【感想】すらすら読めるイエス伝

山本七平 / 講談社+α文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • boutoumetous

    boutoumetous

     よい意味で「看板に偽りあり」。すらすら読める、どころではない、一個の研究書として読める。
     冤罪を回避するためにユダヤの律法が設けた二重三重のフェイルセーフはこんにちの裁判制度に比肩、いや、ある意味 上だろう。選ばれし民、と自負するのもむべなるかな。
     驚いたのが、二次大戦中にドイツの収容所で十字架への磔刑を人体実験したという記事。
     これまで漠然と、イエスは出血多量で死んだものと思っていた。大間違い。まさか酸欠死だったとは。
     救世主を美化し、讃えるべき福音書でも、明らかにイエスが処刑を怖れている様子がうかがえる。後で復活すると確信があったところで、あれは怖いだろう。
     信仰の無い私だが、イエスへの敬服の念は禁じ得ない。
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    投稿日:2020.05.20

  • キじばと。。

    キじばと。。

    まとまった「イエス伝」ではなく、著者の山本七平がこれまでイエスについて書いた文章を、彼の死後に夫人がまとめた本です。

    サタンについて著者は、『旧約聖書』ではサタンは神に敵対する存在ではなく、神に従属し、人間の悪を神に報告する存在としてえがかれていると述べています。そのうえで、このサタン像を、ラインホルト・ニーバーの「われわれが遠慮なく真理を語っているときは、相手に憎しみをもっている時か、全然人間的な愛情をもっていない時だ」ということばに関係づけています。つまり「人が義を口にするとき、正義の側に立って告発するとき、それがじつは憎悪であって「愛」ではないという恐るべき事実」を教えているとしています。

    またイエスの復活については、熱心党の指導者だったベン・ヤイールを引き合いに出して論じています。ヤイールは、自分たちの死が神の意向ならば、それをそのまま受け取ろうといいます。しかしここには「わが神、わが神、なんぞ我を見捨て賜いし」と述べたイエスの精神はないと著者はいい、ヤイール信じたのは、神の意志ではなく、むしろ彼自身の意志ではなかったかと問いかけています。これに対してイエスの復活を信じたパウロは、主の復活を信じ、死の勝利を信じたヤイールとは異なっていたと著者は主張しています。
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    投稿日:2014.02.05

  • ポォ★

    ポォ★

    ほんとにすらすら読めて、すぐに読み終わるイエス伝です。

    ある程度、詳しく突っ込んでもあるし、当時の背景にも踏み込んではいる。
    そんなにブ厚くないし、文庫本としてはなかなか書いてある方だと思います。

    ただ、詳細部分の信憑性ということになると、鵜呑みに出来ない哀しさが・・・
    特にユダヤ法やユダヤ人の当時の生活全般に関しては、これをキッカケに、いろいろと読み漁る方がよろしいかと思われます。

    この本の作者である、山本七平氏と山本書店代表で奥さんのれい子さんは、共に信者さんでありますから、そういうことを踏まえて読まねばなりません。
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    投稿日:2008.12.29

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