【感想】曲亭の家

西條奈加 / 角川春樹事務所
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
7
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ブクログレビュー

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  • ハレハレ

    ハレハレ

    親に何も言えない癇癪持ちで病がちの夫、人の気持ち等お構い無し、しかし戯作者としては後世に残る傑作を書く舅の馬琴、家事能力欠如の姑。とんでもない家族とは暮らせないと、一度は家を出た路。しかし、修羅の家に舞い戻り、度重なる難題に忍耐強く立ち向かいます。夫の死後は、視力を失い、時代の波に翻弄される、馬琴の戯作者としての執念に寄り添い、口述筆記を手伝い、里見八犬伝を完成させます。馬琴の死の床で、初めて感謝の言葉を聞いた時には、グッと来ました。女性が筆の力で一家を支えるという、時代の先駆けにもなり、お見事、路さんと、最後は拍手でした。続きを読む

    投稿日:2022.10.23

  • 稲石浩司

    稲石浩司

    馬琴の息子に嫁いだ路の半生の物語。

    曲亭馬琴と言えば「南総里見八犬伝」ですね。
    子供のころNHKの「新八犬伝」を食い入るように見ていましたし、朝日新聞に連載していた山田風太郎の「八犬伝」(馬琴の世界と八犬伝の世界をリンクさせた名作)を毎日読んでいましたので、久しぶりの馬琴物で嬉しかったです。
    馬琴の日記があるので、それをベースに嫁の視点からの馬琴及びその一族を描かれていて、時代小説としても良い出来になっていました。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.02

  • hituji no shoko

    hituji no shoko

    読みやすくて面白かったです
    戯作者の家に嫁いだ主人公お路の苦労は大変なものでしたが、まっすぐな気性には好感が持てました
    現代でも人気の八犬伝、家族の多大な犠牲の上に成り立っています

    投稿日:2022.05.09

  • みかりん

    みかりん

    「南総里見八犬伝」の著者・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路の半生を描いた物語。

    昔、子供向けに優しく現代語訳にされた「南総里見八犬伝」を読ませてもらった私だけど、まさか著者がこんな偏屈&傲慢クソジジィだとは思わなかったな。そして、その作品の完成には息子の嫁であったお路の助けが必要不可欠であったことも知らなかった。滝沢家は嫁ぎ先の家としては最低最悪で、特に前半はどこに良いところがあるのか探すのが難しすぎるくらい。その中でも日々の小さな幸せを見つけ出すお路の逞しさと賢明さには恐れ入った。後世に残る超大作に携えたことは彼女の人生の大きな誇りになるかもしれないけれど、それはその時にはまだ分からなかったはず。一介の嫁で終わることなく、天才戯作者の右腕の役を全うしてくれたお路さんに現代から拍手を送りたい。続きを読む

    投稿日:2022.01.21

  • kimikokumiken

    kimikokumiken

    この時代 人気作家の滝沢馬琴の息子である医師の宗伯に 嫁いだお路。
    その半生が、描かれている。

    何でも口に出して、自分の思い通りにしたい舅、脚気を患っている姑は、エキセントリック。
    夫は、父親の目を気にするし、癇癪もち。
    そんな家庭に、見切りをつけたくて、お路から、見下り半を言い出し、家を飛び出したのだが、・・・・
    1日で萎れる酔芙蓉の花のように 正に1日で、夫の迎えで、元ヘ戻ってしまった。

    お手伝いの者も、この家に居つかない程、馬琴の口だしには、閉口しながらも、黙々と、家を守りながら、子供を育てるのだが、・・・
    最初に成した子供は、夫の嫉妬の不可抗力で、流産してしまったり、夫が病で亡くなったりと、・・・・
    それでも実家にも戻らず、滝沢家を守っていくお路。

    最後には、馬琴も目も見えなくなり、南総里見八犬伝の口実を写す役も しなくてはいけない羽目に・・・

    しかし、最後は、孫にも恵まれた日を送るお路の姿。

    ほんの小さな幸せが、暮らしの糧になる。
    今の時代も、天災やコロナウイルスで、今まで当たり前の生活が、一変してしまう事もあり得る。
    毎日同じような日々の中に、ほんの小さな楽しみを見つける事に幸せを感じながら、行きたいものだと、思いながら、本を閉じた。
    続きを読む

    投稿日:2022.01.04

  • todo23

    todo23

    『南総里見八犬伝』の作者・滝沢(曲亭)馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の物語。
    なんともバラバラ、不仲な家族なのです。
    「智に働けば角が立つ」を地で行き、家族を含め周囲の人間と衝突を繰り返す舅の馬琴、癇癪持ちで馬琴と路の不義を邪推する姑のお百、病弱で突如激昂するDV夫の宗伯。一方、路も「善き嫁」ではなく、それらに強く反発し、頭に血が登れば人を傷つける発言をします。もっとも、そんなみんなが頑なで不仲な修羅の家庭を、小さな喜びを日々に探しながら、何とか繋止めているのも路でなのです。路の頑張りが報われ、ごく稀に家族が寄り添うシーンも有ってホッとします。
    並行して馬琴の創作に対する執念についても語られます。片眼の視力を失い医者から止められても創作を止めず、全盲になってなお不仲な嫁を叱咤し口述筆記(しかも矢鱈と難字を使う)で作品を完成させる。先日読んだ『渦』(大島真寿美)の近松半二もそうでしたが作家としての業(ごう)を感じさせます。

    そういえば朝井まかてさんにも『阿蘭陀西鶴』(井原西鶴の盲目の娘・おあい)や『眩』(葛飾北斎の娘で女絵師・応為)の様に、江戸時代の芸術家の娘を主人公にした作品が有りました。北斎を支える応為の様に、最終的には路も馬琴の死後に弟子・琴童として八犬伝を仮名で書き直した『仮名読八犬伝』などを執筆するのですが、朝井さんとはまた別の味わいのある作品でした
    続きを読む

    投稿日:2021.12.24

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