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春日武彦 / 中公新書 (43件のレビュー)
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なつん
新書は学術的なエッセイだなとしみじみ感じた。恐怖というと動物的、本能的なものを連想していたけど、この本の中の「恐怖」はもうちょっと高次な感じだった。結構淡々としている。
投稿日:2024.07.06
りおん
著者が怖いと思っているもの(甲殻類、死自体)に対する恐怖が私にはあまりないので、そのあたりはあまりピンとこなかったけど、いろんな事件や映画、詩などについて知れたのは良かった。 特に印象に残ったのは映…画『人間魚雷回天』について。 これはあとがきも合わせてかなりインパクトがあった。 あとは、亡くなったおじいさんを火葬したらお腹から胎児が飛び出してきた話もなかなかすごかった。 結局人間がやることの残酷さが私は一番怖い。 帯の文は京極夏彦。続きを読む
投稿日:2024.06.29
83
恐怖症や娯楽としての恐怖、死など、いろいろな恐怖の対象が精神科医によって考察されている。 バラエティに富んでいるものの、けっこう主観的な感想も含まれているなと思った。
投稿日:2024.06.13
gaaco
自分はビビリである。 世の中に、好んでジェットコースターに乗ったり、ホラー映画を喜んでみる人がいるというのが信じがたい。 そういうわけで、「恐怖の正体」に何らかの回答が得られるのではとの期待をして本書…を読んだ。 この本では、恐怖を以下の三要素によって説明する。 ・危機感 ・不条理感 ・精神的視野狭窄 しかし、単純には語り切れないらしい。 例えば「恐怖症」の人たちにとっては、実際には直面していないにも関わらず恐怖を感じる。 むしろ、漠然とした不安を、わかりやすいものによって形を与え、そこに恐怖を感じるメカニズムがあるらしい。 恐怖の最中にある人が、どんな風に時間を意識するかが語られるあたりまでは、ほお、そういうことがあるのか、と専門家のご意見拝聴モードで読み進める。 著者は最初から、ご自身の恐怖への嗜癖のようなものを、いくぶん自虐的なトーンで言及している。 だから、覚悟はしていたが、だんだん本書では筆者自身の恐怖体験や、映画・小説その他の中に含まれる恐怖エピソードをなぞり、腑分けしていく。 これがビビリたる自分には、なかなか苦痛を伴う。 これまで意識していなかったものに、改めて恐怖を感じるようになってしまうかもしれない、と真剣に思った。 ただ、なぜ人が恐怖に惹かれるのかについては、少しわかった気にはなれた。 死のような、「絶対的な無」への関心。 しかし、その領域に入ったら、戻ってこられない。 こうしたジレンマから、人は死に魅惑され、かつ恐怖するということらしい。 恐怖に隣接するグロテスクなものについても、本書は取り上げていく。 目を背けたいおぞましさに、くぎ付けになる。 それと同じ世界に生きる不条理に耐えられない気持ちになる。 しかも、なぜか時にそれは滑稽な感じさえ引き起こす。 これがグロテスクの要件だそうだ。 なるほど、不条理感は恐怖の要件に通じている。 滑稽さにつながってしまうというのは、理詰めには考えられないことだが、感覚的には分かる。 なるほど、「エロ・グロ・ナンセンス」と括られたわけだ。 恐怖を覚えさせるものをこれでもか、と挙げていく本ではあるが、最後の最後に対処法を示してある。 本を途中で投げ出さずにいて、よかった。続きを読む
投稿日:2024.06.09
キナス・ドメスタイティス
ホラー作品とは、恐怖そのものではなく恐怖のカニカマなのだ。しかし自分の恐怖のツボが分かると、人生や社会の何を恐れているかが見えてくるのかもしれないね。 色んなホラー作品が例として紹介されているので片っ…端からチェックしていきたい続きを読む
投稿日:2024.05.26
amy
なぜ人は「それ」に恐怖を感じるの。虫の大群や集合体、先端恐怖症、閉所恐怖症などを精神科医である著者が分析している本 甲殻類恐怖症である著者のエッセイっぽい文章にもなっており、恐怖を感じることを因数分解…して細かく刻んで「恐怖の正体」を解説していく。 おおむね、ほうほうと納得する内容のなかでも恐怖症のところではなぜピンポイントでその対象(高所恐怖症で言えば高いところ)だけがダメなのかという点については 単純な因果論だけでは説明が難しく心理学や精神病理学では扱いきれない領域で文学的な面からも取り扱うべきだと言っているところが目から鱗であった続きを読む
投稿日:2024.05.13
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