【感想】ブラザーズ・ブラジャー

佐原ひかり / 河出書房新社
(72件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
18
29
15
2
0

ブクログレビュー

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  • ぬたろう

    ぬたろう

    多様性を受け入れるべきという机上の空論と、実際に目の前にある多様性を受け入れる事との違いを考えさせられる小説だった。
    マイノリティに堂々と差別的な発言をする人間を見れば心底軽蔑して、自分は理解のある側の人間のような誇り高い気持ちになることがある。でも現実に、例えば自分の家族に何かしらのカミングアウトをされた時には、いつも見て見ぬふりをしていた差別的な自分が顔を出すだろう。勿論、すべての先入観や偏見を捨てることなんて出来ない。でも、そういった自分の先入観や偏見を見て見ぬふりをして理解のある側に立っている気になっている高慢さを、他人に見抜かれたような気持ちになる小説だった。

    それに加えて、傷つけないように曖昧な立場を取り続ける、という卑怯さを糾弾される小説でもあった。とても身に覚えのある卑怯さである。

    この本は氷室冴子青春文学賞大賞を受賞したそうだ。正直に言うと、その賞のことはこの本の帯で始めて知ったけれど、義理の弟がブラジャーをつけている話が青春文学だなんて、なかなかパンチのある侮れない賞なんじゃないだろうか。中高生にぜひお勧めしたい一冊。
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    投稿日:2024.05.13

  • blue

    blue

    父の再婚で家族になった弟はブラジャーをつけていた。
    LGBTとか性癖ではなく、純粋に好きなファッションとして。
    姉のちぐさは受け入れたが、ふつうじゃないと思われたくない、でも弟の好きを大事にしたい、と揺れる繊細な気持ちに共感できる。
    まっすぐな思いをぶつけ合う、ちぐさと晴彦のやりとりに、グッときた。
    読後も爽やかで、良かったです。
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    投稿日:2024.04.09

  • のんすけ

    のんすけ

    このレビューはネタバレを含みます

    父親の再婚相手の弟がブラ好きだった。という物語。
    コメディなのかなと思っていたら、そんなことはなく、ちゃんとした家庭ドラマ。

    ちぐさは自分の気持ちを押さえることで、周りとの関係を作り上げる女子高生。仲のいい友だち、大好きな彼氏にも自分と噛み合わないことがあっても、笑って飲み込む子。
    そんな中、お父さんの再婚相手の連れ子、中学生の晴彦。おとなしそうな見た目だけど、大人びていて自分を持っている。そんな晴彦にもだれにも言えないで抱えていた悩みがある…

    ブラを通してだけど、友だちとの喧嘩や自分の生き方を見直す、ちぐさの成長はおもしろい。

    ちぐさの友だちのサバサバキャラの絵美に、ちぐさが言ったセリフ
    「絵美は平気でも、他の人は気にするかもしれない。自分が大丈夫だからって、たかをくくりすぎだよ」
    グサッときた…わたしもよくやる…気を付けよう。

    そして、そんな絵美が自分の進路を親に反対されたときのセリフ
    「そのうち夢は叶わないし、誰かが叶えてくれるもんでもないからさ。~中略~ あのとき反対されてなかったら違う人生があったのかとか考えちゃって親のせいだー、って恨んじゃって。そういうジメッとしたのがヤなのよあたし」
    高校生にて自分を持ってる…自分の道を貫ける…すごいと思う。

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    投稿日:2024.03.12

  • maika

    maika

    このレビューはネタバレを含みます

    程よいページ数、かわいい装丁、中身、全部が良かった!ちぐさの黙りがちな性格に対して絵美が言ったことは的を得ているなと思った。おとなしい人が全員千草のような考えを持っていると思わないが、わたしもあまり口数が多い方ではなく、喧嘩した際も言っても伝わらないからと決めつけて黙ることが多い。相手にはそれが伝わっていたのかと絵美の発言で気付いた。
    ブラザーズ・ブラジャーでは晴彦のちぐさに対しての呼び方が「あんた」だったのに、ブラザーズ・ブルーでは「ちぐさ」に変わってるのが良かった。
    最後の海でちぐさが晴彦のブラジャー姿の良さを叫ぶシーンは特に好きだった。智くんといた時のちぐさとは全く違って、思ったことをどんどん言う姿は本来のちぐさのようで見ていて楽しかった。

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    投稿日:2024.02.04

  • りょう

    りょう

    主人公の父が再婚し、弟になった母の連れ子はブラジャーを着けていた…。LGBTや多様性の話かと思ったら少し違った。でも他人に理解されにくい個性を認めてあげるという点では同じ主題なのかも。

    投稿日:2023.12.15

  • siichan3212

    siichan3212

    父親の再婚でできたブラザーのブラジャーをキーワードにした話。
    ちょっと説明くさい気がするけれどとても分かりやすく物事と向き合っていて自意識や世間の目が気になる気持ちをハッとさせてくれる。
    主人公はとても切れやすい・・・と思ったけれど思春期なんてこんなもんなのかもしれないし、キレることができる環境に身を置けているって結構ラッキーなことなんだよなぁと思ったりもする。
    生活っていう土台があって、だからこそ自意識や世間と向き合えるんだよね。
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    投稿日:2023.10.17

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