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河合隼雄 / 講談社+α文庫 (12件のレビュー)
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総合評価:
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madameassy
本書は、1991年1月~6月まで、読売新聞の夕刊に110回にわたって連載されたものの書籍化である。だから、1つのコラムはとても短い。しかしながら、その短いコラムの中で、いや短いコラムだからこそ、河合先…生の投げたボールは、びしっとど真ん中ストライクで決まっている。 連載からもう30年も経っているのに、河合先生が指摘している「老い」をめぐる問題は、ほとんど変わっていないように思える。もちろん私自身を含めて。高齢者に対する態度や、自分自身が年齢を重ねていくことについての意識等…。折に触れて読み返していきたいと思う。続きを読む
投稿日:2022.02.20
hvnstr
このレビューはネタバレを含みます
ヴォーヴォワールの老いについてをテレビで紹介していて、ふと気になり読んでみた。赤瀬川の老人力みたいな無理矢理賛美の本でもなく、若者でも読める人生エッセイ。再読したい。
投稿日:2021.09.29
下山はじむ
付録の多田富雄さんとの対談が示唆に富む内容だった。 「入舞」という概念。河合さんの「入舞」はフルートを吹いてCDをだすことだったんじゃないかなー?奏者の河合隼雄。 私も、入舞、他人には無駄と思える終焉の舞を舞いたくなった。 以下、傍線を引いたとこの紹介です。 p88 「お水持ってきてあげましたよ」 で 「カチン!」 p96 ヘアーインディアン 「美しい顔で死ぬために(私:潔く?)生きている」 P211 「ぼく、おばあちゃんと散歩したいの」(私:この言葉を自ら発して行動しなくてはいけないのでは?孫が言ってくれるのを待たずに) p234p226 波多野完治「老いと回春」、性を男性と女性が結合するものとしてのみでなく「精神と身体」「生と死」などなどを「つなぐ」ものとしてみるとどうであろうか。何かとの接触の回復を体験するものとしての性は、人生において大きい意味をもっている。 p236 孫や子が「自伝をつくろう」と誘う話 p244 『もう一つの中世像』無外如大。女性の禅僧が鎌倉時代にいた! p246 絆の語源 多田富雄さんとの対談: p257 免疫反応や遺伝は、人それぞれの経験値で多様に変化していくスタンダードな老化なんてない。 p264 老人だけ集めて完璧なケアをするアイデアは地獄という話。老若男女が混ざっての共同生活こそが生きがいを生むスタンダードな世界。 p265 「無明の井」という多田さんが作った心臓移植を題材にした新作能の話。人間の体には、自分以外のものを拒否する機能が備わっている。(私:心臓を取り替えるのは敵の大将を自分の居間に住まわせたようなもの。敵の大将のために、部屋の掃除や食事を提供しなくてはならない。そこまでへりくだりたくないなら、心臓は脳と同じで自分の名前が入っていて書き換えできないものと考えたほうがいいのではないか?取替がきく臓器ではない。敵の大将だって居心地がわるいだろう・・・・でも実際の子への愛とか、別次元の観点からみれば心臓移植は進歩すべき治療法である) p271 初心にも3種類ある。老後の初心が重要。 多田:また世阿弥の話ですが、世阿弥が老いの「入舞」というとてもきれいな言葉を使っているんです。舞楽などで舞人が、舞い終わって舞台から降りて引き揚げるときに、もう一度舞台に戻って名残を惜しむかのようにひと舞、舞ってから引き揚げる。それを入舞というんだそうです。 河合:いい言葉ですね。 多田:世阿弥によれば経験を積むことを「功」と言うんでそうです。功を積んで老人になるんだけれども、その功に安住するとまったく進展がない。それを「住功」と言って嫌うなりと入舞の話の前に言っています。 経験を積んでもそれに安住しないで常に創造的なことを求め続け、そのうえで最後のひと舞をして引き揚げなさいということを言っているんだろうと思います。
投稿日:2021.08.30
abba-rainbow
河合隼雄先生の「老い」に関するエッセイ。河合先生の本は、読みやすい、分かりやすい、示唆に富んでいる。いつものことながら「自分は本をあまり読まない」と言われながら、非常に幅広く深い読書をされており、先生の文章の中から、また多くの人を知る機会となる。 今回も、聖路加病院の日野原重明氏の「老いてはじめる」という言葉、仏教学者の中村元氏の「自分で考えないと駄目」という言葉、フランス文学の桑原武氏の「文学もすごいのを読むと、脇の下に汗が流れるんでっせ」というようなインパクトある言葉とその背景にある「老い」に敢然と立ち向かう精神みたいなものを紹介してくださった。 鶴見俊輔著「家の中の広場」は含蓄深いエッセイ集と紹介されているので、読んで見たい気持ちになった。 本書で一番興味深かったのは、「絆」という文字についての話。「きずな」とも読むし、「ほだし」とも読まれるが、後者の意味が意外だった。仏門に帰依したいときに、親子の情などの「ほだし」が邪魔になるという意味に用いるのだそうだ。 「きずな」は深めるものであるのに対し、「ほだし」のほうは断ち切るものというイメージだ。 心理療法家である著者は、人の自立の時に、この「ほだし」を断ち切るということが必要だという。著者の考える自立の場面は、子どもから大人になるときの自立と、老いたのちに一人旅立つそのときも自立の時としている。 いわゆる「反抗期」というのは自立に必要なフェーズなのだろう。それと同様に、老いた親は、子に依存するのではなく、やはり「ほだし」を断ち切って、自立せよということなのだろうと思う。
投稿日:2021.05.23
講談社+α
「老いる」ことを人生の大切な課題と考える人が急に多くなった、と河合隼雄はいう。本書は、臨床心理学の第一人者が、110のはなしを通して、誰もが自分のこととして、また身近な人のこととして直面する切実な課題…に迫る。老人は何もしないから素晴らしい、「終わり」を考える「はじめ」の練習を、等々、これまでの老年観を一新させ、これからの生き方を示唆することばに満ちた一冊。続きを読む
投稿日:2015.05.26
toshi1231
河合さんが読売新聞夕刊に110回連載したエッセイ集。自分が老いること、老いた人との付き合い方、社会のありかたなど、老いをテーマにした現実感たっぷりのエッセイには、ハッと気づかされる指摘が多い。 最後…に免疫学の多田教授との対談が掲載されているが、これも秀逸。免疫的にみた老いとはそれぞれの人生における様々な外部への反応が蓄積されたもので、すべての人において異なるもの。老いはまったく一様ではない。言われてみればなるほど。。続きを読む
投稿日:2015.01.17
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