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マーク・トウェイン, 柴田元幸 / 研究社 (14件のレビュー)
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総合評価:
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bookkeeper2012
じつに伸びやかな冒険譚なのであるが、「しゅくえん」の話みたいに南北戦争前のアメリカ中西部の厳しさも多々あり、ハックの良心についての悩みも読みごたえがある。 挿絵がたくさん入っているのも、終盤のともす…ると蛇足っぽいあたりも、なんだか昔の本という感じがして好き。続きを読む
投稿日:2023.07.01
oshinobi47
柴田元幸さんによる新訳版。 ハックとジムのやり取りをはじめとする会話シーンが印象的。 持っている知識を使って自分なりに物事を理解しようとする様が、会話の中から見えてくるのが面白かったです。勘違いや言い…間違いも含めて。 ハックの一人称の語りを通して、子どもたちが世界をどう捉えているのか、宗教や政治や歴史をどう捉えているのか、とても生き生きと感じられました。 特に、黒人奴隷のジムに対するハックの葛藤に引き込まれました。 ジムのことは愛しく思ってるけど、元々誰かの所有物だったため、そこから逃げ出す手助けをしてしまったという「盗みの罪悪感」を常に抱いています。しかし一方で、ジムが家族と離れ離れになったり、逃亡ニガーとして捕まってしまうことが理不尽なことだという意識もあります。 ハックの中では、ジムを捕まえることが善で、ジムを逃すことは悪。 今とは違う価値観ですが、ハックの語りを通して、彼自身の中にその価値観が埋め込まれてしまっているのがよく分かります。そして、「そういう価値観を信じ込むというのはどういうことか」を読者が体感できるようになっています。 だからこそ、その価値観に自らあらがって、「よしわかった、なら俺は地獄に行こう」と覚悟を決めるシーンが際立つのです。あそこのシーンはシビれました。 そして改めて、変な奴とされながらも常識をきちんと疑うハックと比べて、トムソーヤーはなんでも型にはめて物事を行おうとするつまんない奴だなと思いました。ハックをバカにするときも人格を否定するような言葉を使うし。子どもだからまだいいかもしれないけど、これがこのまま大人になったらかなりキツいなと。 マーク・トウェインがどのような意図をもってトムソーヤーをこういうキャラクターにしたのかが気になりました。 後半トムソーヤーが再登場してから話が無意味に停滞し、まったく展開しなくなったのもきつかった。最後のクライマックス前にめちゃくちゃ盛り下がりました。 とはいえ全体としては、語る内容にもましてその語り口に面白みがある物語として、改めて楽しむことができました。そして、ここまで書いてきた感想ひとつひとつに応えてくれるような、柴田さんの解説もとても面白かったです。続きを読む
投稿日:2022.06.15
トモミ
トムソーヤがおままごと好きならば、ハックは本物の冒険者。危険から逃げていかだに戻りたくてたまらないのに、なぜかいつも冒険に巻き込まれてしまう。少年の機知に富んだ対応や、スパイスのように効いた人種差別の…背景が冒険を加速させている。続きを読む
投稿日:2021.04.30
シマクマ君
ハックルベリーのお話を、子供向けの童話かなんかじゃないかと考えていらっしゃる方が多いのですが、果たしてそうでしょうか。 まあ、長大なミシシッピ川のいかだの上で、終わりなき時を暮らしているようなもの…ですから、お忙しい大人の皆さんにはアホらしくて読めないかもしれませんね。でもね、マーク・トウェインは「トム・ソーヤーの冒険」というおはなしを、学校で「よいこ」をしている子供向けには書いているわけで、こっち、ハックルベリーね、はどうも大人向けなんじゃない買って読み終わると思うんですよ。 お仕事とか、趣味とか、人付き合いとか、まあ、何かとお忙しいこととは思いますが、一度手に取っていただくと分かりますよ。忙しく暮らしていることがいかにバカバカしいか。 柴田元幸さんの訳で初めて読み通せた割りには、えらそうな口を聞いて申し訳ありませんでした。 ブログにも、あれこれ書きました。覗いてみてくださいね。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201905070002/続きを読む
投稿日:2020.09.11
mitie
数年前に同翻訳者のトムソーヤを読んで世界観に引き込まれ、かなり楽しかった思い出があった。ハックの話も読みたいと思いつつ、単行本でやや高めの値段設定なので躊躇していた。しかし夏はやっぱり少年の話が読みた…くなるよなーと思い満を持して購入!内容は期待を裏切らず、楽しめた。ハックもジムも現代に生きる私からすると耐えられないって思うような立場に追い込まれたりしているのに、お互いの存在が支えになっているのか、次々と道を切り開いていって、かなり勇気がいる選択もしている。愛すべき2人のキャラクターに敬意を感じる。続きを読む
投稿日:2020.07.24
run
このレビューはネタバレを含みます
柴田元幸さんが、出来るだけ原著に忠実に、ハックの声を再現した翻訳で、ひらがなが多く最初は読むのに苦労しましたが、後半からハックの魅力全開で、どんどん読めました。 小説の舞台の時代も生活も人々の考え方も今とあまりにも違いすぎて、良心に従うことが必ずしも自分のやりたいことと一致しない現実に苦しむハックの姿は心が痛みました。しかし、困った事になると、次から次へとよくもこれだけ出てくると感心してしまうほどの言い訳や嘘八百が傑作で、何度も大笑いしました。また、黒人奴隷のジムが教えてくれる悪いことのしるしやおまじないなどもたくさん出てきて、一体ジムは何歳なのか、と思いました。ハックが女の子のフリをしていたのを見抜いたおばさんが確かめるためハックにいろいろやらせてみるのも楽しかった。 そしてハックとジムの名コンビぶりがなかなかよくて、ミシシッピ川を下るいかだの風景がずーっと読者の頭のはに流れるくらいになったところで、ハックが、自分は地獄に行こう、と決めるシーンはこの小説の白眉。ハック最高!とおもわずガッツポーズが出る。 トム・ソーヤのこだわりに付き合うハックとジムは本当にえらい。ラストで明かされる秘密もふくめて、読んでよかった!と思う作品でした。
投稿日:2020.01.28
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