【感想】台所太平記

谷崎潤一郎 / 中公文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
2
4
0
0

ブクログレビュー

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  • ぴあ野

    ぴあ野

    →「坊津と谷崎潤一郎」
    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/082486d52563f99b24073ca686dda4dc

    投稿日:2024.03.09

  • 傍らに珈琲を。

    傍らに珈琲を。

    純文学の谷崎などと気構えず、気軽に読める、個性豊かで楽しい女中さん列伝。
    山口晃さんによる挿し絵が楽しい。
    特にウサギ耳の被り物をしている磊吉がクセになる可愛らしさ 笑
    文豪千倉磊吉の屋敷で働く女中さんたちが主役。

    姉御肌で、困っている同郷の娘を放っておけずに、次々と女中部屋に泊めてしまう初(はつ)。
    「女中部屋と云いましても、せいぜい畳数四畳半くらいで、そこに多い時は七八人もの娘たちが鮪のように折り重なって寝るのですから、その騒ぎと云ったらありません。」
    凄い様子だ 笑
    彼女たちは鹿児島弁で話すから、方言も紹介されている。
    鹿児島弁が分からないのをいいことに、初が磊吉に向かって
    「いっけつんもなかじじっこ」(いけすかない爺さん)なんて言ったという話も。
    こらこら、ご主人様に向かって 笑

    梅(うめ)の癲癇を診察した医者が、電気パーマの熱が発症の原因だと診断するシーン。
    そんな診断ってある??笑
    しかも「最も完全な治療法は、早く結婚することである」だなんて。
    時代だなぁ。。。

    他にも、小夜(さよ)の気味悪さや節(せつ)との件に谷崎らしさ?がちょっぴり見え隠れしたり、最後まで飽きさせない。

    これって、やっぱり谷崎家のことかな?
    永観堂からそう遠くない所に越した…や、熱海の山王ホテルなど、谷崎家がモデルとなっているのは間違いなさそう。
    小説の体をなした随筆なのかな。
    愛情深い眼差しで女中さん達がのびのびと描かれていた。

    続きを読む

    投稿日:2024.02.29

  • mmcit

    mmcit

     初版は中央公論社、1963年。「夢の浮橋」が後の潺湲亭のオモテ側を美しく描いた作品とすれば、こちらはその舞台裏とも言うべき小説。大所帯だった谷崎家の暮らしを支えた女中さんたちの「活躍」が列伝風に書き込まれる。

     ほんとうに久しぶりの再読だったが、谷崎が女中部屋を「鹿児島県人会」と呼ぶほど、鹿児島からの娘たちが次々とやってきていた、という話はやはり興味深い。高峰秀子の付き人の一人が谷崎家からの紹介だったことも記憶しておきたい。
     後の潺湲亭は住宅としては決して大きいとは言えないものだったから、最大で7人の家族と5〜6人の女中さんがいたというからには、相当に賑やかな家だったのだろう。「なぜそんなエピソードを知っているのか?」と思わせるほど、微に入り細にわたって彼女たちの「生態」(?)が綴られるあたり、『細雪』の創作ノートにも通じる谷崎の観察力、耳の鋭さが存分に発揮されている。
     
    続きを読む

    投稿日:2023.11.13

  • bleuflamant

    bleuflamant

    谷崎はエッセイが本当におもしろい 「読者に一切苦痛を生じさせず文章を読ませる」技術がとにかく卓越してる

    投稿日:2023.09.11

  • bauasano

    bauasano

    初は「いけすかない爺さん」と主人に言い放ち、銀は大恋愛に猪突猛進、百合は昭和の大女優をもたじたじとさせ…。文豪の屋敷でのびのび働く女中さんを、愛情とユーモアを込めて描く。

    投稿日:2023.04.20

  • ☆ベルガモット☆

    ☆ベルガモット☆

    111108さんのレビューが読むきっかけになりました。ありがとうございました。
    谷崎万華鏡で予習していたので、山口晃さんの挿絵が随所に散りばめられて登場人物のキャラの理解に役立つ。「編集部が抜粋し、再編成」とある。小説家の被り物が見慣れると違和感ないのは何故。
    「家の中が派手で賑やかな方が好きな」千倉家一家と個性的な女中の皆さんとの戦前戦後の様子を生き生きと描かれている。女中さんたち、なんとまあしっかりしていること。
    どの女中さんも愛嬌があってチャーミング。料理の場面は本当に美味しそう。百合の愛読書を『谷崎源氏』としているのには笑ってしまった。臙脂の着物を着た鈴の美しさやブルーのモヘアのカーディガンが似合っている銀。「私でなければ駒さんを理解できる人はいませんよ」樫村さんかっこよすぎ。頼吉さんとお気に入りの女中さんとの散歩や食事、足裏マッサージの様子などほっこりする。嫁入りやお里へ帰るなどで千倉家から卒業していくまでの女中達に翻弄される様子を一緒に楽しむことができる。
    時々磊吉さんが読む歌がまた良い。
    さつま潟とまりの浜に漁る日も伊豆のいでゆをわすれざらなん
    さざなみの滋賀の海女こそかしこけれ捕へし魚を遂にはなさず
    湯が原の春吟堂に客絶えずさくら咲く日もみかん実る日も
    磊吉さんの喜寿祝いで幕を閉じることになるのだが、とても名残惜しい。1960年代映画化されたよう。出演者の豪華さにびっくり。
    続きを読む

    投稿日:2023.04.08

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