故に、心に残る。
    奉教人の死もまた、人の感情や世俗のなかに埋もれる純粋さと、集団の犠牲にはその集団が意味づけしていく不条理さに気付かされる。
    舞踏会や秋は、羅生門や地獄変の後に配されると、より際立った、少女達の心の機微が読み取れる心に響く物語となっている。
    そして、藪の中。すべての語り主が、嘘であり真実であることを、それぞれの認知と都合でかたるのは、これもまた、人間の姿そのものであり、芥川の人間心理の真に迫る表現なのだと思う。

    ともあれ、いずれも、面白い。ただ、ただ、惹かれてしまう。引き込まれてしまう。
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    投稿日:2023.05.30

  • だいち

    だいち

    恥ずかしながら、国語の授業以来の芥川だった。

    当時は感じ得なかったが、こんなに緻密で多彩で表現力豊かだったんだと思わされた。

    地獄変は解釈の仕方がさまざま。語られてない余白がある。余白があるからこそ、時代を超えて読み継がれていく物語になるんだろうな。続きを読む

    投稿日:2023.05.20

  • G. S.

    G. S.

    私の読んだ版では、小畑健のデスノート風の芥川の肖像が表紙だったが、今は変更されているようだ。
    内容は入門編というべきか、現代ものも王朝ものも有名どころを集めてある。読み口も柔らかく読みやすいものが多い(地獄変はやや難しいか)。

    わたしは三島由紀夫が讃えたという(と、北村薫の小説で読んだ)「舞踏会」を読むために入手。

    べつに岩波文庫など他のレーベルでも同作は読めるし、巻末に註が集められちゃっているせいで読み進めるのがやや面倒なわけだけれど、集英社文庫版ならではの要素として、高橋敏夫先生の解説がとても面白くて、よかった。
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    投稿日:2022.12.20

  • み

    このレビューはネタバレを含みます

    読みやすかったし面白かった!芥川が書いたのは今からおよそ100年前?人間の普遍性を感じた。

    ひとこと感想
    ⚪︎大川の水…日常のほんの一部の話をこんなにも豊かに書くことのできる表現力おそるべし。
    ⚪︎羅生門…アイデンティティとは
    ⚪︎鼻…コンプレックスを受け入れることの大切さ
    ⚪︎芋粥…人は簡単に手に入れられるものには惹かれない、努力して手に入れられるものに憧れる
    ⚪︎地獄変…欲望によって理性のコントロールは効かなくなる
    ⚪︎蜘蛛の系…自分だけ徳をすることを望むと返り討ちにあう
    ⚪︎奉教人の死…偏見という悪
    ⚪︎蜜柑…一瞬で人を判断してはいけない、一瞬で人の評価は変わる
    ⚪︎舞踏会…儚くて美しい恋。実は有名人だった、みたいなオチも現代っぽい
    ⚪︎秋…これが一番現代ぽかった。姉妹で同じ人を好きになった行く末。俊吉は妹と結婚するが結局愛し合っているのは姉。すごく切なくて、美しい、、、
    ⚪︎藪の中…みんな自分を主人公にしたがっている?何が真相なのか、芥川は何を伝えたかったのか全然わからない。
    ⚪︎トロッコ…はじめてのおつかい、冒険のような感情が鮮明に書かれている

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    投稿日:2021.08.05

  • herbtea

    herbtea

    芥川の世界にどこか後ろめたさを覚えるのは、自分のどこかに彼の描く世界の人物と重なるところがあるような気がするからかもしれない。「羅生門」「蜘蛛の糸」「地獄変」…もちろん「鼻」や「芋粥」にだって。さて、今回の目当ては「藪の中」。なんだかよくわからなかった、そんな印象の残っていた話は、今回じっくり読むと多重解を持ったミステリのよう。何度も読み返し、真相が藪の中のままであることに逆にほっとする。年を重ねたせいか、特に印象深かったのは「秋」。そしてやっぱり、突然目の前に開ける色に目を見張る「蜜柑」は別格で好き。続きを読む

    投稿日:2020.11.16

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