【感想】菌類が世界を救う キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力

マーリン・シェルドレイク, 鍛原多惠子 / 河出書房新社
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • masayakk

    masayakk

    とても興味深い内容なので読み始めたが、途中から文章が難解になり、読んでも頭に入らなかった。きっと言っていることは自分の関心するところなのだろうけども、入ってこないので…これは再読が必要だと思いながら、再読する時期は、だいぶ先になりそう。大事なことなのに。続きを読む

    投稿日:2023.03.24

  • 人、本、旅、あまのっち

    人、本、旅、あまのっち

    菌糸がどこまでも伸びる

    ある人がバケツいっぱいのペンキを持って
    街を歩くとする
    バケツには小さな穴があいていて
    どこをどう歩いたか分かる

    ペンキで出来たラインは全て菌糸にとっては
    身体なのだ

    とすれば、私たちも歩いて来た道のりの全てが
    身体なのかもしれない

    人類全ての移動の軌跡を可視化して
    重ね合わせる

    世界地図の上に出来た網の目それ自体が
    世界そのものではないのか
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    投稿日:2022.09.04

  • ちゃり

    ちゃり

    このレビューはネタバレを含みます

    " アメリカ先住民ポタワトミの一員で生物学者のロビン・ウォール・キマラーは、ポタワトミに固有の言語は動詞が豊富で、ヒト以外の世界に生き生きとした感覚を与えると言う。たとえば、「山」という語は動詞であり、「山になる」ことを意味する。山はずっと「山になる」プロセスにあり、能動的に山でいるのだ。こうした「有生性の文法」〔有生性は語が示す対象の生物としての性質を表す〕があるので、他の生物の生活を「それ」と形容したり、伝統的に人間に使用される概念を借用したりせずに記述することが可能になる。これに対して英語では、「他の生物の存在という単純な事実」さえ認めることができないと彼は述べる。もしあなたがヒトでないなら、あなたは自動的に無生物になる。つまり「それ」あるいは「ただの物」になるのだ。ヒト以外の生物の生活を理解するためにヒトにかかわる概念を持ち出すなら、あなたは擬人化の罠に嵌っている。「それ」という語を使うなら、あなたは生物を客観視することで別の罠に嵌る。――P.54"

    " 菌類は驚異的な分解者だが、彼らの多くの生化学的な業績のうちでももっとも印象的なものの一つが、木材に含まれるリグニンを分解する白色腐朽菌の能力である。フリーラジカルを放出する能力にちなんで、白色腐朽菌がつくるペルオキシダーゼは「ラディカル化学(radical chemistry)」として知られる仕事をする。「ラディカル」〔ラディカルには「急進的」、(化学の)「基」などの意味がある〕はまさに言い得て妙だ。これらの酵素は地球上における炭素の循環を永遠に変えたのだ。今日、菌類による分解――その多くは木材の分解――が最大の炭素放出源の一つであり、一年につき約八五ギガトンの炭素を大気中に放出している。二〇一八年に人間が化石燃料を燃やして排出した炭素は、約一〇ギガトンだった。――P.216"

    いままで特に強い印象をもっていなかった菌類というものに対して、ボルボックスやイスカに類するものを想像させる。そんな発想をしか得られない門外漢だが、非常に刺激的で読みやすい内容だった。
    こういう知識に出会うと、中学・高校で、学問というものには現状最新というステータスがあることを教えてくれる教師に出会えなかったことが悔やまれる。これが世の理だとばかりに与えられた知識が暫定的なものにすぎないと教えられなかったことに。

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    投稿日:2022.07.10

  • kiwi

    kiwi

    ぼくはもととも菌類と細菌の区別もついていなかったのだけれど、キノコやら粘菌やらという妙な生物に興味があり、いろいろ読んでいるうちに菌根について知るようになった。地上の植物の9割方が菌類と共同生活を営んでいることを知ったり、酵母なんかも菌類であることを教わったり、考えてみたらペニシリンだって菌類が作ったんだなと思い当たったり、もしかして人間って偉そうにしているけど、結局菌類のおこぼれをいろいろな形でもらって生きているだけなんじゃないかと思うようになった(もちろん悪さをするやつもいるんだけど)。会社の同僚たちに菌類と細菌について聞いたところで、違うことを理解しているのはほんの一握りだろう。かつてのぼくがそうだったように。連中が世界の半分を支配している、という言い方は決して大げさではないと思うし、そういう連中のことをほとんど知らないってのは、なんかいろいろやばいのではないかと思う。

    本書はそういう菌類連中の能力や可能性について書かれた一冊だ。科学系の翻訳本にありがちな、総花的であちこちすぎるきらいがあるので、菌類について知りたい、という最初の一冊としては薦めない。でも、だいぶ菌類について読んだつもりのぼくも初耳の話がたくさんあって、そういう意味では面白かった。キノコ、酵母。地衣類についてはもっと知りたい。リグニンを分解する数少ない生き物としての菌類、宿主をコントロールする菌類、アリタケにやられた蟻は体内の4割が菌類なんだそうだ。おれ蟻じゃなくてよかった。菌類を使って建材を作るというプロジェクトがあるそうで、たしかに「持続可能性=サスティナビリティ」を重視するのなら、菌類を始めとする生き物に、生き物としての力で作ってもらうのが何よりだと思う。キノコでできた家なんかを想像して、「指輪物語」に出てくるホビットの家みたいのに住んでみたいと思った(実際には「建材」を作るだけだからキノコの家に住むわけではない)。勝手に部屋が増えたりしたら面白いな。隣の家に侵攻しちゃったりしたらまずいけど。
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    投稿日:2022.06.19

  • izusaku

    izusaku

     図書館の新着コーナーで手に取った。
     すぐさま菌類の世界に引き込まれてしまった。菌類は食材として、また酒類醸造の役者としてたいへん身近な存在、その生態の深淵さを教えてくれる一冊だ。
     協調行動・情報伝達、問題解決能力、宿主支配、菌根共生、菌根ネットワークなど菌類世界を垣間見せてくれる。神経伝達物質を産生するマジックマッシュルームは身近ではないが、菌類が人類の病気の治療薬に貢献していることも改めて認識できた。なるほど。続きを読む

    投稿日:2022.03.18

  • gateauaucitron

    gateauaucitron

    あらゆる生き物は菌類によって生かされている。知らないうちに操られてさえいる。菌類は環境汚染を解決し、深刻な病を治療する可能性を秘めている。超過酷な環境にも耐える。時には私たちの胃に美味しく収まる。漫画でもありえないレベルの大活躍。すごいぞ菌類!そんな驚きに満ちた本。続きを読む

    投稿日:2022.01.23

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