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内藤朝雄 / 講談社現代新書 (43件のレビュー)
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りんね
このレビューはネタバレを含みます
フラッシュバックがきつかったけど何とか読了。 構造を知れたところはすごく良くて、自分が考えていたことと類似するところが多々あった。 結局は教育制度を変えようという話。これも自分が考えていたことだけど、実現可能性がとても低い話の様に思えたのと、両者の上手く折り合いをつける部分にとどまることが難しいんだよな〜
投稿日:2024.05.28
黒猫
(自分が定義した用語に対して)「~~と呼ぼう」とか、妙なルビとか気に食わん表現がけっこうあった。社会学とか文学(理論、批評)などでたまにある。 いじめの実例がけったくそ悪すぎるが、社会学的に淡々と説明…される。 (多様性を認めるということは)「我慢」すればいいだけで、「仲良く」する必要はない。というのは、腑に落ちて楽な気持になった。 あと、戦後のいじめや社畜のような状況は、戦時中の国体維持が形を変えて残ったものだ、というのも確かにそうかもしれない、と思った。続きを読む
投稿日:2023.02.01
独諸
端的に言えば何をやっても許されるという空間や雰囲気というものが個人の内的モードを相手をコントロールしたいという全能感モードに変更して、この全能感のもとに暴力性が露出する、という趣旨の本。(雑) 著者の造語が多く出てくるが、よく説明がなされているのでかなり読みやすいと個人的に感じた。
投稿日:2023.01.27
きゃろ
いじめ行為がなぜ起こってしまうのかがよく理解できた。 群衆秩序 =群れの勢いによる秩序 ・「いま・ここ」のノリを「みんな」で共に生きる →畏怖の対象 →良し悪しを分つ規範の準拠店 ・徹底的な関係主義…と社会構成主義の賜物 原因の一つ 暴力に対して司直の手が入らない無法状態 市民社会の論理を学校に入れないことがいじめのハードケースを頻発させる 警察を介入させれば暴力系のいじめは止まる 教育バウチャー制 「中間集団 全体主義」 国家権力や市場の貧困化力より、ローカルな秩序の作用が人々を苦しめる →集団監視 →迫害 ★内側から自分を変えてしまう(浸食作用) →自分に対する不信感、嫌悪感、無力感続きを読む
投稿日:2022.12.06
高瀬
面白かった。 いじめを発生させる心理的構造や、学校という環境の特殊さを説明した後に、より良い教育環境について提案していた。 何より、作者の言い回しや思考回路が自分に心地よくフィットした。 何度も読んで…いきたい。続きを読む
投稿日:2022.03.31
❽
普遍的な現象としてのいじめを構造的に示し、構造的な苦しみに着目したやり方で現状を克服することを提示している。 人がどうして残酷な行動に至るのか、構造的に理解することができた。 26 生徒も教師も「学校的」な秩序を生きているだけ 29 生徒たちは自分たちなりの「よい」「悪い」を体得しておりそれにかなりの自信を持っている 32 希薄かつ濃密な人間関係 秩序の生態学的布置 34 秩序の生態学モデル あるタイプの秩序と現実感覚が、他のタイプの秩序と現実感覚を圧倒し、突出している 35 群生秩序 =いま・ここのノリをみんなで生きるかたちがそのまま畏怖の対象となり、よしあしを分かつ規範の準拠点になるタイプの秩序 36 群生秩序⇔普遍秩序 =その場の雰囲気を超えた普遍的な理念やルールに照合してよしあしを分ける秩序 〜41 群生秩序に従えばノリを外した浮いている者が悪い 普遍的ヒューマニズムは悪い 人権、個の尊厳、チクリ… は悪い 42 (普遍秩序において犯罪者をこらしめるべきと思う感覚と、群生秩序においてノリを外した浮いている者をこらしめるべきと思う感覚は同じなんだろうなぁ) 身分関係が決まっており、下の身分の者が笑っているだけで悪い。身の程をわきまえろ、ムカツク、ジコチュウ。 47 みんなの関係が第一次的にあり、個人はその第二次的な項として関係規定的にある。 その場の空気を読んで集団に同調することが唯一の規範である学校共同体では個人の責任などという事態は生じ得ない 52(コラム) 筆者によるいじめの定義 「社会状況に構造的に埋め込まれたしかたで、かつ集合性の力を当事者が体験するようなしかたで、実効的に遂行それた嗜虐的関与」 58 学校の集団生活によって生徒にされた人たちは集合的な場の情報により内的モードが別のモードに切り替わる 市民的交際というモードから、いじめが止められないというモードに変換してしまう モードの変換は連鎖しループが生じる 68 暴力集団のむかつき 漠然とした存在論的な不全感 暴力によりかたちを与えられる全能感によりむかつきから守られなんでもできる気分になる(全能感) ↑心理システム(認知情動システム)が誤作動(暴発)を起こしている 70 暴力の全能感と暴力を中心に群れて響き合う全能感によるサイクル →内的モードの転換 不全感と全能感の心理社会的なサイクル 76 他者コントロールによる全能 思い通りにする快感 教育や世話のもとでも行われる 78 被害者の悲痛により他者を思い通りにする全能欲望が現実化することがいじめの全能筋書 117 「タフ」に耐えることでみじめな自分を否認する被害者 いじめはやっても大丈夫な利害構造に支えられている 仲間と仲良くする選択しかなく、強制的に濃密な関係を強いられている 185 制度、政策的なマクロ環境によって群生秩序が形成されている 202 暴力←利害と場の情報の効果により法を入れる政策が効果を持たす 213 ひとつの透明な社会(コスモス)が強制される苦しみと比較して自由な社会で強制されるのはなじめないものの存在を許す我慢(寛容)だけ 230 内部評価により教師が誇大気分になる 様々なスタイルの学習サポート団体が地域に林立すれば良くない教員が淘汰される 235 大切なのは、魅力の幸福感を指針とする試行錯誤の結果に応じた生のスタイルを生きやすい生活環境が用意されていること。 238 利害構造と全能図式が一致すると悪ノリが蔓延しエスカレートする危険性が高い 243 全体主義は単なる外形的な服従にとどまらず、人間存在の根底からの、全人的なコミットを人々に無理強いする 252 大切なことは、群れた隣人たちが狼になるメカニズムを研究し、そのうえでこのメカニズムを阻害するような制度、政策的設計を行うことだ 258 トクヴィル 風習の方が法律よりもはるかにきびしかった 262 大切なことは 中間集団全体主義社会と名前をつけること 構造的な苦しみの諸相を明るみに出すこと
投稿日:2020.02.17
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