【感想】中国行きのスロウ・ボート

短編7作
受け止める自分によって捉え方は変化する
行間に隠れているものを探した頃もあったけど
スッと消えてもモヤモヤ残りでも納得いかなくても
それはそれ
本を手に取り、読む
それでいいのだと思ったこと…を、思い出した続きを読む

〈これが記念すべき安西水丸さんとの初仕事〉村上春樹の最初の短編小説集を当時の装幀のまま復刻。復刊に寄せて、新たに序文を収録。

久しぶりに読んだら「中国行きのスロウ・ボート」はいいとして、「土の中の彼女の小さな犬」がとってもよかった。こんな短編があることをすっかり忘れていた。というか、この本は何回か読んだことあるはずなのに、ほ…とんど初読の気持ちで読んだ。なぜこんなに良い短編のことが頭からごそっと抜け落ちていたんだろうか。記憶の不思議だ。
「土の中の彼女の小さな犬」は、何が起きるってほどすごい大きなことが起きるわけではない、どちらかというと些細な話なんだけど、その中に何か大きなものに発展していきそうな根源的な力、みたいなものを感じた。これをベースに長篇もできてしまうんじゃないかと思わせるくらいの根源的な力。手の匂いを嗅ぐシーンがとてもよかった。続きを読む

長らく絶版状態だった単行本の復刊。春樹さんがあらたに書き下ろしてくれた序文にあるように、安西水丸さんのイラストが美しいとても素敵な本です。取りいそぎ序文を読んだので記録しておきます。