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中村啓 / 河出書房新社 (4件のレビュー)
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総合評価:
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べあべあべあ
このレビューはネタバレを含みます
自分の子どもが罪を犯したとき、親は荷をするべきか。 「罪を償うよう促す」誰もがそう答えるだろう。しかるべき方法でもって裁かれ、罪を償うの自分もをそばで支える、と。 けれど、そこに、「隠ぺいできるなら」という思いはよぎらないだろうか。 警部昇進試験を控えた警部補という立場、妻の収入頼りの自宅ローン、不登校の息子、そこに突然飛び込んだ自慢の娘の起こした殺人事件。 もしそこに「正当防衛」という事実が無かったら、また別の道を選んでいただろう、人として警察官として正しい正義の道を。 越えてはいけない一線を替えてしまった父親。追い詰められるたびに重ねる罪。 読みながら、何が正しいのか、自分の中の「正義」が問われる。 ラストから始まる終わりのない正義の戦い。義が揺れる。
投稿日:2024.03.29
芝生の住人
読み応えあり。結末はどうなるのか、あれこれ想像をめぐらせながらの読了。 主人公の薬師丸遼一は警視正への昇任を目指す警部補。大手総合商社に勤務する妻、海外へのバレエ留学を控えた娘、引きこもり息子の4人…家族。 娘の起こした殺人から、人生の歯車が狂い始め… 次々発生する連続殺人事件の捜査員でありながら、証拠隠滅に走ったり、謎の男から脅迫めいた電話があったり。 警察内部の捜査の進行状況が分かるだけに、焦りと冷静を繰り返す日々。 更に犯罪に手を染めていく様が地獄に落ちていくようだった。 こんな境遇になったら、人はどうするのか? 何が正解なのか。正義なのか。ムズい。 結末はちょっとモヤモヤもありつつ、謎に終わるところも含めて、やはり読み応えのある1冊だった。続きを読む
投稿日:2024.02.25
よつば
これを果たして正義と読んで良いのか最後まで疑問が残った。 池袋で連続殺人事件が発生。 反社会的勢力の構成員ばかりを狙う犯行からマスコミは犯人を清掃車に掛けて「聖掃者」と名付ける。 時を同じくして、…警部補・薬師丸遼一の娘が強姦相手を鉄アレイで殴り殺してしまう。 その時、遼一が取った行動により家族は崩壊していく。 模倣犯の正体は明らかだが、二名いると見られる聖掃者は一体誰で、動機は何なのか。 また問題行動が多い引き籠り長男を抱える薬師丸家はどうなっていくのか不安しかなかった。 嘘が嘘を呼び罪が膨れ上がっていく恐怖に震えた。続きを読む
投稿日:2024.02.19
へろ
無限の正義とは絶妙なタイトルであると読み終わってしみじみ思う。上手いタイトルだ。 警部補の薬師丸は警部への登用試験を切望していた、娘はバレエの海外留学を目前にしていた。そんな薬師丸が「仕方がない選択肢…」として選んだ道は…。 真面目と言われていた男が、家族と自分の為という言い訳で落ちてゆく様は、まさに無限の連鎖に嵌っていく恐怖の姿だった。 だが、この小説の白眉なのは結末。この内容でこの結末なのか!人間の業を描いた読み応え十分な小説だった。 続きを読む
投稿日:2024.02.06
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