【感想】シリーズ「あいだで考える」 風をとおすレッスン 人と人のあいだ

田中真知 / 創元社
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • pedarun

    pedarun

    このレビューはネタバレを含みます

    【人と人のあいだの風通し】
    あひるとかっぱのぬいぐるみとともに旅をした著者がくれる、人付き合いの視点。

    もしも、身近な人との関係や、学校・職場での人間関係に少し息苦しさを感じていたら、
    この本が助けになるかもしれません。

    分かっていてもなかなかそう簡単には解決しえないことが大半だとは思うけれども。

    ・・・
    生きづらさについて、
    著者はそれが、自分の中の他者の一人が暴走して、
    ~すべきだ、といった命令を下していて、
    自分で自分をコントロールできなくなっている状態かもしれない、という。

    その他人が、第一に親であったり、そして世間であったり。
    うんうん。

    西欧では、一貫性ある単一の自己を人格として理解する傾向にあるけれど、
    著者は他の地域での経験も共有しながら、

    自分の中には複数の人格が存在しているという考え方を紹介していました。
    そして、いろんな彼ら・彼女らに、居場所を与えつつ、距離を測ること。

    他者か…他者も自分なんだな。

    分人とも通ずるところがあると思いました。

    たしかに、すべきこととかしたいこととがごちゃごちゃになって、
    何がいいか分からなくなる、何をやってもどうしようもないと、思ってしまう、
    そんなことがあるかもしれないなーと思いました。

    そんな時に、
    あひるとかっぱのぬいぐるみを借りて
    ちょっと話しておいてもらうみたいに、
    他者目線で自分の中の人たちの言い分を聞いてあげたり、
    そうやって少し間を作ることで、
    好きなこと言ってがやがやしているけど
    どの意見や思いに同意するか、採用するか、却下するか、
    選ぶ余裕ができるかもしれない。

    ・・・
    環境が人を作る。
    この前読んだ本でも、そう書いていた。
    (環境が意思を作る話。)


    期待しあうことで維持される社会。
    一人では生きられないからだけれど、
    だから期待を消すことはできないのかもしれないけれど、
    過剰を防ぐこと、そのためには、
    その緊張状態を緩めること。

    個人的には、期待をしないし、されない環境を作ろうといつも思っているけれど、
    結局は期待に執着しないことなのかもしれない、とふと思った。

    人は刻一刻と変化しているので、
    今、目の前の人に関心を持つことの大事さも書かれていた。

    他人を見下し、バカにする人がいることについても。
    それは、自分の不幸や弱さをごまかすために、無価値な人、バカな人を必要とするから、という話もあった。

    バカにされたら誰もが不快に感じると思う。
    無関心でいる、無視する、無反応でいる、仏みたいな人にすぐにはなれないけれど、
    その人にとっての自分なんて、知ったことではないし、
    ポトスライムの舟の2話の話でも、主人公めちゃやられてたけど、
    自分が大事にしたいことから目をそらさないように生きたいなーと思った。

    深刻な話を、穏やかな声でしている本でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.06.02

  • NORIS

    NORIS

    この春創刊した人文書の新シリーズ「あいだで考える」、文庫よりひと回り大きい判型で手触りよく軽く、「10代以上すべての人に」と銘打って、ふりがなたっぷり、イラストあり、二色刷り150ページ。巻末には芋づるの元(参考文献&おすすめリスト)。「岩波ジュニア新書」「ちくまプリマー新書」「14歳からの世渡り術」といった中高生向けノンフィクションへの呼び水として相次いで創刊した「岩波ジュニスタ」「ちくまQブックス」と同じような狙い(読みやすい仕様での本格読書へのスモールステップ)を感じる。その4冊目。続きを読む

    投稿日:2024.05.17

  • otsukimi

    otsukimi

    上司に毎日評価され、自分はダメな人間だと思うことがよくあるけれど、自分は自分で良いと思えた。自分自分で苦しめていたのかもしれないとも思った。
    武者小路実篤の作品に登場する馬鹿一のように生きられればいいなと思った。
    また、出会った関係ない別れはないという話も納得できたし、心が軽くなった。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.27

  • 伊奈

    伊奈

    かるーく読めました。エッセイみたいなもので、小難しくはないです。ここ数年読んできた、傾聴だとかオープンダイアローグみたいな話が底流に流れていました。そういう本を読んできたので、納得半分、物足りなさ半分続きを読む

    投稿日:2023.12.05

  • はりなたる

    はりなたる

    最近通ってるお気に入りの本屋さんで、パッと目について衝動買いした1冊だったけど、とってもよかったです(^^)

    「違う人生があったかもしれない」の一節は、時々自分も感じる感覚で、とってもしっくりきたし、「人生は無駄からできている」に全力でうなづく自分がいたり(^^)
    「他者とのコミュニケーションのを阻む最大の障壁は、相手を「わかったもの」にしてしまうことだ」にはどきっとしたり。。。いろんな気づきが多くて、一気に読んでしまった本でした。


    「あいだで考える」シリーズはどれも面白そうで、これからもちょくちょく買い足してしまいそうです(^^)
    続きを読む

    投稿日:2023.09.18

  • デビ丸

    デビ丸

    人間関係や、自分の中の複数のアイデンティティについて、少し距離を置いて風通しをよくすることで、縛られることなく、客観的な視点で向き合えるようになるのではないかという提案の本。
    アフリカで過ごした経験や、本を読む中で、著者が得た、生きる上で大事な気づきが、短い章立てでまとめられている。
    また、取り上げられる本も、興味深いものが多く、読書案内としても優れている。

    私が一番グサリときたところは、コミュニケーションにおける最大の障壁は「相手をわかったものとして扱う」ということだ、と書かれていた部分。
    まさに、よく、相手の言いたいことを先回りして要約しようとしてしまう癖があるため、会話相手はかなり不快になっていたことだろう…。
    自分の中で相手を決めつけないで、私と異なる視点を持った人として尊重できるようになりたい。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.27

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