【感想】なくしたものたちの国

角田光代, 松尾たいこ / 集英社文庫
(57件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
19
19
9
2
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • すー

    すー

    このレビューはネタバレを含みます

    日常を描いているようで、その中に起こるちょっと不思議でファンタジックな事柄を日常に落とし込んでいるような気がする小説でした。ヤギのユキちゃんだって、ミケの生まれ変わりの銃一郎だって、ナリコ以外の人にとってはただのヤギでありただの少年なのに、彼女たちを特別大事に思っているナリコにとってはかけがえのない大事な人たちなんだと思いました。そういう大事に想われた経験のあるものだからこそ、無くなってしまった後に「なくしたものたちの国」へ行けるのかなと考えました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.05.11

  • hiro

    hiro

    このレビューはネタバレを含みます

    出会えて良かった本。読んだ後、ああよかったと思った。物語だけど、分かる、と思うことばかりだった。

    過去に無くして後悔したときの記憶やこれから無くすだろう、無くなるかもしれない、という私自身の不安が、本に触れている間だけでもなぐさめられたように思う。

    不思議な出来事が起こるんだけど、騒ぎ立てず、静かに受け入れているところとか、最悪のタイミングだった時の心情とか、黒い気持ちでいっぱいになって自己嫌悪するところとか、作り話だとしても分かり合える人と出会えたようで嬉しかった。

    ヤギのゆきちゃんと会話できなくなった場面では、そういえば、私も飼ってた犬とそういうことがあったのを思い出した。言っても信じてもらえないと思うし犬は犬だし、と押し留めていた思い出が不意に肯定されたようで嬉しいような、最期の時を思い出してしまってすごく悲しいような気持ちになった。話の中で、ゆきちゃんがずっと優しいことも余計に寂しさを誘った。
    一瞬ジブリの黒猫が浮かんだけどそれはかき消した。





    〜〜↓すごくネタバレ・あらすじ↓〜〜

    主人公の小さい頃〜死ぬまでの5つの話。嫌な人は出てこない。

    小学生の時、ヤギのゆきちゃんと友達になってお母さんのティアラを持ち出して無くしてしまった話、

    高校生の時、昔飼ってた猫のミケの記憶がある男の子と知り合って、初めて終電で帰った日におばあちゃんが亡くなってた話、

    33才の時、不倫をして生き霊になってしまった話、

    生き霊卒業後、結婚して子供もできたけど電車に娘を忘れてきて管理庫に探しに行く話、

    最後に、今までの色々と繋がって人生の終わりに向かう話。でもそれには怖さとか暗さは全く無くて、ゆきちゃんにもまた会えたし無くしたものも見つかった。
    あぁこれかぁーとか、よかった、安心した、と思えるようなハッピーエンドだった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.04.12

  • ちひろーる

    ちひろーる

    忘れないようにしようと、ひとつひとつのものや景色や人に触れて私は思う。別の場所で、違う姿で、違うかたちで、違ういのちのありようで出会ったときに、思い出せるように、忘れないようにしよう。愛した人たち、愛したものたち、どうか忘れませんように。忘れてもいいのよと、耳元でおだやかな風のようにだれかが言う。そう、その声の主だってわたしは思い出せないのだ。とても近しくて、たのもしい、やさしいだれか。忘れてもいいのよ、忘れていたって出会えばまた、どうしたって愛してしまうのだから。いいえ、どうしたって出会ってしまうのだから。P.182

    ↑一番印象に残った言葉
    続きを読む

    投稿日:2022.10.24

  • yk

    yk

    主人公ナリコの一生が、5つの短編で描かれている。

    不思議で甘酸っぱくてやさしい世界感でありながら、『死』というものを考えさせられた。

    命あるものはいつか死ぬ。そしてまた生まれる?
    『いま』を大切に生きよう、愛そうと思えた。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.22

  • Eri

    Eri

    無くしたものも、また会える。
    そうだといいな。
    わたしが無くしたものはなんだろう。

    年齢を重ねて、無くすものや人が多くなったときに、読み返したい。

    投稿日:2022.03.22

  • y

    y

    一人の少女を通して「いつの間にかなくしてしまったもの」をテーマに物語が書かれている。5つの短編集。

    おもちゃ、恋愛、友情、本、学生時代、家族と過ごした時間、いつのまにかなくなっていたものを思うって切ない。

    読んでいくうちに、自分が自然となくしてしまったものに気付かされて泣けてしまった。何かの本でみた、「失恋したときに辛いのは、相手がいなくなったことよりも、その人を想う自分が引き裂かれたようで辛いから」という言葉を思い出した。

    今やりたくてもできないことや、なくしてしまったものに思いを馳せるのではなく、今生きている時間を大切にしたいと思った。

    角田さんのファンタジー要素の入ったお話は読んだことなかったけれど、こういったお話も好き。
    続きを読む

    投稿日:2022.02.16

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。