【感想】パーパスモデル 人を巻き込む共創のつくりかた

吉備友理恵, 近藤哲朗 / 学芸出版社
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • rafmon

    rafmon

    組織横断、会社横断でプロジェクトを遂行する際に必要な考え方。オープンイノベーションやアライアンス戦略、DAO(分散型自立組織)、クラウドソーシング、産学官連携や地域貢献とも相性の良い切り口かも知れない。閉じた仕事をこじ開ける必要があるが、そのためにも重要なフレームワークだ。

    言うは易しとは思うが、感銘を受けたのは見えない価値、報酬の期待。見えないままだと説得できないから可視化しなければならないが、個人の納得感だけなら言語化しなくても良い。個人単位で考えた場合、ボランティアに参加したり、一見無価値に見える仕事の動機は、まさに見えない報酬だろう。

    本著では、プロジェクトに関わるインセンティブについて、4つの無形報酬に分類する。関係報酬、名誉報酬、情報報酬、権利報酬。関係報酬とはプロジェクトに関わることで普段の生活や業務の中では得られないつながりを得ることができる。名誉報酬とはプロジェクトに関わることでその人や組織地域にとってのブランディングになる。情報報酬とはプロジェクトに関わることで何らかの学びを得ることができる。権利報酬とは通常はルールや慣習により実現できないことを行う権利を得られる。無報酬でも、自らのリスキリングになるから、この仕事を受けると言っていた人がいる。確かに、プロジェクトに参加する意義には、こうした無形報酬が期待できる。意識したい。

    立場を超えた人や組織がより良い社会を目指して共に新たな価値を創造する。パーパスモデルとは、パーパスを中心とした共創プロジェクトの設計図である。自組織の利益だけを追求する時代は既に終わりを迎えているのかも知れない。
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    投稿日:2023.06.03

  • yashiti1

    yashiti1

    このレビューはネタバレを含みます

    何と言っても表、グラフがわかりやすい!
    実例がたくさんあって、それぞれの課題と過去の経緯が簡記されていて、理解が深まった。

    少しずつステイクホルダーが増えていく様子や、巻き込み方、熱量に差があっても良い点など、参考になった。

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    投稿日:2023.04.30

  • noguri

    noguri

    最近?何かと話題のパーパス関連本(もう、流行遅れ?)。
    ビジョン系の本を読み漁っていた続きです。

    ※2030 経営ビジョンのつくりかた
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4532322898#comment

    ※THE VISION
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4023317519#comment

    ※ザ・ビジョン
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478109834#comment

    著者オリジナルのパーパスモデルという名の
    フレームワークがカラフルでとても綺麗。
    分かりやすいし、色んなステークホルダー間で
    共通認識を測るには中々よさそう。。
    時間軸で、パーパスモデルが進化していくという著者の考え方にはなるほどとうなずかされます。
    豊富な事例もフレームワークの理解を助けます。

    なのですが、実際にはあまり使わなそう…というのが欠点。
    はまる人にははまりそうなので、そういう人向けの本、かな。
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    投稿日:2023.03.06

  • Moe

    Moe

    パーパスを目的と解釈している場合が多いが、本書においてパーパスとは「より良い社会を実現するための行動原理」と定義されている。
    それを体現できるようにしているのがパーパスモデルで、カラフルで視覚的にも楽しめるわかりやすい図式だ。

    さらに本書は実際具体的な事例にも富んでおり、利害関係が異なるステークホルダーを共通のパーパスを設定することで、利害関係以上のつながりを作りより良い成果を出している。
    これまでのようなトップダウン型のプロジェクトでは人は思うような力が発揮されず望む成果を手に入れる事は難しい。これからの時代はパーパスによって集まった人たちが、それぞれの個性を生かしパーパスを実現していく。そんな時代になっていくだろう。

    パーパスをどのように考えていくと良いのかはパーパスモデルに譲るが、事例として非常にわかりやすかったため以下flier要約より一部抜粋する。
    ポイントと感じるのは個人や組織、会社だけのビジョンを語るのではなく、国や世界、地球といった上のレイヤーから考える事によってパーパス化されやすい。

    ■flier要約抜粋
    【大手製薬会社レオファーマのイノベーションセンターとして立ち上げられたLEO Innovation labの例を見てみよう。製薬会社としての自社を主語にすると、目的は「ヘルスケア分野のイノベーションで事業の幅を拡げる」といったところだろう。これだと、やや独りよがりな印象を受ける人もいるかもしれない。

    実際のプロジェクトでは、「慢性的な皮膚病患者の生活をテクノロジーで改善する」を共通目的にすることで、患者や医者などのステークホルダーが自分ごととして関われるようになった。自分や自組織の目的を中心にするのではなく、視野を広げて目的を考えると、主体的に動いてくれる仲間が増えるはずだ。】

    ====
    ジャンル
    起業・イノベーション
    出版社
    学芸出版社
    定価
    2,530円(税込)
    出版日
    2022年08月15日

    ====
    吉備友理恵(きび ゆりえ)
    株式会社日建設計イノベーションセンタープロジェクトデザイナー。1993年生まれ。神戸大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻修士課程修了。株式会社日建設計NAD室(Nikken Activity Design Lab)に入社し、一般社団法人Future Center Alliance Japanへの出向を経て現職。都市におけるマルチステークホルダーの共創、場を通じたイノベーションについて研究実践を行う。共創を概念ではなく、誰もが取り組めるものにするために「パーパスモデル」を考案。

    近藤哲朗(こんどう てつろう)
    ビジュアルシンクタンク「図解総研」代表理事。1987年生まれ。東京理科大学工学部建築学科卒業。千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻修士課程修了。面白法人カヤックでディレクターを務め、2014年株式会社そろそろ創業。「ビジネスモデル図解」で2019年度GOOD DESIGN AWARD受賞。2020年「共通言語の発明」をコンセプトに「図解総研」を設立。共同研究によりパーパスモデルを考案。主な著書に『ビジネスモデル2.0図鑑』(KADOKAWA)、『会計の地図』(ダイヤモンド社)など。

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    flier要約
    https://www.flierinc.com/summary/3214
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    投稿日:2022.12.22

  • a0019447

    a0019447

    このレビューはネタバレを含みます

    共創について、概念で終わらせるのではなく、手触り感のあるものにしたいとして、可視化できるパーパスモデルを記した本。納得感ある整理。よき。
    大事な要素と構造が踏まえられている印象
    一番大事な皆の共通目的、ステークホルダー別の目的、役割
    構成が簡潔明快でわかりやすく、その観点でも素晴らしい。

    メモ
    ・パーパスモデル パーパスを中心とした共創プロジェクトの設計図
    ・パーパス より良い社会を実現するための行動原理
    ・図の中心に共通目的、周囲にその共通目的の下に集うステークホルダーを書く
     上段に共創に関与するステークホルダー、
     下段に主体的な共創パートナーを配置
     それぞれのステークホルダーの役割と目的を書く
    ・どんな人がどんな想いでどう関わっているかを捉えることができるもの
    ・産業や組織レベルだと複雑なためプロジェクトレベルにふさわしい
    ・主体的な共創パートナーの条件
     共通目的に賛同しているか
     リソースを提供しているか
     主体性があるか

    ・ステークホルダーは企業、行政、市民、大学等と四色に塗り分ける

    ・パーパスモデルをつくるステップ
     パーパスモデルを作る目的を決める(単体整理、時系列変化可視化、比較分析)
     ステークホルダーとその役割を洗い出す(影響受ける人、直接関与者、間接関与者)
     共通目的を言葉にする
     各ステークホルダーの目的を言葉に
     主体的な共創パートナーか、共創に関与するステークホルダーかを見極める
     完成したパーパスモデルを周囲に見せて対話し、アップデート

    ☆共通目的を見出すために
     社会課題、個人動機、組織できることの重なりを考える。
    ・色んな人に見せ、対話をすることに意味がある。

    ・パーパスモデルの活用シーン
     新しいプロジェクトの内容検討、アイデア説明発信
     既存プロジェクト現状経緯整理、今後戦略策定
     ステークホルダーとの対話、新しいステークホルダーの発見と巻き込み
     見逃しているステークホルダーの確認、リスクへの対応
     先行事例の研究分析

    ・共創の8タイプ
     事業をつくる
     基準をつくる
     共通認識をつくる
     関係をつくる
     場をつくる
     共同体をつくる
     人を育てる
     公共を開く

    ・共通目的をどう考えるか
     1独りよがりになってないか。階層性を考え、必要に応じて一段上の目的を設定する
     2共通目的の前に共通課題を深掘りできてるか。課題デザインマップ活用など
     3具体的な言葉にできているか。共通目的構造をつかむ。

    ※課題デザインマップ
     辛いこと、大変なこと、解決したいこと、違和感を洗い出す
     なぜ起こるのか課題を掘り下げる
     出てきた課題同士をつなげる
     課題のゾーニングをする
     負のループを見つけて可視化する
     負のループ同士をつなげて完成

    ・誰をどう巻き込むか
      1誰が共創パートナーかしっかり意識できているか→共創パートナーの定義
      2異なる属性のステークホルダーと一緒に取り組んでいるか→協業と共創の違い 協業は同属性での新事業。共創は多様な属性での新価値づくり
      3本来関わるべき人を除外していないか→影響を受けるのに無視している、見過ごしていることはないか。
     お金にならない、時間手間がかかる、営業が間接、知識不足など。
      4全員に同じだけの想いと関わりを求めていないか→思いと関わり方のマッチングが主体性を高める
     関わり方のグラデーションをつくる
      観察、リアクション、サポート、実行、推進

      5巻き込む相手にインセンティブをつくれているか→☆無形報酬 1関係報酬 普段では得られないつながり、信頼関係の獲得 2名誉報酬 自身やブランディングにつながるもの 3情報報酬 学びや情報の深掘り、得られなかった知見やデータ 4権利報酬 ルールや慣習で通常できないことを自分や組織でできる権利の獲得

    ・活動をどう広げていくか
      1いきなり大きいことをやろうとしていないか
    →船頭がおらず停滞、目的不明確で方向定まらない、短期的な事業化求められる潰れるパターンが存在
      時系列で考えることが重要。過程を含めてプロジェクトを可視化してコミュニケーションすることが重要
      2大きな文脈につなげて考えられているか
    →企業の長期的な戦略に紐付けられているか、将来打たれうる政策に合致しているか、次世代の価値観の変化に対応しているか
    →ここの文脈を束ねストーリーをつくっていくこと

      3短期的に利益が出る事業だけしようとしていないか
    →事業と共創プロジェクトを組み合わせることで新しい強みに繋がったり、新たな市場につながったりしていく

      4活動を継続するための最低限のお金と仕組みはあるか
    →持続性には先立つものが必要。
     プロジェクトが誰からどう支えられたかを可視化

    ・共創が起きやすい社会環境とは
     1共通する社会課題がある
     2ステークホルダーをつなぐ場や組織があり、つなぎ手がいる
      3つの場の機能が必要と言われる
       フューチャーセンター
       イノベーションセンター
       リビングラボ
     3国、自治体、企業に明確なビジョンや構想がある
     4リスクを負担するしくみがある
     5社会関係資本がある

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    投稿日:2022.11.08

  • そうい

    そうい

    共創の作り方、注意するポイントや可視化などとてもわかりやすい一冊。自分の仕事でもこれを参考に見える化して巻き込みを考えていこうと思った一冊。

    投稿日:2022.10.30

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