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チョ・ナムジュ, 斎藤真理子 / ちくま文庫 (106件のレビュー)
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むらさき
斎藤真理子氏の翻訳が非常に良いと感じた。日本語の作品であるかのように全く違和感が無く作品に没入できた。訳文の日本語が濃密である。訳者注が本文の語の後に〔 〕で簡潔明瞭に説明されており、韓国固有の慣…習や制度などの理解を助けてくれた。読書中の私はすっかり韓国社会の一員なったかのように、小説世界に没入した。 韓国文学は今まで読んだことが無い。最初の数ページで登場人物の名前が混乱する。しかし、それを把握した数ページのちには物語の内容に背筋がゾッと凍った。さらに読み進むと、今度は胸がえぐられるような心の痛みを感じるようになった。そしてやがて、日本も本質的に同じなのではないか、と深刻に考え始めた。ページをめぐり、すぐに怒りがわいてきた。それは共感の怒りだった。涙もにじんだ。 小説世界に没入し、光と救済を期待したが、最後の最後に裏切られてしまった。小説世界から出ても、この世界そのものがこの小説世界であることに気づかされた。 これは現代日本の問題であり、男性である自分自身が自分の過去、現在、未来に対して向き合う問題である。続きを読む
投稿日:2024.05.29
希望
このレビューはネタバレを含みます
KーPOPが大好きで、ふと帯に書いてあることが気になり手に取った本。 私は本書のキム・ジヨン氏よりほんの数年遅く生まれたが、日本ではここまでの生きづらさは感じなかった気がする。 韓国の女性がいかに苦しい人生を送ってきたかが顕著に書かれている作品だった。 読むのに時間がかかったけど、こういう話は興味があるため、また時間があったら読み返してみたい一冊。
投稿日:2024.05.10
내 일상
私はキム・ジヨンより15年以上後に産まれた。学校も職場も女性が多い環境で、子育てをしながら活躍する女性もたくさん見てきてる。一方、結婚や出産で退職せざるを得ない先輩もいる。やっぱりどこか頭の中にある、…結婚して出産したら身体も昇進も諦める可能性があるのは女性だなって。周りで結婚や出産をしたくないって言う女性も増えてきているけど私は子育てもしてみたい。してみたいけど怖い。せっかく掴んだ夢だった職業に就いて順調に自分の人生を生きているから。 女性が人生で直面する悩みが多く書かれていて感情移入をせざるを得なかった。キム・ジヨンの生きた20〜30代より確実に進歩しているけど完全に無くなることはないんだろうな。男女平等って何をもって男女平等なんだろうね。 続きを読む
投稿日:2024.04.21
itsme8
kpopが身近にあって、「韓国は大変だよ」の声が聞こえてもどこか信じられずキラキラして見えた隣国 その「大変だよ」の部分が言語化された本だった 女性が生きていく目線での韓国を知ることができた気が…する 遠くない国、文化の国だからこそ共感できる部分もあった 続きを読む
投稿日:2024.04.20
みなみさん
韓国女子の実態は正直よく分からないが、この小説を通して、どのように女性達が扱われてきたのかを感じることができた。 (フィクションなので、全てがと言うわけではない) 日本も昔はそうだったのかもしれない。… 当時の苦労を知らず、今の暮らしやすい日常に慣れてしまっている私にとっては衝撃的だった。 ただ、現代でも子育てにまつわる考えは大きく変わっていないように思う。(それを悪いと感じるかは人それぞれ) 共働きが普通だから、男性も子育てに協力するというのは、女性は家事育児、男性は仕事といった考えが根付いていることに他ならない。続きを読む
投稿日:2024.03.23
でいぼー
日頃、奥さんが言ってることがこれでもかと語られる。いかに男が無自覚で、能天気に生きているかを突き付けられる本だった。 舞台は韓国で、家父長制の影響が強く、「弟から先にご飯がよそられる」ことや…、「弟は新品のものが買ってもらうけど、私は姉のお下がり」のような日常の様子が語られる。 男中心社会、女性は男性と同じ働きしても出世はできず、あげく「どうせ妊娠、出産して仕事を辞めるのだから」と、会社も子育てをする女性を支えるつもりすらない。 親世代より古い人たちは、男の子を産みなさいとあからさまにプレッシャーをかける(そのせいで、妊婦が赤子が女と分かると堕胎させることが多く社会問題となった)。 男性からのセクハラも日常茶飯事…、とにかくそんな韓国社会を(よくある名前の)キム・ジヨンを通して描く。 韓国の話でしょ、とはならず、同じような問題は日本でもあるわけで。 自分も子供が生まれた時、奥さんに「これから一層、子育てと家事手伝うから」と言ったときに、 「あんたの子でもあるんだから、手伝うはおかしいだろ」と一喝されたのを忘れられない。 というか、自分の中に「子育ては母親がやって当然」という価値観があったことがショックだった。 作中で、ジヨンが旦那に「私は出産のために会社を辞め、社会との繋がりも失うけど、あなたは失うものがなくていいよね」みたいに話すシーンがある。 仕事を辞めないにしても、産休からの出産、育休を経て、復帰し子育てと仕事を両立することは女性なら当たり前みたいに思ってしまいそうだけど、僕ら男性はその変化の辛さを他人事として思い、家庭や職場で想像力を持って接することができているのだろうか? 他にもキム・ジヨンがつわりで苦しみながらも通勤する様子とか、日常のささいな描写が生々しく辛い。 これは韓国の物語であると同時に、日本社会に生きる人たちの物語でもある。 続きを読む
投稿日:2024.03.21
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