【感想】アインシュタイン方程式を読んだら「宇宙」が見えた ガチンコ相対性理論

深川峻太郎 / ブルーバックス
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • よね

    よね

    京都大学で物理を専攻したが相対性理論に関して勉強してこなかったので、興味深かった。
    内容は自分が大学レベルの数学はある程度できるのですらすら読めたが一般人が読みこなせるのかはかなり不明。
    さらに深く知りたいと思ったのでシュッツ相対論入門をかってさらに専門的な内容を習得しようと思った。続きを読む

    投稿日:2022.05.21

  • TARO

    TARO

    ド文系著者がアインシュタイン方程式に真っ向から立ち向かう(理解を目指す)という目論みに満ちた本。

    なので、上からの解説ではなく本当に臨場感のある冒険的なワクワクを感じた。四苦八苦しながら未知の数式に取り組む著者に拍手!

    結局、自分にはあまりにも難しかったので全ては理解できなかったが、いつか紙と鉛筆を用意してこの本の歩みに合わせて解きながら読んでみたい。
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    投稿日:2022.05.12

  • corpus

    corpus

    特殊相対性理論までは飛躍がなかったが、一般相対理論あたりから飛躍が見られた。でも、それはそれでいいと思う。

    私は須藤靖さんの本を以前読んでいたこともあって、アインシュタイン方程式の横書き本は初体験ではなかった。竹内薫さんの本も横書き本だったかもしれない。

    この本のいいところは著者自身が理系でなく文系を通しているところだと思う。式変形をしてたどり着くところに爽快感がある。なんだか追体験している気分にもなる。この追体験のしやすさがこの本を決定づけている。須藤本、竹内本を越える何かがあった。ぜひ手に取って読んでいただきたい一冊である。
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    投稿日:2021.11.30

  • yoi520

    yoi520

    数式が展開していく過程は1ミリも理解できんけど、あらゆる物理法則が表現されていることに尊敬の念を禁じ得ない。

    投稿日:2021.11.18

  • Flooding Throne

    Flooding Throne

     こういう本を待ち望んでいた。相対性理論に限らず数理的に複雑なモデルの解説本は往々にして何故か数式を過度に忌避する傾向が強く、「ここのところは理解できなくても良い」という常套句を頻発させ、結論だけを押し付けてくる。畢竟、知識は増えるかもしれないが導出過程を欠いたものであるため、その知識を自分の頭で再構築しようとしてもできないことになる。本書はこの「わかった気分」を克服すべく、文系的な結論ありきの方法論によらず、アインシュタインが重力方程式を導いたその「数学の言葉」に沿ってこの難解極まる理論を追いかけてみようというもの。先述の押し付けが「上方からのアプローチ」だとすれば、差し詰め本書のそれは「下方からのアプローチ」とでも言えようか。本文中でも言及されるディラックの一般相対的理論の解説を、文系の僕にも理解できるよう丁寧に噛み砕いたものを期待して読み進めた。

     第2章くらいまで(特殊相対性理論におけるローレンツ変換)の流れは他の新書クラスの一般向け啓蒙本にも書かれており、さほど難解ではない。第3章以降あたりから偏微分方程式や行列の概念が出てくるが、これもわずかに残る高校や大学一般教養の知識でカバーできた。物理法則が真っ当なものであるためには、座標変換の結果なおも保たれなければならない何者か(ローレンツ変換の場合は不変間隔s2)が要請されるというのも、著者がストレートに表現した疑念(何故不変間隔の微分の結果である微小量が問題とされるのか)を除けば理解できる。第4章も、E=mc2の登場がやや唐突な印象を受けるものの、数式変換の解説がかなり丁寧なので、落ち着いて読めばなんとかついていくことは可能だ。ニュートン力学では運動量の時間微分が「力」となること、そして速度と「力」という2つのベクトルの内積の和が仕事量すなわちエネルギーの時間微分であること、の二点からE=mc2が導出される下りはたしかに美しい。著者のややオーバーな感動の表現も理解できると言うものだ。

     しかし問題は後半以降である。これ以降、著者の言うところの「天下り情報(導出プロセスが複雑すぎて解説が煩雑となるため、理屈抜きで飲み込まなければならない情報)」がどうしても頻出することになる。新書というメディアが要請する簡便さと、理論の記述の精確さとを衡量した結果、ある程度は「上方からのアプローチ」には頼らざるを得ないということなのだろう。仕方のないことかもしれないが「モヤモヤ」が残るうえ、理解の深度としてはどうしても浅くなる。

     重力=加速度を考慮する一般相対性理論になると、ある座標系から他の座標系に変換するための一般座標変換に、各座標成分の偏微分を含む複雑な「メトリック(g:計量テンソル)」が現れる。これはローレンツ変換のような定数ではなく時間や位置の関数であるため、いかんせん極めて複雑な形を取らざるを得ない。どうやら、この複雑な計量テンソルを求めるのがアインシュタイン方程式だということのようだが、本書の「下方からのアプローチ」では計算論理の正確な積み上げが重視されるため、この重要な事実(アインシュタイン方程式の意義)が最後の最後まで示されない。このため第5章以降の道筋で自分が今どこにいて一体何をやっているのかわからなくなる人が多いのではないだろうか。この点、本書で言う「タテ書き」本の「上方からのアプローチ」を併用して、「この計算は何のために行なっているのか」を確認しながら読み進めるのがいいと思う。僕は同じブルーバックスの「時空のからくり(山田克哉・著)」を参照したが、内容が本書と重なる部分が多く重宝した。

     ともかく、第6章では時空の曲率を表す概念として、非ユークリッド的なリーマン幾何学的平面において、ベクトルを平行移動した場合に生じるズレとして定義される時空の曲率を表す「リーマン曲率テンソル(Rμνλκ、μは上付。この後「縮約」によりリッチテンソルRμν、さらにリッチスカラーRが導出される)」が導入される。ここで、リーマン幾何学平面に局所的に現れるミンコフスキー座標系における光の最短距離=線素を繋ぎ合わせる役目を果たす「クリストッフェル記号(Γ)」が登場するが、これはメトリックgの偏微分で構成されている。そしてこのΓを微分するとRμνλκになるという。つまりRμνλκはgの2階微分で構成されていることになり、gが判明すれば時空の曲がり具合が判明すると言う関係性がここで示されている。

     第7章では測地線方程式の導出において「ラグランジュアン(L)」や「ポアソン方程式」、「エネルギー・運動量テンソル」が紹介されるが、この辺になると「内容は理解しなくても良いから結論を」のオンパレード。第8章でも、アインシュタイン方程式が扱えるようなある種の対称性を持った時空で「考慮しなくても良い」部分を次々に削ぎ落として計算を単純化する様子が丁寧に解説されるが、「そんなに単純化してしまって実践的な使用に耐えることができるのか」と言う疑念が湧く。しかし実際に重力波やブラックホールの検出を予言していると言うのだから、やはり私などの理解を易々と超えている。

     アインシュタイン方程式の左辺は「4次元時空の曲率(曲がり具合)」を示し、右辺が「時空を曲げる原因」となっている。右辺にエネルギー・運動テンソルが原因として示され、その結果時空が曲がる様子が左辺に現れるのだが、これはリーマン曲率テンソルがビアンキの恒等式により縮約された形となっている。これは結局時空の曲がり具合=重力場を示すメトリック(計量テンソル)の2階微分なので、微分方程式を解けば求めるべきメトリックが計算できると言うわけだ。ただし縮約後とはいえ10元連立2階微分方程式というとんでもない名前の代物で、一般解を求めるのがどのくらい難しいのかすら僕にはわからない。

     以上、本書を持ってしてもやはりアインシュタイン方程式を理解したなどという水準の満足感は到底得られず、どうしても隔靴掻痒の感は否めないが、そもそも本書は著者が専門家の助言を受けながら6年間の月日を費やしてたどり着いた境地であることを忘れてはいけないと思う。同じ頂きにたった一冊の本を読んだだけでたどり着けるわけがない。むしろ、その労苦を新書という手軽なメディア一冊に比類のない軽妙な語り口でもって押し込んでしまった、著者のキャラクターとパワーに素直な敬意を表したいと思う。
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    投稿日:2021.08.23

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