【感想】ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

遠藤秀紀 / 光文社新書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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ブクログレビュー

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  • obudon

    obudon

    このレビューはネタバレを含みます

    自分の仕事に誇りを持っていらっしゃる
    遠藤秀紀さんの著作が好きで、
    数年前に集中して読んだ時期がありました。

    最近(養鶏をやってみたいな)と思い始めたため、
    改めて読み返してみました。

    本書の執筆動機は
    ・読者へのニワトリに対する関心喚起
    だと思いますが、私の読書動機が
    ・養鶏で成功するためのヒントがないかな?
    なので、読書中は常に
    (知りたい事がなかなか出てこない)
    という感じを持っていました。

    ただ、養鶏家にならなくても、
    (いつかニワトリを飼いたい!)
    と読後に私が改めて感じるほどに
    筆者の強烈な“ニワトリ愛”が刺さりました。

    また読後の今、ニワトリ以外に類似した家禽が
    この世に存在しないことが不思議でなりません。

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    投稿日:2017.09.17

  • kiwi

    kiwi

    卵用のニワトリは生まれて160日で卵を生み始め、その後は1年に290個、ほぼ毎日のように卵を生む。生き物としては変。700日くらいになると効率が落ちてくるので殺される。肉用のブロイラー(品種名ではないそうだ)は生まれて50日で肉になる。シビアだよなあ。2010年の本書発売時点で、日本人の消費する肉の4割はニワトリで、3億5000羽が飼われているという。
    「銀の匙」で経済動物という言葉を覚えた。経済、ビジネスというより社会基盤。生きるインフラだ。ニワトリに生まれなくてよかった。
    経済動物としてのニワトリに始まって、生物としてのニワトリ、ニワトリの進化と祖先、品種、闘鶏やペットとしてのニワトリも含めたニワトリ文化論と、ニワトリづくし。胸焼けするくらいのフルコースだ。ニワトリマニア?にはこたえられないだろう。

    妙に名文、美文。研究者が美文をものしていけない理由はないし、わかりにくいわけでもないのだが、時として本題よりそっちが気になる。

    2017/03/25
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    投稿日:2017.03.25

  • たまもひ

    たまもひ

    獣医師で東大教授でもある著者の、ニワトリへの愛がほとばしった一冊。なにはともあれ、著者の熱さがヒシヒシと伝わってきて、ニワトリ?そんなに興味ないけど?という私はタジタジとなる。でも、こういう「好きなものについて(特に専門家が)一生懸命語る」本って好きなんだなあ。

    これはニワトリ好きな夫が面白がって読んでいたので、貸してもらった。夫はずいぶん前からずっと常に何羽かの鶏を飼っている。チャボ・烏骨鶏・ボリスブラウン・白色レグホン・アローカナ…、まだあったように思うが忘れた。今は岡崎横斑というやつが四羽いる。世話はほとんど夫がしていて、私は卵をいただくだけだが、たまにじっと眺めたりすることもある。特に懐くわけでもなく(そこが気楽)、愛らしいとは言いがたいけど、生き物って見ていると飽きないものだ。

    飼ったりしてない大多数の人にとっても、卵や鶏肉の形でいたって身近な存在であるニワトリ。本書には、専門家ならではの「へぇ~そうだったの!」という事がいろいろ書かれていて楽しい。新書にしてはボリュームがあるので、さほど鶏に興味のない私はちょっと飽きちゃったけど、日頃そんなに本を読まない夫が熱心に読破していたから、ニワトリ好きにはかなり面白いようだ。そういう人がどれくらいいるのか知らないが。

    この東大のセンセイ、かなりユニークな方のようで、私はそこに興味津々。著者は、「ニワトリとニワトリを愛する人間」について「答えの出ない研究」を続けていると言い、続いてこう書いている。
    「二十一世紀初めの日本社会を雇用不安や低賃金や年間三万人の自殺者で味付けした行革狂いの政治家にとって、答えを出さない学問や答えを出さない大学教員など、真っ先に淘汰すべき対象だろう。だが、残念だが、学者も学問も、資本主義を勝ち負けと拝金でしか受容できない為政者ごときに、滅ぼされはしない」
    いい啖呵じゃないかと、溜飲が下がる思いであった。
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    投稿日:2017.02.20

  • SANCHACO

    SANCHACO

    ニワトリについて、ひたすら書かれた本。日本人は平均、年間300個の卵を消費し、2羽分の鶏肉を胃袋に収めている。全世界では、総人口の約2倍=110億羽のニワトリが存在していると言われており、文句なく世界で最も繁栄している鳥類である。

    とはいえ、ニワトリの運命はあくまで家禽として人間による寵愛を受けることで成り立っている。セキショクヤケイ(赤色野鶏)という、東南アジアに住む野鳥を8000年前の祖先が飼おうと思わなければ、今我々が目にしているニワトリの姿はないのだ。

    卵もロクに生まず、肉も大して多くないセキショクヤケイをどうして私たちの祖先は保護し、改良を加えていったのだろうか。そこには時間通りに鳴くといった性質だったり、自分の縄張りに入ってくる動く者をすべて攻撃する闘争心だったり、突然変異で秀麗な姿形を見せる愛玩性といった要素が複雑に絡み合い、人間にとって他の鳥類とは一線を画す魅力を発揮してきた歴史が存在する。

    これらニワトリの進化論を単なる遺伝子の変化だけで追いかけるのは、無味乾燥かつナンセンスな話である。むしろ文化人類学や民俗学、そして自然環境学や生物学といった学際的な研究を進めながらニワトリの魅力を紐解いていった方が、焼き鳥を食べるにも味わい深くなると思うのだ。
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    投稿日:2014.09.07

  • illinois2010

    illinois2010

    このレビューはネタバレを含みます

    鶏肉、とくに唐揚げが好きなので読んでみました。
    作者のニワトリに対する思い入れが強く出ていて、新書ぽくないです。
    たまごを産む、ニワトリが年をとったら潰して鶏肉になる、と思ってましたが全然違うらしいです。知りませんでした。

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    投稿日:2012.09.25

  • aokawazu

    aokawazu

    割と硬派な内容。ニワトリの起原から目的別の畜産の歴史など、そこそこ厚みの本でありながらさらに内容が凝縮している。
    人が家畜を作り出す動機に掲げた「心のエネルギー」論が興味深い。最初から卵や肉のみを求めて家畜化したわけではなく、多種多様なニーズによってアジアの小さな飛ばない鳥が世界中に広まりニワトリになる過程の説明が面白い。続きを読む

    投稿日:2012.08.29

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