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キム・エラン, 古川綾子 / 亜紀書房 (2件のレビュー)
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総合評価:
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yoshio2018
どの短編も格差社会で必死に生きてきたけど、どうしても這い上がれないことを知りたくない気持ちが漂ってくる。「三十歳」:先輩にあててに書いた手紙。若いうちは人生はなんとか切り開いていけると考えていたが、三…十歳になるころには、それは間違えだったと分かってくる。マルチ商法に絡めとらてなんとか逃げ出したが、後輩を誘ってしまい、その後輩が借金で自殺しようとした。自分は、家族の問題でもっと借金を抱えてしまった。人生を生きていくのは辛いな。続きを読む
投稿日:2023.07.23
tripper
このレビューはネタバレを含みます
最終話の「三十歳」が強く印象に残る。必死に努力しているのに報われず、どうしようもなくなって最後にたどり着くネットワークビジネスの販売員という、過酷な仕事。そこでは人間性が奪われ、人間関係が壊れ、主人公は深い深い傷を負う。どうにかしてその状況を抜け出したものの、大きな罪悪感を抱えて生きる主人公が懐かしい「先輩」へ宛てた手紙で淡々と語る形式だが、その物語はとても胸を打つ強烈なものだった。 実際の社会問題を題材にして、短編小説として鮮やかに切り取り、しかもあの結末は…とあれこれ考えずにいられない深い余韻を残す、印象深い物語だった。
投稿日:2023.03.25
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