【感想】生物にとって時間とは何か

池田清彦 / 角川ソフィア文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 小野不一

    小野不一

    少し癖のある文章が読みにくい。それでも虚心坦懐に耳を傾ければ池田の破壊力に気づく。関係性は動きの中に現れる。これすなわち時間である。我々はともすると有無の二元論に囚われ、存在を固定しようとする。ところが固定されたものは死物なのだ。なぜなら関係性が見捨てられているからだ。とすれば、クオリアが指す質感もイデアから滴り落ちた樹液の一雫(ひとしずく)なのだろう。
    https://sessendo.blogspot.com/2021/11/blog-post_29.html
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    投稿日:2021.11.30

  • 澤田拓也

    澤田拓也

    構造主義的生物学というものらしいが、何かを言いたいらしいのだが、何が言いたいのか伝わってこない。
    そもそもネオダーウィニズムの理論を批判しているが、そもそも著者が想定するようなピュアなネオダーウィニストは存在するのか怪しい。存在しない仮想敵を作って、それを批判することで自身の論の正しさを根拠づけようろする場合、その論自体が怪しい場合が多い。
    突然変異と自然淘汰以外に進化の動力があるのであれば、それは明確に示せばよい。生物の世代を超えて遺伝子以外で共生により伝わっていくものがあるのは、ある意味その世界では常識にもなっている。ミトコンドリアもそのように捉えられているもののひとつだ(著者の言わんとするところはそれ以上のもののようにも思われる)。

    『○○にとって××とは何か』というので思い出すのは、吉本隆明の『言語にとって美とは何か』。あれも、著者の気合いは入っていたけれども、こちらはさっぱり分からない上に、少々??というところがあったなと思い出したり。

    Kindleで安くなっていて、タイトルが魅力的に映ったので、釣られて購入してしまった。
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    投稿日:2013.11.04

  • cheapeer

    cheapeer

    生物学者の書く単なる生物の本ではなかった。生命哲学っていうのかな。
    神秘とも言える生物の精巧なシステム。うまくできている。でき過ぎている。そのシステム、メカニズムについては説明がつくのだが、なぜそのシステム、メカニズムが存立しているのかについては説明しがたい(だからこそこういう本がある)。

    クオリア、脳科学、アフォーダンス(ときどき出くわすキーワードだけれどイマイチつかめていない)、の話題にまで達した。文脈が重層的。
    著者についてググると構造主義生物学の支持者のひとりとのこと(ウィキペディアより)。言われてみれば文章全体がどこか構造主義的だったなあ。
    生物学を主軸にして未知にアプローチする。本源的で哲学的な命題に迫る。生物学者という立場からこんなにも幅広い領域にまで言及できる人がいらっしゃることに驚嘆する。生物の話と半ば決めつけて読み進めていた私はしばしば“置いて行かれた”。
    この守備範囲の広さ。あのバラエティ番組に招聘されるのにも強く頷ける。どんな領域のお題にも提言できそうだし、実際にできるのだろう。

    我々が解明したもの(とは言え科学という枠組み内限定の言説なのだろうが)とそうでないものを峻別して論を進めていくような筆運び。
    生物と生物以外の事物。それらが織りなす複雑系の環境場。そこで何がどのように営まれているかを掴まんとする本書。これは自分にとって当たりだったな。生物についての関連書や同著者の別の本を読みたい。読んでみたい衝動にかられている。
    http://cheapeer.wordpress.com/2013/07/30/130730/
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    投稿日:2013.07.30

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