【感想】黒死病 ペストの中世史

ジョン・ケリー, 野中邦子 / 中公文庫
(2件のレビュー)

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  • 中央公論新社

    中央公論新社

    ある日、人びとは「この世の終わり」が来たことを知った――十四世紀の欧州を覆い尽くした史上最悪の疫病に、あらゆる角度から迫った克明なる叙事詩。

    投稿日:2020.09.08

  • 重度積読症

    重度積読症

     1347年からヨーロッパを襲った黒死病に関する一代絵巻的な書。中世ヨーロッパの終焉を齎らしたとも言われるペスト流行時の状況を、主にイタリア、フランス、イギリスについて、同時代人による年代記や書簡、回想録といった文献資料に拠って、ビビッドに描いていく。

     特に、第十章「ユダヤ人大虐殺」の章は、読んでいて苦しくなってきた。人は見えないもの、理解できないものに対して耐えきれず、何かに原因を求めようとする。反ユダヤ感情の下地があったところに、原因が分からない恐怖が火を付けて、ユダヤ人が悪者にされてしまった。コロナ禍の今、幸いなことにそこまでの事態にはなっていないが、心すべきことであろう。

     ただ、そのような悲惨な中にあっても、患者の看護を始め、社会秩序を保つために義務を果たした沢山の人々がいたことに勇気付けられた。

     
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    投稿日:2020.07.26

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