【感想】「安南王国」の夢―ベトナム独立を支援した日本人

牧久 / ウェッジ
(2件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • しいちゃん

    しいちゃん

    ベトナム独立にこんなにも深く日本人が関わっていたとは、あまり知られていないのかも。ベトナム好きとしては知っておきたい歴史。
    革命家ファン・ボイ・チャウに担ぎあげられて日本に渡り、元首として帰国することを待望されながら、歴史に翻弄され失意のうちに東京で息を引き取った王族クォン・デ。天草から15歳でハノイに渡り、政商となり大きな影響力を持ち、民間からベトナム独立を支援した松下光廣。些細な行き違いで、歴史は大きく変わっていたのかも。
    二人の人物を中心に物語が進むけど、内容が複雑とはいえ、ドラマチックさを持たせるためか、話が行ったり来たりしすぎてややこしかった。「後述するが、~~」「前述したように、~~」が多過ぎて、時系列でわかりにくい(+o+) 誰が何歳の時に、というのがイメージしづらかった。
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    投稿日:2012.10.03

  • 忍豚

    忍豚

    このレビューはネタバレを含みます

    二人の人物を中心にベトナム独立運動が語られています。
    15歳で仏領インドシナに渡り、「大南公司」を興して成功した実業家・松下光廣。
    ベトナム王国初代嘉隆帝の長男で皇太子だったものの早世したグエン・カイン(阮景)の末裔で、日本に亡命して独立運動を推進した畿外侯クォン・デ(彊柢)。
    フランスの植民地であったベトナム独立のために奔走したこの二人の事跡を中心に、第二次大戦前の知られざる日越交流史が述べられています。
    ベトナム側では、独立運動のオピニオン・リーダー、ファン・ボイ・チャウ(潘佩珠)や、南ベトナム初代大統領となったゴ・ディン・ジェム(呉廷琰)、その他の独立運動家たち。
    日本側では、犬養毅や大川周明らの支援者たちや、仏領インドシナに渡って商売をしていた人々など。
    松下光廣を中心とした在留邦人たちの活動を通して、仏領時代のベトナムの実態が描かれています。
    大川塾出身のアジア主義者たちの活動と、日本軍部の思惑なども。
    日露戦争の勝利によって日本に期待したベトナム人たちは東遊運動によって日本に留学したものの、国際社会の一員たらんとする日本はフランスと敵対できず、日越双方ともに苦悩。
    やがて第二次大戦勃発による日本軍のインドシナ進駐も、結局はベトナム人たちの期待を裏切る侵略行為に過ぎなかった点が克明に。
    日本の唱える「アジア主義」も「大東亜共栄圏」も、「アジアの解放」などではなく、所詮は欧米に代わって帝国主義支配を目指した侵略であった事実が証明されています。

    大戦後はフランスからの独立、南北分断、ベトナム戦争を経た統一、それら歴史的事件と松下光廣の事業の変遷も。
    松下光廣の生い立ちのところでは、故郷・天草と「からゆきさん」について述べられているのが面白いです(^O^)
    近代ベトナム史と、近代日本のアジア政策の実態について学べる名著です。

    ニン、トン♪

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    投稿日:2012.05.14

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