【感想】食堂つばめ(7)記憶の水

矢崎存美 / ハルキ文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
1
3
5
1
0

ブクログレビュー

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  • ユイ

    ユイ

    このシリーズは、わりと気楽に読める(いい意味で)と思っててんけど、だんだん様相を呈してきたよな…(いい意味で)?

    前巻、前々巻が長編やった(たぶん)ので、今回も長編かなとなんとなく思ってたら、短編やった。どれも面白かった。

    一番ささったのは、やっぱり、潮くんの話よね…。
    冒頭での彼の境遇とか、やたら「お母さんはがんばってる」とか繰り返すところとか、
    「これはもしかしてアカンほうの母親か」
    と、怖い気持ちでページをめくったよ~。
    ぶっちゃけ、潮くんの環境ってうちの子に近いよな。近いわ。毎晩コンビニ、とかではまったくないけど、距離感がまさに…。

    さらに潮くんのお母さんが
    「メシマズではないけど味がない」
    っていうのも、
    わたしやーーーんッ!!
    と、天を仰いだわ。わたし、家事のなかで料理が圧倒的にあかん。家族がいるから多少調理するけど、近い将来わたしがひとりで住むようになったら、たぶん、料理はしない…。

    母親になったらみんな料理ができるようになるのかと本気で思ってたわ…。

    わたしはともかく、潮くんのお母さんはほんまにがんばってる人で、泣きながらハンバーグを食べているシーンはわたしも泣きそうになったよ…。

    食堂つばめシリーズ、淡々と、しかもさほど深入りせずに語っていくのに、確実に刺さる。毎日ハンバーグでもいいからっていうセリフに、この母子はすごくすてきやなって思った。あと、ふたりとも必死やし、まじめやし…。

    つばめで料理を教えるっていうパターンは、思えば初めてやったね。
    やっぱり潮くんは記憶をなくしていたけど、断片的に思い出せるところもよかった。

    そしてノエさんの「やりたくないときは料理をしなくてもいい」っていうのが、最高にいいと思う。
    みんなそんなくらいのテンションでもいいのに。

    潮くんもこれからは、勉強はそこそこやって、余力のあるときだけ料理をして、お母さんと幸せに過ごしてほしいな。
    彼にとって新しい選択肢が増えて、いいなあと思った。


    それにしても、次巻で一旦の完結か…。
    まさかつばめの住人(?)しかもノエさんについて、掘り下げていくとは…。

    確かに記憶がないっていうのも、その理由も、深すぎるし闇の一歩手前やけど、そこはそれ、このシリーズの作風やからさらりと読めていたのに、わりと、次巻は重そうやなあ。(当然すぐにリクエストするけれども)

    記憶は取り戻したほうがいいというのは、生きている証拠という言は、わたしも
    「そ、そうなの…?」
    とは、なった。笑

    確かに、覚えていなくてもいいことも覚えてるし、そういうマイナスな記憶もわざわざ引っ張り出して反芻して落ち込むこともあるし。
    そういうのがまるっとなくなったら、そりゃあさっぱりと過ごしていけるんかもしれへんけどなあ…。

    果たしてあの川は、川の水はどういうことなんやろう。
    白い荷物は…。
    気になるわあ。


    ほんで、潮くんがちらっと言うていたこと。
    「一つでも悪いことがあるとダメになるんじゃないか」
    と、いう考え方は、今の若い子たちの多くが感じていそうやな。

    わたしの親世代、いわゆる団塊の世代は、まだ暮らしぶりはつつましかったのかもしれないけれど、人も多くて物は増える一方で、
    「これがあかんくても、次がある」
    っていう考え方をしている。景気もよかったんやから、そりゃそうよね。

    わたしはぎりぎりその世界を知っていて、自分が成人するころに
    「うわー、失敗できひんな」
    っていう社会が始まった。それから30年ほど経って、ますます失敗はできなくなってる。

    その理由はいろいろあるけれど、
    「失敗できない」
    と、思っている若手に対して、
    「失敗してなんぼ」
    と、思っている古手の言動がいい方向にはならんやろうなあとも思う。(だからってどうもしようがないねんけど…)

    冒険ができないとかやる気がないとかではなくて、ほんまに、自分たちが
    「失敗できひん」
    って思ってるんやもんね。ほんで、そういう社会を作ったのはわたしたちなのに、
    「今どきの若い子はやる気がない」
    ってひとくくりにしていいんやろうか、とは、ほんまに思う。

    ひとつ悪いことをしたら全部だめになるなら、そんなにやらんでもええか、ってなるやろそりゃ。
    そこそこでええかってなるわ。わたしでもなる。っていうか、今はなってる。

    でももう40代後半でそうなってもべつにいいねんけど(っていうか逆にそんなもんやろとも思う)、わたしより上の世代は40代こそ
    「働き盛り」
    って思ってたやろうし、わたしより下の世代は40代より若いけど
    「ローリスクローリターンで堅実にいたい」
    って思っていそう。

    もしかして、わたしら中間層がもっと間をとりもてないとあかんかったんかな。笑

    どうやろ、わたしらは、
    「失敗してなんぼ」
    の行動をする人を見てはいるけど実際に自分たちはやってない。

    むしろ自分が大人になってからは
    「失敗するなら最小限に」
    の、行動をとるように心がけているので、どっちかっていうと、若い人より(の考え)な気もするな…。
    いや、そんなんどうでもいい話やねんけど。笑
    続きを読む

    投稿日:2021.01.09

  • ゆづき

    ゆづき

    生と死の間の街では理想通り歌えた七十歳の歌手の話、好物がわからない中二の少年がノエに威圧され料理を教わる話、趣向が変わり、大きな卵を包んだような何かと川に落ち一時的に消えたノエの話、年金と合わせて暮らしていた小説家と幼い頃の友人の再会。物凄く具沢山の硬くて酸っぱいパンのサンドイッチが美味しそう!続きを読む

    投稿日:2018.10.10

  • shihoshi417

    shihoshi417

    このレビューはネタバレを含みます

    一人で自炊をしてるものにとって、心強い言葉を貰った感じ。
    食べれればいいし、手を抜いても良い。
    そうだなぁと思う。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.08.20

  • yumi27kosokoso

    yumi27kosokoso

    今回は短編が4つ入っていたけど、少しいつものメンバーに関わる話しが動いたような。

    次で最終巻らしいので早く読みたいような、残念なような。

    2017.9.16 読了

    投稿日:2017.09.16

  • ちゃば

    ちゃば

    2017年22冊目。

    生と死の間にある食堂つばめ。
    もとの世界に戻ってもらうため、ノエがその人の思い出の料理をふるまう。
    今回は、
    エスプレッソ(ある歌手の死)
    ハンバーグ(内なる声)
    カタラーナ(プリン)(ひかりの子)

    一人で育ててくれている母親のためにつくったハンバーグ。
    食べながら泣いてしまう母の気持ちに強く共感したのは、自分がそんな年齢だからかしら。
    仕事から帰ってきたらおいしいハンバーグが待っていたら、そりゃあうれしいですよ……
    続きを読む

    投稿日:2017.08.05

  • みゆき2525

    みゆき2525

    図書館で借りて読了。
    うーん、次で終わりみたいですね。一旦。
    今回初めて出てきた川の水、気になります。実際のところ、一体なんなんだろう。

    投稿日:2016.10.06

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