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関幸彦 / 中公新書 (16件のレビュー)
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vinland
書名から戦記物を期待すると、ちょっと肩透かしかもしれないが、教科書にほんの1ー2行ほどしかない事件も様々な角度から見ると歴史のダイナミックな動きの一端が見える好例であると思う。 奈良時代の律令という外…に開かれ、中央集権、データ集積の時代を経て、次第に外に閉じて、律令のローカライズ、地方分権が進んだ時代へと移行していく中で起きた事件であった。 これを撃退したのは、従来型の徴兵された兵士だけでなく、藤原隆家とその私兵と思われる武士団、蝦夷から転戦してきたと思われる、軍事専門の官吏(下級貴族)などであった。 また、鎖国され情報が乏しいなかで海外に対して抱く強い劣等感と裏返しとしての優越感が増強されていくさまは安易に比較はできないが、現代にも通じるものがあると思う。 ある意味、現在もアメリカ一強の終焉、資本主義の行き詰まり、民主主義のポピュリズム化、コロナ危機を経て、鎖国ではないまでも穏やかに閉じた時代へ移行し、国内でも地方分権や民主主義の手直し、クリーン化などが行われるのだろう。 ここで興味深いのは貴族から武士の時代への変化の兆しは刀伊の襲来からも見て取れるが、武士というのが従来の権威と別に出現したのではなく、藤原隆家のような従来の権威と密接に結びついて出現したことであると思う。 地方や軍事に無関心な貴族と、その裏で地方の有力者が武装化し武士化していったというストーリーは、あまりにステレオタイプで実装と違い、軍事官僚と中央貴族との結びつきから武士が誕生したその中間がわかる事件であった。続きを読む
投稿日:2024.02.01
horinagaumezo
平安時代最大の対外危機である刀伊の入寇について、内と外の視点、前と後の視点から検証し、「海の日本史」の一端として描く。 日本史の教科書の脚注にちょびっと書かれていた記憶があるだけであまり具体的なイメー…ジを持っていなかった刀伊の入寇が、古代から中世に移り変わっていく中での、特に軍制史的な観点から一つのエポックメーキングな出来事であったことについて理解が深まった。また、意外と日本側の被害が甚大であったことに吃驚した。 本書で紹介されている、刀伊に連れ去られた人や捕虜になった家族を奪還するために密航した人の体験談がとても興味深かった。こういう貴重な話が今に伝わるのも、藤原実資が詳細な日記を残してくれたからであり、実に有り難いことだと思う。続きを読む
投稿日:2022.11.28
hashico
このレビューはネタバレを含みます
最後まで興味深く読めた。 永井路子さんの「この世をば」でチラッと出てきた時に気になったものの、調べることもなく、今になって良い本が読めました。 日本の外交姿勢が1000年以上経ってもあまり変わらないような気がしてしまって、何といったら良いのやら。
投稿日:2022.09.18
his360
平安時代最大の対外危機について、要因となった当時の東アジア情勢や国内の政治状況を踏まえ、武士台頭以前における王朝軍制の特質を検討する内容。内向きの対外認識の醸成過程や、武士論ともいえる内容も含み、参考…になる視点も多い。続きを読む
投稿日:2022.09.08
ktymknj
対外戦争とまでは行かないが平安期の外国からの侵入にたいしての考察。「武者の世」への視点、東アジアから見た視点など様々な考察が興味深い。
投稿日:2022.04.05
うみ
元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか? 当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだ…が) まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にややこしかったんだなとか、律令国家から弛緩したとは言え、太宰府と都の間の文書連絡は維持できていたんだなとか。 そして、刀伊を撃退した「やんごとなき武者」達は、武士として時代の中心に取って代わることになる。 最後に:刀伊とは、(≒東夷)からきてたのねと。 読みにくかった分☆一つ減続きを読む
投稿日:2022.03.18
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