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羽田正 / 講談社学術文庫 (3件のレビュー)
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shimu2
【いずれにせよ大事なことは、まず同時代の存在として「イスラーム世界」という空間概念が創造され、その歴史は後から作られたということである。まず枠組みがあり、その枠組みに合うような歴史記述が求められたので…ある】(文中より引用) 普通に使われることに違和感を覚えることも少なくなった「イスラーム世界」という用語。この言葉の成り立ちや使用法を検討することで、日本や欧米の社会がどのような認識のレンズを通してイスラーム教を見ていたかを研究した作品です。著者は、『冒険商人シャルダン』や『新しい世界史へ』などの羽田正。 当たり前に使っている概念の再探訪といった趣の一冊。歴史を巡る歴史を目にしているかのような感覚になり、いわゆる「歴史書」とはまた異なる読後感を味わうことができました。 少し前の著作ですが古さを感じませんでした☆5つ続きを読む
投稿日:2021.10.28
jinmin
あたりまえに存在すると思われてきたことを疑うのは、とてもエネルギーがいる。ましてや、それが今まで自分がよって立ってきたものの一部だったとすれば、なおさらである。 本書は、そのようなことを、「イスラー…ム世界」という事象を相手に取り組んだ本。筆者も含め、これまで無意識・無批判に使用されてきたこの枠組みが、実は実世界には存在しえないということを論破する。 あたりまえのことをそうじゃない、といわなければならないため、前のページから順に読み進めると、ロンの進みの遅さに若干じれったいおもいをさせられる感もある。思い切って補論から読み進めると、より深い理解が可能かもしれない。続きを読む
投稿日:2021.06.13
izusaku
このレビューはネタバレを含みます
本書は2005年に刊行された「イスラーム世界の創造」の改訂文庫版である。 イスラム教やムスリムを語る際、安易に、ひと括りに「イスラーム世界」と表現しないよう注意を促している。 「イスラーム世界」という語は、①概念としてのムスリム共同体(ムスリムが理想として頭に描く実体を持たない理念的な空間)という定義において用いるべきであると。「イスラーム世界」としてひと括りに用いるべきでない定義として、②イスラーム諸国会議機構、③ムスリムが多数を占める地域、④ムスリム支配者が統治し、イスラム法が施行されている地域であると。 「イスラーム世界」とは、イスラム教が純粋に内包する精神世界を指す場合に限り用いるべきであるということだ。
投稿日:2021.03.05
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