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鮎川哲也 / 光文社文庫 (3件のレビュー)
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総合評価:
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本間海那
そういえば最近のミステリーには時刻トリックがあまりない。出尽くしたのか、マンネリなのか。旅情と共に、解き明かしていく過程は、スリリング。何枚もの薄い皮をめくるような幸福を、久しぶりに感じた。
投稿日:2021.11.25
kiyosi
このレビューはネタバレを含みます
鬼貫警部シリーズ 結婚直前に自殺を遂げた岡崎ルミ子。 熱海の旅館で殺害された湯田真壁という名の男。所持品から湯田の裏の顔・恐喝屋の側面が見えてきた。被害者たちのアリバイ。TMSCという音楽会のメンバーのバッチ。妻が浮気していた推理小説家・疋田のアリバイ。元ロシア文学者の曾我のアリバイ。曾我の過去の事件。治安維持法の被害者たちの悲劇と元特高の将校たち。
投稿日:2015.03.02
ニコル
鬼貫警部シリーズの長編小説。 熱海の旅館で一人の男が殺害された。 あくどい恐喝者であった被害者には12人もの容疑者が存在したが、その全員にアリバイがある。 被害者の身元や所持品から12人の容疑者を挙げ、熱海署員が一人ひとり丁寧に調べていく前半。 あからあさまに怪しい人物もいるわけですが、熱海署員の根気の捜査が楽しく、こいつが本星か!と思ったところに意外な方面から有力な容疑者が現れたりと飽きさせません。 捜査が行き詰ると事件は熱海署から鬼貫警部、丹那刑事にバトンが受け継がれます。 同じように12人のアリバイ確認から始まるわけですが、同じ情報から別の手掛かりを掴む鬼貫警部はさすが。 殺害現場の不審点、証言者や容疑者のあいまいな部分などひっかかっていた事柄が鬼貫警部の手によって次々に明らかになるのは爽快です。 こういったひとつひとつ手掛かりを拾い上げて地道に捜査していく過程は非常に楽しい。 刑事たちの執念と粘り強さもかっこよくて胸が高鳴ります。 もったいないくらいアリバイトリックを披露しており、ストーリーの展開とともに容疑者のスポットが変わっていく様も巧み。 タイトルも味わい深く、非常に満足の一冊でした。 ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 時刻表トリックのほうは特殊な知識が必要かと思いますが、鬼貫警部ものらしい時刻表とのにらめっこは楽しかったです。こういうのは発見した時嬉しいですね。 もうひとつの睡眠薬を使った時間錯誤のトリックの方が好きでした。情死を巧みに利用した小説家というのがミステリー小説の雰囲気がでています。 今では巻き時計は主流ではないので手掛かりには気づきにくいと思いますが、真相に至る鬼貫警部の慧眼が光ります。 恐喝のネタとなった過去の事件ですが、バッジだけでは恐喝のネタとしては弱い→死体もあるはず、からなぜ疋田が死体を回収しないのか疑問でしたが、体の小さな男が逃げ込んで入れなかったというのがまた上手いと思います。
投稿日:2014.05.16
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