【感想】定年後の作法

林望 / ちくま新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • カサンドラ

    カサンドラ

    このレビューはネタバレを含みます

    メメント・モリ(memento mori)毎日死を思う、日々死を思う中で、せめて生きている今を濃密に無駄なく暮らしていく。この言葉に尽きるのかもしれない。

    今後はわからないけど、現在の定年スタイルは3つ。①60歳前後でリタイア。②65歳まで再雇用でリタイア。③早期退職。
    本書の想定読者は①のような気がして仕方がない。会社員にプライドが残っていて、”個”でいる(会社から関係なくなる)ことに不安があり、奥さんに煩わしがられ、時間を持て余す生活。

    健康寿命を72.7歳(女性:75.4歳)とすると、約12年をどう過ごすかということになるのでしょう。ひたすら老化および死に向かう人生をどう受け入れるか、に尽きるような気がする。
    邪魔をするのは、もちろん、まだ「出来るはずだ」というプライド。高齢者ドライバーの免許返納と同じような気がする。

    メメント・モリ。きっと、残された時間は、思ったほど長くない。かも。
    健康寿命以降の方が、人生の最期としては大変のような気がするけど、本書ではあまり触れらてなく、残念でした。

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    投稿日:2022.05.07

  • てつ

    てつ

    定年後、組織から離れ「孤」になることを恐れず、自分を律して潔く生きるための「作法」について論じた本。なかなか耳の痛いことも書かれており、著者の高い倫理観や合理主義の権化と呼ばれる人柄が伝わってきた。参考にしたい、心に刻んでおきたいと思った点を以下に示しておく。
    ・自省心と自制心の両方が大事
    ・大智は愚なるがごとし(自分の存在が「無用の用」に当たると覚悟し、前に出ず春風駘蕩とした姿勢でいる)
    ・近代文学は薄田泣菫の珍談奇談「茶話」が面白い
    ・三日我慢すれば怒りは忘れる




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    投稿日:2021.10.02

  • 弐印

    弐印

    所謂「定年本」は雨後の筍のように出版されているが、自分にとって本書がベスト。筆者が恵まれた境遇にあり才能にも恵まれているが、努力家で嫌みがない。教養ある文章も大変心地よくリズムにのって読むが如し。

    投稿日:2021.10.01

  • qingxiu

    qingxiu

    林望さんとぼくとは同い年である。鹿島茂さんもそうだ。だからといって競っているわけではないけれど、なんとなく気になる存在ではある。林望さんは書誌学者であるが、『イギリスがおいしい』が大ヒットしたために、そちらの方で人気が出たが、あくまで古典をこつこつ読む人で、『源氏物語』の謹訳を50を過ぎてからやっているのだからたいしたものである。林望さんにいわせれば、年をとって読むのによい古典は『徒然草』だそうだ。ぼくもなぜかそんな気がする。
     林望さんは人間は「個(孤)」が基本だという。だから、夫婦も条件が許せば早い時期からベッドを分けるべきだという。これはぼくも賛成だ。夫婦といっても、生活パターンはさまざまだから、同じ時間に寝て同じ時間に起きるということは難しい。ぼくは昔は寝る前にひとしきり本を読んでいたので、妻は明るくて眠れなかったという。今はぼくの方が早く寝る。どちらにしても、家庭内別居はもう30年はやっているだろう。林望さんは料理も奥さんよりうまいそうで、ある材料を使ってさっさとつくる方だという。なんでも、こんな感じらしいが、そこで気になるのは、奥さんの存在である。奥さんがなにか添え物のようにしか見えないのである。おくさんはなにを生き甲斐に生きているのだろう。そんなことがちょっと気にかかる。本の整理は研究者にとって悩みの種だが、林望さんは貴重なものから処分していくそうだ。これはぼくと反対だ。ぼくは大学の図書館にあるかどうかで決める。なければ、寄贈して必要な時使わせてもらう。ときどきは、売った本をまた買い戻したりする。辞書の類はとりわけそうで、これは死ぬまでどうしようもない。
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    投稿日:2021.01.24

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