【感想】社会学の考え方〔第2版〕

ジグムント・バウマンティム・メイ, ティム・メイ, 奥井智之 / ちくま学芸文庫
(2件のレビュー)

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  • co-hana

    co-hana

    ジグムント・バウマンとティム・メイによる社会学概論。こちらは第2版だが、第1版とは内容が異なっているという。そこらへんは訳者によるあとがきに詳述されているので参考になる。「自由と依存」「贈与と交換」といった章は「だいたいこういう話だな」というのが想像できるが、「身体の諸相」「テクノロジーとライフスタイル」などの章は、「その話をこの文脈でするのか」という著者らの力量に驚かされるばかり(当たり前といえば当たり前)。終章の「社会学的思考」では、社会学の今後の展望が書かれているが、社会学の学問としての面白さは解釈だという点は心に刻んでおきたい。続きを読む

    投稿日:2020.07.18

  • nt

    nt

    「社会学の教科書」とのことだが、日本の小中高・大学で一般に使われるような、重みの無いキーワードの羅列でしかない教科書とはぜんぜん違う。
    『リキッド・モダニティ』を書いたジグムント・バウマンは社会哲学とも呼べるほどに精緻な思考を積み重ねており、その含蓄深い文章は読んでいて非常に面白い。
    本書では、複数の人間の関係性からあらわれてくる依存や集団(およびその免疫機能)から切り込み始め、これは私の現在の主要関心事のひとつなのだが、集団の「境界線」が集団を規定するという、直接は言及されない自己組織化-オートポイエーシス理論にもつながった思想に踏み込んでいく。
    たぶん社会心理学に分類されるであろう領域での筆も冴え、とりわけ、現在の日本のネトウヨ化傾向にも直接代表される「ナショナリズム」の危険性(それは国家を利用し、利用されつつ、破滅へと向かう)を解析している章が注目である。
    また、「需要が供給を生む」という古典的な経済学の発想は無効であり、いまや広告等をとおして「供給が欲望をめざめさせ、需要を生み出す」という資本主義の段階にあることを強調している点、とても共感した。このへんを、日本の政治家、行政、企業は全然理解していないので、経済がよくなることはないだろう。
    いちおう教科書として、さまざまなトピックをめぐり歩いて行く格好ながら、ひとつひとつが深い洞察に支えられており、読み応えのある本になっている。
    良い本だ。
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    投稿日:2017.04.16

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