【感想】女神「異世界転生何になりたいですか」 俺「勇者の肋骨で」

安泰, めばる / 宝島社
(1件のレビュー)

総合評価:

平均 5.0
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ブクログレビュー

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  • clamamus

    clamamus

    このレビューはネタバレを含みます

     抱腹絶倒、笑い転げ必至の対話形式で描かれた異色の異世界転生短編ネット小説の書籍版である。
     この一巻では14の転生風景が収録されていて、それに加筆されたEx-1話「膝に矢を受けてしまった老兵の持つ槍」が加わり、15の異様な転生風景が楽しめる。

     ちなみにネット版ではこの感想執筆時点で81話まで更新されているので、もっと読みたい方はそちらを参照することをお勧めしたい。

     この作品は本当に素晴らしくファンキーで、率直に言って頭がおかしい。(※誉め言葉です)
     タイトルとなった「勇者の肋骨」のように、異様な転生先ばかりを選ぶ主人公だが、これには一応理由がある。
     人気のある転生先(チート勇者や魔王など)は順番待ちが万年単位でかかる設定なのだ。
     だから、人が選ばないような転生先を……というところで、選んだのが肋骨である。
     やはり頭がおかしい。(笑)

     二話目が「ヤドカリ」、三話目が「魔王上の扉(右)」、四話目が「ダンジョン手前の土」……といった感じで、様々な異世界転生を体験する主人公。
     当然、こんな転生先を選ぶ主人公が普通の人なはずもなく、平然とこんな転生先へと送り出す女神様もまた、まあ、うん……。(笑)
     そんな二人が「こんな感じの生涯を送ったんですよ」「やりたい放題ですね」などと淡々と語り合う、シュールコントのようなスタイルの対話劇がこの作品の魅力である。

     そしてその書籍版は、素晴らしい仕上がりになっている。
     まず一話ごとに口絵形式で描かれた女神様がすこぶる可愛い。旅行記の挿絵的な可愛さがある。
     随所に挟まる挿絵もまた素敵であり、書籍となる魅力が溢れている。

     さらに書籍版では、なんといくつかの転生先で出会った人々の、彼ら彼女らの視点による挿話まで加筆されている。
     「カレー皿に別れを告げた勇者の後日談」や「物言う袋と別れた勇者の独白」などは、シュールギャグじみた彼の生涯にまったく違った視点を与えてくれる。
     書籍版ならではの味わいがあって、ネット版読者をうならせる仕上がりだ。

     総じて質の高い書籍化であり、ネット版既読の読者も楽しめる一作となっている。
     特にお笑い芸人のコント・漫才に親しんでいる方にとっては楽しい一巻に違いない。
     文句なしでお勧めしたい一冊である。星七つで評価したい。

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    投稿日:2022.02.15

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