【感想】その果てを知らず

眉村卓 / 講談社
(9件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • sukato

    sukato

    幻視というか妄想というか、ある意味すごい境地に立ったよなあ。テイニー、テイニングなど著者らしい造語は楽しい。

    投稿日:2024.03.12

  • あお

    あお

    帯を見てSF創世期が主軸となる私小説のようなものかと思ったら、精神世界というかちょっと哲学のようで入り込み辛かった。
    これが遺作らしい。
    [図書館·初読·8月10日読了]

    投稿日:2022.08.10

  • kuma0504

    kuma0504

    SF作家眉村卓の遺作である。2019年11月3日死去、2020年10月20日発行。

    何度目かの入院生活をしているSF作家映生(84歳)は、ある日、天井から剥がれ落ちようとしている透明薄膜などが見えてくる。彼はそれが幻覚であることを自覚して観察している。それ以降さまざまな幻覚がやってくる。やがて映生はエッセイのようなSF黎明期の話を書き出すが、やがておかしな方向に話が進んでゆき‥‥。

    まるでエッセイか小説か、前衛的なSFか、わからないような作品。映生の過去の話は、少しSFを齧った者には直ぐにモデルがわかるようなことばかりだと思う。私のような者でも速水書房が早川書房、「月刊SF」は「SFマガジン」、「原始惑星」という同人誌は「宇宙塵」、光伸一は星新一、毛利嵐は小松左京、会津正巳が初代マガジン編集長の福島正実、林良宏は次の編集長の南山宏とピンとくる。もしかしたら、ここで初めて明かされる秘話もあったのかもしれないが、私はそこまで詳しくはない。

    私の父親は大手術の後に深夜明確な幻覚を見たが、ホンモノだと言って譲らなかった。回復した後は、そんな幻覚なぞ忘れたように3年間過ごしたが、最期の時が近づいたころふと「あゝ分かったぞ、ホントのことが」などと言っていた。幻覚と現実の狭間を「自由に」往来した眉村卓さんは、人生の仕舞い方について、その一つの典型を、私に提示してくれた。

    映生(眉村卓)さんは、最後の方でテイニー(瞬間移動)能力さえ身につけ、林良宏から宇宙の秘密を授けられる。実際、何処から狙って構成された小説で、どこから本気の幻覚小説だったのか、わからなかった。真面目な読者は「こんなの小説じゃない、SFでもない」と怒るかも知れないが、私はアリだと思う。そもそも、SFって、こんなモノだった。
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    投稿日:2021.07.27

  • りゅうじ

    りゅうじ

    このレビューはネタバレを含みます

    p.134
    何とかなる、というより、何とかするしかないのであった。
    p.148
    なるようになる、なるようにしかならないので、その結果としての自分がここにある。

    晩年の病床で書かれたとは思えないエネルギーを感じたのはなぜだろう?
    また、しばらくしたら読み返してみようと思います。

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    投稿日:2021.06.19

  • 消息子

    消息子

     一昨年亡くなった眉村卓の遺作、書き下ろし。ガンの治療で入院しているところから始まって、小説家として駆け出しのころの回想につながっていく自伝小説のようなもの。いや、ずっと過去の回想に留まるわけではなく、現在の生活のことも書かれる。主人公は浦上映生、眉村卓の分身。小松左京や星新一、南山宏、福島章などもえらく凝った偽名で登場する。早川書房は、速風書房。
     駆け出しのころ、サラリーマンをしつつ執筆していた時期の話、治療中に幻覚を見る話、現在書いているショートショートが掲載されていたり、話はとりとめもなくあちこちするが、その語り口は「司政官」の時と一緒だ。
     「司政官」では惑星ひとつの切り盛りについてああでもないこうでもないと主人公が思索をめぐらせるのだが、ここでは老い先短い自分のことについて思索をめぐらせる。その語り口にぶれがない。とりとめがない話なのに読ませる。
     84歳の年寄りが世間のことに疎くなっていると、いつの間にか世間ではみながテイニーなんかをするようになっている。テイニー、テイニング、空間転移、瞬間移動のことだ。そして映生、いや眉村卓はテイニーしたんだな。あっちのほうへ。
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    投稿日:2021.05.27

  • harumi nakano

    harumi nakano

    著者の遺作。

    子どもの頃に好きだった「なぞの転校生」「ねらわれた学園」とテレビ、小説ともわくわくさせられた。

    晩年の作品は、少し精彩を欠いていた気がするが、それも歳を重ねたものだったのかと。

    想も一つのSFであり、それを作品として残せることも作家としての使命なのかもしれない。続きを読む

    投稿日:2021.03.15

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