【感想】野に咲く花の生態図鑑【春夏篇】

多田多恵子 / ちくま文庫
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  • かとのひも

    かとのひも

    このレビューはネタバレを含みます

    野の花のしたたかな戦略を紹介する読む図鑑。
    ポケットサイズ。散歩のお供にも。
    〇マルハナバチさんの働き者っぷりと愛されっぷり。
    〇多田さんのお話も、それぞれの花の写真も見ごたえあり。癒されたり、なるほどと思ったり。
    〇「季節が山を駆けのぼる」←素敵
    〇シカへの対策は追いついているのだろうか。

    「春の花」
    ・閉鎖花…低コスト。つぼみの形に閉じた内部で確実に受精する。花弁は退化し、雄しべや花粉も削減。遺伝は親に似たものばかりになる。
    ・開放花…一般の花。コスト高く受精の確率は下がる。虫が遺伝子を運ぶので、様々な性質の子が出来る。
    ・エライオソーム…アリに種を運んでもらうためのご褒美。

    ホトケノザやタチツボスミレなどは、閉鎖花と開放花を持つ。

    ・レンゲソウ…レンゲソウを耕さずに水を張って種籾を直まきする農法がある。雑草の発生を抑えられる。
    一般には、種子を作る前に漉き込む。

    里山・雑木林の草花たちの光獲得戦略
    ・スプリング・エフェメラル
     早春の豊富な直射光を利用する。
     …フクジュソウ、カタクリなど。
    ・夏緑多年草
     温度条件のよい春から秋にかけて葉を広げ、こぼれ落ちてくる光を有効活用する。
     …ミズヒキ、ヤマユリ、キンラン、マムシグサなど。
    ・常緑多年草
     常緑の葉をつけ、冬も夏も光を利用する。資源の乏しい環境での節約型の生活。
     …カンアオイ、ジャノヒゲ、ヤブランなど。

    ※雑木林が放置されるにつけ、これらの植物が見られなくなってきた。

    ・花の色や香りにより、呼ぶ虫や鳥が違う。
    ・種子の旅の工夫
     春にタネをつけるもの…アリ散布種子が多い
     秋にタネをつけるもの…風や動物を頼るものが多い。

    「夏の花」
    ・共生した木に気を遣うテイカカズラ
    ・ギンリョウソウ…妖しい白い花。菌類に寄生。←見たことないなあ!
    薄暗い林床に群生する。種子散布者はゴキやカドマウマ。
    ・アツモリソウ…騎馬武者の母衣に見立てている。クマガイソウもある。
     種子は発芽に共生菌類が必要。園芸ブームによる無秩序な採掘で絶滅危惧Ⅱ類。
    ・マツヨイグサ…斎藤さんの研究。真夏の夜の夢。
    ・ウマノスズクサ…花が奇妙な形なら十中八九罠がある。加えて色が地味なら確実に罠。
     ウマノスズクサとハエ、写真四コママンガ有り。
    ・闇落ちしているヨツバシオガマ。暗黒の地下組織。
    ・ヘクソカズラ…見た目かわい。名前と匂いがヒドい。

    ※シカの食害。ハンターの減少。東日本大震災による立ち入り禁止区域を中心に増加。植物を食い尽くしている。

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    投稿日:2021.09.19

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