【感想】物語が、始まる

川上弘美 / 中公文庫
(46件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
2
21
14
5
0

ブクログレビュー

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  • はな

    はな

    公園の砂場で拾った「雛形」と私のコミュニケーションを描く物語。
    岩波国語辞書で「雛形」を調べると
    (1)実物をかたどって小さくしたもの。模型。
    (2)書類のきまった書き方などの見本。書式。
    と書かれている。
    川上さんの描く雛形は(1)に近いだろうか。成長する肉体と知能を持つ、かなり進化型の模型と考えてもらえばいいだろうか?人間の女性と雛形(男性)との交際を描いている。思いがけず始まり、幸せになれないと分かっている相手であっても関係し、終わりがくれば受け入れなければならない。そして過去は物語に変わる?
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    投稿日:2024.04.14

  • もちこ

    もちこ

    雛型との恋物語、幸運のトカゲ、婆の家の台所にある大きな穴、姉と共に先祖の墓を探しに行く過程。短編集。

    無駄なこと、つまらないことだと自分をなだめながらも次第にその行為に没頭していってしまうことが恐く感じた。
    でもその後で、他人から見れば理解不能な行為でも、本人が満足していれば、楽しんでいれば、それでいいのかなと思えてきた。
    ただ、望んでいないのに他人に引きずられて没頭し、しかもその行為に満足できない不快感を患うことはなんて気味が悪い、徹底的に無駄な行為なのだろうと思う。
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    投稿日:2023.08.04

  • kaorukaeru

    kaorukaeru

    短編4作品収録
    いずれも川上弘美ワールドを強く感じる作品でした
    男の雛型、座敷トカゲ、おばあさん、お墓
    まさに異世界でした

    投稿日:2021.12.24

  • ☆ベルガモット☆

    ☆ベルガモット☆

    このレビューはネタバレを含みます

    久しぶりに川上弘美さんを読んだ。
    解説はどなたかなと最初に見てしまったら、穂村さん。
    なんと、句歌会でご一緒だったなんてっっ(その場に居たかった)
    やっぱり違和感満載でありながらもひきこまれるように読み進めた。
    四つの物語収録。

    『物語が、始まる』の三郎の話が一番よかった。
    育児をしている時期と恋人といるような甘い時間と介護の状態になってしまう時期を観察している気分。ゆき子の心の呟きにハラハラしながら最期は一緒に涙する。
    月を眺めるときは今は失ってしまったものを思い出すことが多いなと思った。
    『トカゲ』は穂村さんが言う通りのエロティズムを感じる、ママ友たちの独特な距離感に見たくないものを見させられているような逃げ出したい気分。
    「だいじょうぶよ生きているものはなにもこわくないのみんないっしょなのよセミもカエルもあなたもわたしも」と大きな目をじっと見開きながら諫められたらすくんでしまうよ

    「川上さんの書く話はよくわからない、わからなくて、こわいのだ」という穂村さんの言葉にも物凄く納得しつつ仲の良さも感じ羨ましい。

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    投稿日:2021.11.09

  • マッピー

    マッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    目次
    ・物語が、始まる
    ・トカゲ
    ・婆
    ・墓を探す

    どれもこれもそこはかとなく哀しいような恐ろしいような、ちょっとエロティックでもしかするとユーモラスな作品ばかり。
    だけど一番好きなのは、やっぱり表題作だなあ。

    男の雛型を拾い、同居していくうちに…っていう話なんだけど。
    男の雛型ってのがまずよくわからない。

    ”大きさ1メートルほど、顔や手や足や性器などの器官はすべて揃っている。声も出す。本が読め、簡単な文章が書け、サッカーのルールは知らないがボールを蹴ることはできる、というくらいの運動能力がある。子供の背丈だが、顔つきは子供ではない。かといって、大人でもない。どちらともつかぬ、雛型らしい顔つきとしか言いようのない、中途半端な顔つきである。”

    いや、やっぱりわからない。
    素材は何?

    主人公は彼を拾い、食事を与え、絵本の読み聞かせなどして育てるのだ。
    主人公には恋人がいて、そのうち結婚をなどと考えているが、彼女の作品の多くの恋人たちのように、彼らの恋愛は極めて温度が低めである。
    でも、彼は雛型に対して拒否感を隠さない。

    主人公と雛型の仲が親密になるにつれ、そして雛型の体形がすっかり大人のそれとなった時、ふたりの間に恋が芽生える。
    恋?
    雛型にそもそも感情があるの?
    行きつ戻りつする主人公の気持。
    恋人という切り札もあるけれど、どうも読み進むにつれ、これは哀しい物語なのではないかという予感が押し寄せる。

    もし私が拾うなら、男でも女でもいいので、1メートルより大きくならない雛型がよい。
    毎日絵本を読んで、お散歩に行って、公園で遊ぼう。
    どこに落ちているのかな。

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    投稿日:2021.04.26

  • アマネ

    アマネ

    ちょっと不気味な短編集。神様の様な雰囲気の方が好きかな。しかしこういう話を書けるのは才能なんだろうな

    投稿日:2020.10.04

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