【感想】夜

ベルナール・ミニエ, 伊藤直子 / ハーパーコリンズ・ジャパン
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
3
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1
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ブクログレビュー

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  • takenarizm

    takenarizm

    もうすでに次が読みたくてしょうがない。
    ヒーローっぽくない主人公が、人間らしさに溢れているて、自分はそこが好きで読み続けています。

    投稿日:2022.04.14

  • kotoku4086

    kotoku4086

    面白い。
    が、前作ほどでは無かったか…。

    しかし、連作を読んで改めて思うのだが、作者は一作目とは比べものにならない程の成熟を果たした様だ。
    作品は相変わらず長編だが、一作目では顕著だった『これいる?』と言った余計が省かれ、長いなりにも削ぎ落とされ、まとまった感じに仕上がっている。
    ただ、相変わらず主人公は冴えないし、率直に格好悪い、事件捜査って本来そういうものなのかも知れないが、主体性に欠けるというかピンボールの球みたいにあちこちで弾かれてしまう。なんとか正気を保っている胆力は大したものだが、頼りないのだ。
    まぁ、それが魅力と言えなくもないが、私には好みでは無かった。

    対して彼の敵については起こした事件のあらまし以外、パーソナリティ等、ほとんど謎だったものが少しずつ明らかされて来た。
    まさしく『夜』の如き闇の住人、ノワールの雄と言えば、個人的には『レクター博士』だけど、博士の欲求は妹にまつわる慟哭が由来のカニバリズムの様に考察出来る。が、このハルトマンは苦痛を持って死に至らしめる…行為そのものに悦びを見出しており、まさに快楽殺人者と呼ぶに相応しいと思った。
    その彼に対峙するには、現行主人公ではまだ役不足感は否めないが、子供を仲介した事で2人の関係がどう変わって行くのか、今後が楽しみ。

    タイトルの『夜』もとても良いし、装画も凛として深みのある表現になっている。
    本国フランスでも人気を博しているのも合点がいく。

    但し、私の敬愛する巨人カミーユを生み出した同じく仏.ルメートル氏に比べるとまだ肩を並べるとまではいかないだろう。

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    投稿日:2021.10.06

  • full3

    full3

    フランスのセルヴァズ警部第4作。ノルウェーの殺人事件で残されたシュステン刑事の名前。手がかりを追うと、北海の石油採掘場で連続殺人犯ハルトマンのDNAが見つかる。そこにはセルヴァズの写真があった。セルヴァズは殺人事件の容疑者を追跡していると狙撃され重体に。ハルトマンが縦横無尽に張った罠に、セルヴァズとシュステンの身は・・・

    長いのに飽きさせない。ストーリー展開がスピーディーで好み。以前の作品のことは覚えてないが特に問題はなかった。
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    投稿日:2021.08.18

  • yoshi1004

    yoshi1004

    待ち遠しかった作品。セルヴァズに対するハルトマンの復活となれば読むしかない。けど、シリーズの同じ様な展開にちょっと飽きたかな、とも思う。セルヴァズは何度も同じ失敗を繰り返すが、ハルトマンの底抜けた冷徹さ残酷さ知性を持ってすればひとたまりも無いのに、と読後は虚脱感すら味わう。
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    投稿日:2021.07.16

  • Konstanze

    Konstanze

    マルタン・セルヴァス・シリーズも4巻目となった。
    満を持して、あの人物が登場する。
    グスタフ・マーラー、その人である。

    トゥールーズの警部、マルタン・セルヴァスは、マーラーが大好きだった。
    熱愛している。
    崇拝している。
    信仰していると言っていい。

    『いつの日か、宇宙から異星人がやってきて、「人類は素晴しい文化を持っているか? もしなにも持っていないようなら、この地球を支配する」と言ってきたら、マーラーの音楽を聴かせてやろう――』
    『あまりの衝撃に、不思議なビームで地球を攻撃する前に大あわてで宇宙船に乗って帰っていくのではないだろうか。「こんなに素晴しい音楽を創りだしたのなら、科学技術もさぞ高度なものを持っているに違いないぞ」と考えて。』(『魔女の組曲』上 341頁)

    こんな崇拝ぶりだから、マーラー特集の1冊が出てもおかしくない。
    この『夜』はまさにそれだ。
    ついにセルヴァスはマーラーに会い、語る言葉を聞いたのである。

    折に触れて、隙あらば、セルヴァスはマーラーを語ってきた。
    彼の音楽が、いかなる感情を呼び起すか、なにを告げ、それに平伏せざるを得ないか――
    マーラーについて熱く語るのは、しかし、セルヴァスのみだった。

    それが、今回、マーラーへの愛を語る人物がまた一人現れたのだ。
    彼は指揮者である。それも大物の。
    今や古い様式となった"指揮台の神々"の一人――いや一柱だ。
    彼の音楽に対する熱情は当然ながら生中なものではなく、特にマーラーの『亡き子をしのぶ歌』についての思いは深い。
    それにはもちろん理由がある。

    マーラーの崇拝者が二人も登場するのだから、話はマーラーづくしになる。

    マーラーがそんなにも現れるなら、当然、あの人物が登場する。
    希代の殺人者、ハルトマンである。
    セルヴァスとハルトマンが出会った時も、そこにマーラーの音楽があった。

    マーラーファンは読むべき1冊だ。
    たとえミステリーなんて読んだことがない、触れたことがない人であっても、マーラーファンとして、これは読むべきだろう。
    そうして、セルヴァスたちとマーラーについて語り合うべきだ。

    ハルトマンファンは――セルヴァスファンより多いかもしれない――きっと満足できる。
    彼の存在感は大きく、ファンの期待どおりに、不気味だ。

    セルヴァスのファンは、安心していい。
    彼の無茶っぷりは健在だ。レベルアップしている。
    運動なんてしたことがない、まったく関心がないくせに体を張り、頭が悪いわけでもないのに、考えなしに突っ込んでいく。
    そして、命がけの事態に、何度も見舞われるのだ。

    初めて読む方は、これを読んで、セルヴァスについて、彼の娘について、彼のファム・ファタールについて、
    そして、ハルトマンについて、もっと知りたくなることだろう。
    なにせ、シリーズをすべて読んでいた私が、たまらなくなって、一通り読み返したくらいだ。
    シリーズ順を末尾に載せたので、参考にしていただきたい。

    ただすこし注意が必要だ。

    作者ベルナール・ミニエは、よほど犬が嫌いなのだろうか。
    それとも、犬好きな人間が嫌いなのだろうか。
    この『夜』にもちらりとあるのだが、犬好きがどきりとするようなことが大なり小なり書かれている。
    犬好きはその点ご注意を。

    『夜』は、ノルウェーを舞台に始まるので、北欧ミステリーかと思うかもしれない。
    いや、フランスミステリーである。
    そして、はじまりが怪談めいているので、寝る前に読むと夢に出る。
    これもまたどうぞご注意を。


    セルヴァス・シリーズの順番は以下のとおり
    『氷結』上下 (※馬好き注意)
    『死者の雨』上下 (※犬好きはほんの少し注意)
    『魔女の組曲』上下 (※犬好き要注意)
    『夜』 (※犬好きはほんの少し注意)
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    投稿日:2021.07.03

  • MISERY

    MISERY

    「警部セルヴァズシリーズ」。ひとつの事件からどんどん広がりをみせていく展開とセルヴァズの不安や孤独。ギュスターブという子供の存在とシリーズの重要な人物であるハルトマンの不気味さ。たくさんの要素が入っているのにごちゃごちゃすることなく構成されてるのもうまい。誰が仕掛けるのか裏をかくのかそういう心理戦のようなものがあって緊張感がある。シリーズの今後に影響しそうな出来事がいくつかあって次作が待ち遠しい。続きを読む

    投稿日:2021.06.05

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