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金田一秀穂 / 講談社 (22件のレビュー)
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城田逸
『15歳の日本語上達法』 著者 金田一秀穂 講談社 2010年 この本は日本語学者である金田一秀穂さんが15歳の少年少女に向けて日本語に関するあれこれを語ったものである。 本書は日本語というのはど…ういうものか、そもそもの言語の成り立ちそして日本語をうまく扱うためにはどうすればいいのかなどが書かれている。 この本では国語力と日本語力を分けているところがポイントである。著者にとって国語力とは言葉を覚えるものであり、いわゆるお受験的なものを想像されている。それに対して日本語力というのは言葉で考えるということに重きを置いており、ある知識とある知識を言語として整理し、別の考え方を作り上げていくという過程が日本語力の真髄であると書いてある。 そしてそのような日本語力を培っていく方法を3つ紹介している。 1つ目が外国語を身につけようということ。なぜなら外国語を身につけることで、その国の言語を通した見方が身につけられるということできるからだ 2つ目が古典と言われる名作に挑戦することである。そうすることでどの時代でも通用する「ホンモノ」を獲得できるからである。 3つ目が目にしたものをなるべく正確な言葉で表現するよう努めることである。そもそも言葉には情報を正確に伝える機能と自分の気持ちを表現する機能がある。著者曰く国語では得てして後者が重視されがちであるが、前者も鍛えておかないとそれが必要な場面で苦労してしまう。なので、目にしたものをなるべく正確な言葉で表現する必要性があるということである。鍛え方は簡単で、目にしたものをたとえ、たとえば照明のリモコンだったらボタンが10個ある、ボタンの大きさはそれぞれ違う、よく使うボタンは大きくしている…など観察記録のように個人的な感想は一切抜きにして書いていくことである。 最後に個人的に面白いと思った箇所を引用する 彼らが最も大切にしていたのは「お互いに一緒に生きていこう」という認識だったというんですね。 これは、とても魅力的な仮説です。この説が正しければ、言葉は本来、人と人とが仲良くするための「平和の道具」として生まれたことになります ぼくたち人間は、言葉を通じて世界とつながっています。 それはまた、僕たちが常に世界とワンクッション置いてしかつながれないということでもあります。僕たちは「刺身」とつながることはできても、そのもの自体と直接つながること、直接、向き合うことは永久に不可能です 続きを読む
投稿日:2024.04.05
司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)
K159 「友だち関係に悩んだりするのも、ちょっとした言葉の行き違いが元だったりするものです。 15歳の今だから身につけたい日本語上達法を、金田一秀穂先生が伝授。 「お刺身」と聞いただけで生ツバを飲…みこむ私たち。でも「死んだ魚」と聞くとどうですか?どうして言葉ひとつで、こんなふうに違って感じるのでしょう?毎日、何気なく使っている言葉。そもそも言葉ってナニ?金田一先生が楽しくお話ししてくれました。日本語力をアップさせる秘訣も伝授。」 目次 まえがき ぼくは学校が嫌いだった 1 言葉ってナニ? 2 正しくなくても、伝わる言葉 3 言葉にならない言葉 4 考えるための言葉 5 十五歳のための日本語力上達法 あとがき ゆっくり大人になっていいんです 著者等紹介 金田一秀穂[キンダイチヒデホ] 1953年、東京に生まれる。祖父・京助、父・春彦に続き、日本語の研究を専門とする。上智大学文学部心理学科卒業。東京外国語大学大学院日本語学専攻修了。中国の大連外国語学院、アメリカのイェール大学、コロンビア大学で日本語を教える。後に、ハーバード大学客員研究員を経て、杏林大学外国語学部教授として教鞭をとる続きを読む
投稿日:2023.10.09
masaximum
言葉とどう向き合って生きて行くか?ということは、人が生きて行く上でどれほど重要なことであるのかがよくわかる。たしかにそうだよなと感じる良書です。
投稿日:2023.08.15
きつ
言葉について、国語力とは違って「言葉で考える」ということについて、たっぷりと書かれた本。とても読みやすくて、1時間あれば読み切れる。 言葉は日常では会話など伝え合うことに使うことが多く感じるが、実は…自分の中で考えるために必要で、言葉が無ければ思うことや感じることも出来ないこと。例で挙げた、アメリカ人は肩がこらないというのも面白いなと思った。言葉はその文化や時代が背景にあるのだと気付かされる。 でも、言葉では足らないもの、言葉以上に表現できるものもあるということも納得。方言の手紙や外国の音楽、意味は全て分からないのに心を打つものがあり、そんな「心のこもった言葉こそが、本当に美しく、正しい日本語なのではないか。」というまとめは、とても共感できた。 俵万智さんのサラダ記念日の例も、たった1行の短い文で読者の想像力を掻き立てる力があることを、説明を聞いて初めて感じた。そう見ると、短歌ってすごい!文章ってすごい! 最後に、「日本語が上達するための三つの方法」が書かれていて覚えておきたいのでメモ。 ①外国語を身につけよう、外国で過ごしてみよう ②古典にアタックしてみよう ③目にしたものを言葉にしてみよう 個人的には②が1番興味があった。「ホンモノ」が分かる感受性を養うためにも…本当にそう思う!文学も音楽も芸能も、何百年も前に作られたものが今でも人を感動させられるって、本当にすごいと思う。阿波踊りもそうなるのかなー。続きを読む
投稿日:2022.01.30
quatorze
このレビューはネタバレを含みます
学校で勉強することじゃなくて、言葉を得ることの大切さ。 文字が書けるということではなく、言葉を、語彙をどれだけ持っているか、の話と捉えた。自分が思考するのに、世界を捉えるのに、言葉を使う。だから、言葉をたくさん持っていて、たくさん使えた方が、より世界をくっきりと捉えられるし、自分をしっかり伝えられる。言葉にならないこともあるし、言語が異なると捉え方は重ならない。だから伝わらないこともある。でも、自分が使っている言葉に目を向け、外国で異なる言語を使う文化を知り、古典から過去の人の言葉に触れれば、世界はもっと広くなるし、自分はもっと深くなる。
投稿日:2020.03.08
y_doka
言葉に関するあれやこれやのお話はぜひ15歳で知っておいてほしいものだけど、著者の生き方までマネされたら困るよなあという印象。著者が自称不遇な少年時代を過ごしながらも今ここまでの大家になれたのは、著者の…生まれが良かったからってのが最も大きい要素だと思うので。続きを読む
投稿日:2016.04.22
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