【感想】合戦で読む戦国史 歴史を変えた野戦十二番勝負

伊東潤 / コルク
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • あわい

    あわい

    歴史作家が史実ベースで各種合戦を解説していく。取り上げられている合戦は桶狭間や長篠、川中島に大坂夏の陣など特段詳しくなくても覚えのある有名なものばかりなので、親しみやすく読める。
    勝ちに不思議の勝ちありは本当か…。エンターテイメント的にはやはり天才的采配によって混戦から勝ち取った勝利からの快進撃というものを期待するが、実際は情報収集や根回しの違いなど、戦術以前の戦略での差が効いてきているという分析が多い。
    まあ、やはり現実というものはそんなものであろう。あと、油断と慢心はよくない。
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    投稿日:2023.06.13

  • npol

    npol

    有名な小説家の作品だが、事実ベースで合戦を分析している。随所に簡略地図が掲載されているのは非常にありがたい。
    ある意味オーソドックスな、それでいて最近の研究も反映させた見解が並ぶので、昭和の通説や司馬史観で育った身としては興味深い話も多く、令和の歴史小説を読むための土台としても有益だと思う続きを読む

    投稿日:2022.10.15

  • yasz

    yasz

    この本を書かれた伊東氏は「決戦シリーズ」で一部を書かれていて名前だけは知っていたのですが、単独で書かれた本を読んだのはこれが初めてとなります。

    戦国時代の戦いは多くありますが、その中でも歴史を変えた野戦12番勝負というサブタイトルには惹かれてしまいますね。令和4年の夏休みに久しぶりに実家に帰る新幹線の中で読んだ記憶がありますが、レビューを書くのが遅れてしまいました。

    一つの事件について多くの人の解説本が読める幸せは、特に最近になってからではないのでしょうか。十分にその楽しさを味合わせてもらいたいと思っています。続編も期待しています。

    以下は気になったポイントです。

    ・河越合戦の結果は関東の政治秩序と勢力図を一変させた、関東公方と関東管領はそれまでの権力と権威を失墜させ、逆に北条氏は関東制圧のきっかけを掴んだ(p32)

    ・桶狭間の戦いにおける今川義元の行動は、自らが後詰となって鳴海・大高両城の包囲を説くことであったことは間違いない、最重要目的は鳴海よりは小さい大高城であった、伊勢湾に面していた封鎖されにくく信長の勢力下から遠いこともあったのだろう(p56)

    ・信長の戦い方は前半生(美濃制圧)と後半生では異なる、稲生の戦い、村木砦の戦い、桶狭間の戦いでは自分が兵力的に劣勢であるにもかからわらず若者たちのモチベーションの高さを頼みとした戦い方で窮地を脱した、後半は兵力優勢とする横綱相撲となる(p63)

    ・義元は桶狭間山に登り酒宴を開いていたが、高根山の峠に殿軍を残してきており、そこで殿軍が頑張れば義元が逃走する時間を作れる、それを知ったの信長は長坂道を上がらず高根山を迂回し、北から桶狭間山に攻め上がった、簗田政綱がこの迂回路を知っていたので、それが戦後に「功第一」とされたと思われる(p68)

    ・大前提として戦国時代は慢性的な飢餓の時代であることを忘れてはいけない、中世の日本は冬の終わりから夏までの端境期に飢餓が訪れ人が死んでいく時代であった、それが克服できない時には、農地を捨てて流民となるか、野盗と化して略奪行為に走るか、領域支配者を頼るしかない。頼るとは、足軽小者といった底辺の地位で家中に組み込まれ、その領域拡大戦争に参加すること(p104)信玄が当主になって気づいたのは、甲斐国の人々を飢えさせないためには侵略しかないということ、結局、信虎の方針を踏襲することになる(p105)

    ・清洲会議の後、秀吉は日本の中枢部を抑えた、石高では267万石の秀吉に対して、勝家は188万石であった、動員兵力は、秀吉8万に対して、勝家は5万6千程度(p181)

    ・愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶとは、経験から学べることには限りがあり、そこから学ぶ者は失敗することが多い。しかし歴史には膨大な教訓が残されており、そこから学ぶものは失敗を回避できるかもしれない、と言いたかったのだろう(p290)

    2022年8月17日読了
    2022年10月10日作成
    続きを読む

    投稿日:2022.10.10

  • ライオン

    ライオン

    戦国史の転換点となった合戦を後世から分析。なるほど、歴史にifはなくても、なるべくしてそうなったのかな。勇将勝頼も信玄のカリスマが武田を滅ぼしたのか。設楽ヶ原や山崎の合戦当日の天気など。
    やはり、合戦はうまくいかない想定をどれだけ積んでいるかなんだろうなぁ。続きを読む

    投稿日:2022.09.16

  • okudaka

    okudaka

    伊藤潤の著書はとても読みやすく、この本も一気に読むことができた。
    もう少し目新しい視点があるかと期待したけど、考察は普通だったかな。

    投稿日:2022.09.11

  • 臥煙

    臥煙

    「賢者は理屈で動き、愚者は感情で動く。」人気歴史作家が分析した戦国の合戦十二番勝負。

    幅広い分野の歴史小説で名を馳せる筆者の一冊。小説を支える豊富な知識に基づいた、戦国時代の合戦を最新の知見から分析している。

    本書は陸上自衛隊の隊内誌「修親」という何ともマニアックな雑誌の連載コラム。かなり専門的な読者を想定している。

    特に長篠の戦いの織田信長と、摺上原の戦いの伊達政宗。相手方を自分の仕掛けたトラップ、窮地に引きつける戦術の見事さ。

    近年、関ヶ原の戦いを始め従前の定説を否定する新説が広がりつつある。そんな最新の解釈も踏まえた合戦の解説。
    筆者の小説とはまた違った視点から楽しめます。
    続きを読む

    投稿日:2022.08.14

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