【感想】猛き黄金の国 伊能忠敬 上巻

本宮ひろ志 / サード・ライン
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • まっしべ

    まっしべ

    わが郷土の偉人、伊能忠敬の一代記・上巻。
    50の坂を超えてより20年弱に亘って日本全土を歩いて実測して廻り地図を仕立てた、正に鉄人である。


    上巻では貧乏漁師の息子と蔑まれ侮られていた少年期から、勉学に目覚め、算法の才が評判となり佐原の名門・伊能家へ婿入りして天明の大飢饉に立ち向かうまでの前半生が本宮ひろ志先生のエネルギッシュな筆で描かれる。
    身分も後ろ盾も何も無い男が自らの行動で周りの信頼を勝ち得ていくさまは筋としてはよくあるものながら真っ直ぐに心を揺さぶるパワーに満ちている。3つ上の姉さん女房〈ミチ〉は当初、気位高くつっけんどんな女性に描かれ忠敬との夫婦仲もギクシャクしていたのだがそこは忠敬、妻の気持ちをも力ずくで振り向かせる事に成功する。この辺の心理描写は良い意味でも悪い意味でも雑。
    ミチの前夫との子〈忠孝〉(ややこしいのだけど彼も読み方はただたか)が幼くして事故死してしまう場面は悲しいのだが、この出来事が忠敬・ミチ夫妻の心をどのように変化させたのかについても触れられることは無く、想像するに忠孝はこの時点では伊能家先代の実子・即ちゆくゆくは後継者として収まるべき人物であり、繋ぎで婿に来た忠敬にとっては歴とした対抗馬だった訳で、作中そういう風には描かれてないけど忠敬の中ではどこかホッとした部分が無かった訳でもないのではなかろうか。同じくミチにとっても跡取りが居なくなってしまった為に忠敬との間に男児をもうけなければという現実が迫ってきた事で、夫婦共々カドが取れて利害がパチっとはまるようになったから仲が良くなったという見方も出来る。ぜんぶ想像だが。

    ともあれ、行動の人・忠敬は未曾有の大飢饉にどう立ち向かうのか、佐原のもう一つの名家である永沢家との折り合いはどうなるのか、そして如何にして地図を作る事になるのか。
    後編へ続く。


    1刷
    2024.1.15
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    投稿日:2024.01.15

  • sakujin

    sakujin

    サラリーマン金太郎で著名な本宮ひろ志による人物伝漫画。上巻では幼少期から佐原の伊能家に婿入りして家業の商いで名をあげていく途上まで。
    伊能忠敬と言えば、義務教育の社会科で日本地図を作った人として有名だが、上巻においてはまだ地図の作成は始まらない。婿入りした先で先祖がその時代にしては極めて稀な精緻な測量地図を部分的に残していたのを見つけてそこから行動のヒントを得たこと、自由に好きなことをするためには財力と権力が必要なことを出自の苦い実体験から肝に銘じたという重要なエピソードが2点登場するものの、地図作成の着手はまだ遠い。下巻で語られるであろうなぜ地図を作るのか?日本全土というおよそ個人で成し遂げ難い大変な仕事をなぜ決死の覚悟で引き受けたのか?を知るのが楽しみだ。
    あと、妻のミチとの多少の濡れ場があって小学校低学年の子どもにはまだ見せれない。
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    投稿日:2023.04.08

  • DJ Charlie

    DJ Charlie

    書店で漫画の本を見掛け、雑誌に掲載されたこと等も知らない、自身の目線での「未知の新作」ながら酷く強く興味を覚え、夢中で読んで「好かった!更に善かった!」と思う。そんな本だった。
    18世紀末から19世紀初頭、所謂「江戸時代」の日本で、一歩一歩を踏締めるかのように日本中を歩き廻って測量を行い、地図を製作という大事業に打ち込んだと伝わる人物が在る。伊能忠敬だ。
    上巻、下巻の2冊で構成される物語だ。
    上巻は少年時代の事から起こされ、佐原で伊能家の婿に迎えられて、事業家として頭角を現して地元の指導的な立場になり、<天明の飢饉>というような苦境に向き合って行く様子が描かれる。
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    投稿日:2022.01.15

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