【感想】ニムロッド

上田岳弘 / 講談社文庫
(33件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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9
19
3
0

ブクログレビュー

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  • pctr

    pctr

    人類の営みに乗れなくなる、しかし逃れきれない。
    自分の人生を生きる、または置き換え可能。
    失敗できる。

    投稿日:2024.03.04

  • imemuy

    imemuy

    バベルの塔、ビットコイン、失敗した飛行機…それぞれのモチーフの組み合わせは選び取られてるなと思うけどストーリーとして腑に落ちるとか面白かったかと言うとそこまでではなかった。

    投稿日:2024.02.11

  • Kanon

    Kanon

    このレビューはネタバレを含みます

    本作に通底しているテーマの一つには「存在証明」があると思う.

    無から生み出され,存在が記述され,多くの人に求められることでその価値を保つBTCをはじめ,
    「ダメな飛行機」(=飛べない飛行機)という本来の目的を果たせない造形物や
    子孫繁栄を命題とする動物の一種でありながら中絶を行う田久保紀子は本来の役割を果たせないものの象徴であり,その例示である.
    感情の伴わない涙も,ただ堆く高さだけを誇る塔も.

    果たして,本来の役割を果たせないものたちは無価値なものなのだろうか.

    本作においてこれら全てに共通して投げかけられるのは「存在」と「価値」の関係に関する問いである.

    「ダメな飛行機コレクション」の飛行機は誰がどう考えたってジャンクである.実際,作中でも鉄屑以下と形容される.しかし,nimrodや田久保,中本からは「欲」され,「面白」がられ,そこには本来の文脈と違えど価値が生まれている.
    これはBTCの価格が天井知らずに高騰していくメカニズムもこれに通ずる(中本がマイニングしなくても誰かがマイニングしてその価値を担保する).

    これらを以てして私は
    「凡ゆる事象において,価値は元々規定されたものではない(≒本人の意図とは関係なく何処かの誰かによって価値は付与され得る)」であるため,無価値なものは存在し得ないというポジティブなメッセージを受け取った気がする.

    飛べない飛行機やBitcoinそれ自体には本来的な価値を果たせないが,無価値ではない.
    中絶をする判断を行った女性も誰にも読まれない小説もまた然りだし,中本の感情を伴わない涙は人を癒す.

    ただ,この文脈でバベルの塔やドロドロ人類を読み解くには未だ読みが足りない(or誤解している)ようにおもうので,日を改めて読み直したい.

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.01.29

  • post apocalypse

    post apocalypse

    読みにくさでいうと少しだけ苦手な部類ではあるけれど、思っていたよりも読めた
    駄目な飛行機がなかったら〜からのくだりをすきだなと思う自分はどこまでも普通だなと思った

    投稿日:2024.01.23

  • ぶれいぶ

    ぶれいぶ

    ふっつーーに面白かった。
    自分がエンジニア系なのですらすらっと内容が入ってきたのが、逆に目新しさがなかったのかも。。。

    ビットコインと小説、なんだか正反対だけど、無から有を生み出すところは同じことなんだよなぁ。続きを読む

    投稿日:2023.12.25

  • ますく555

    ますく555

    仮想通貨・ビットコインのマイニング(採掘)や実用化に失敗した「駄目な飛行機」たち、そして高くそびえる塔といったモチーフを反射板みたいにつかいながら語られる物語。

    デジタルの圧倒的な大波をざぶんと浴びせられ、そののちデジタルの破片をたくさん身体に受けたままアナログの立場で書いた小説、といった感覚でした。なんていうか、乾いていてシンプルで、それでいて割り切れないような生々しい複雑さの結び目のようなものがある。

    主人公の中本哲史はIT企業の社員で、新設された採掘課の課長。運営するサーバーコンピュータの空きを使ってのビットコインの採掘を命じられる。主人公の名前はビットコインの創設者とされるナカモト・サトシと同じ名前です。このリンクがまた、この小説の乾燥した読み味に一役買っているような気がします。

    恋人の田久保紀子は大手外資企業で、人には話せない企業秘密を抱えながらシンガポールへ飛んだりしながら大きな仕事をしている。

    友人であり同じ企業の名古屋支社に勤務するニムロッドこと荷室仁は、小説家志望で新人賞の最終選考で3度落ちたことで鬱病をわずらい、そこからいくらか回復した状態で物語に登場する。

    この中本哲史を中心としたこの三人だけの物語です。遺伝子のコードやプログラムのソースのように、小説がそれを読む人の心になにかを記載する作用を期待して小説を書いているのではないか、という仮説があります。それは夢想なのだろうけれど、この空っぽの世界を支えているのはそういった行為かもしれない、と。この部分に、僕はかなり同意しましたね。

    150ページほどの中編ですが、その文体による読み心地が僕には好ましかった。帯に、「心地よい倦怠と虚無」とありますが、その倦怠や虚無は、この世界をそれまでよりも少しだけわかってしまったからこそ宿る種類のものなのではないか、と思いました。

    著者の、他の作品もそのうち、読んでみたいです。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.19

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