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中村朱里, セカイメグル / 一迅社文庫アイリス (1件のレビュー)
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いこ
このレビューはネタバレを含みます
ミュゲのちょっと間延びした喋りと「死ぬこと以外は大体全部かすり傷」で済ます超前向きな性格が癖になるという。 あの図太さ見倣いたい。 そんな彼女が泣きながら、「花」を大量に撒き散らしながら、孤独な旦那様の元へ駆けつけるシーンは、こっちも大号泣しながら読んだ。 某キャラの手紙の祈りも相俟って、もう堪らんかった……間に合ってくれ、届いてくれとこちらも心から祈ったほど。 その後の光景は、ほのぼのすぎて意外だったけれども。 折角出た涙も即座に引っ込むというこの落差よ。 そっか、コメディでしたか。 毒を撒き散らすゆえに引き篭もりの旦那様と超前向きで図太い花の魔法使いであるミュゲの、近付いては離れて、近付いては決定的に離れて……という不器用な恋愛模様を基本的にはコメディなノリで見守る話。 ミュゲが基本的にコメディ気質だからなあ。 その積み重ねがあったからこそ、前述のシーンのシリアスさで涙腺持って行かれた訳ですけども。 旦那様の「孤独」は同情の余地があるレベルで随分と拗らせた状態だったので、特に後半のミュゲとの決定的な別離からの逆転は厳しいだろうなと思っていたのですが、なかなかどうして。 もうとっくに落ちてましたね、彼。 ただ素直になる機会がなかっただけで。 まあ彼女に落ち切った彼の独白からこの物語は始まりますので、こちらの心配は最初から杞憂だったんですけども。 ともかく、基本はコメディなノリの話なんですけど、後半の切ない展開は本気で涙腺崩壊にかかりますので、覚悟の上で読んでいただければと。 その先はもうただただほのぼのな光景が広がります。 命の危機があった筈なのに、どうしてこうなったのか。 二人の相性良すぎた魔法の結果ですからね、仕方ないね。
投稿日:2023.11.26
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