【感想】鞆ノ津茶会記

井伏鱒二 / 講談社文芸文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • katsukun

    katsukun

    かっこいいなぁ!茶会って。正しいことを語らいながら茶碗酒を飲む。道徳、倫理、いや民族の風がここにあるのかな。人としての風格、土地の歴史か。

    投稿日:2020.04.22

  • bookkeeper2012

    bookkeeper2012

    架空の茶会記録という形式をとった小説。前衛的、と呼んでよいと思う。

    序文は、地元鞆ノ津の話から始まり、茶会の知識など全然ないという韜晦が続く。本文は、茶会の場所や参加者や道具立ての記録があり、それに参加者の発言がダラダラと続くというもの。10年程度の時間軸で、参加者が少しずつ入れ替わりながら茶会は続く。茶を点てるだけでなく、肴や酒が出てくるので、現代で言えば飲み会である。同じ話が少しずつ変奏されながら、何回も繰り返される。飲み会の場での話しだから当たり前だ。豊臣秀吉を軸に時代は大きく変わる時期を、一地方に隠棲したりしている武士たちの口を借りて語っていく。

    作者晩年の作品だが、実験的ですらあり、なおかつコクがある。
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    投稿日:2018.11.05

  • zoologic

    zoologic

    戦国時代の終わり江戸時代の始まる直前のお茶会日誌。どこまでが著者の想像でどこまでが史実なのかは判然としないが、それは歴史書を読んでも同じことだと僕は思うので気にしない。
    ボケた秀吉の話は面白い。興味深い。続きを読む

    投稿日:2016.06.25

  • K

    K

    このレビューはネタバレを含みます

    広島県福山市の鞆ノ津が舞台。
    時代は秀吉の天下統一後から、関ヶ原直前で、
    鞆ノ津付近ではたらく創作の武将たちが、茶会にて思い思いに談話し、
    それの記録をまとめたものとして構成されている。

    自然、彼らは小早川隆景の配下となる。
    毛利に関わる話はよく出てくるけれども、
    この小説自体は特に毛利氏を描こうとしているわけではない。

    茶会での話は、同時代の雰囲気を伝えるものや、秀吉への批判や、
    また関ヶ原の戦いが近づくにつれて、安国寺恵瓊の話が多くなる。

    どのように味わうべきか、ちょっと消化不良ではあったけども、
    茶会で出される食べ物が素朴で美味しそうであった。

    途中、宍戸隆家が尼子方であるという文章があったのが気になった。

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    投稿日:2012.11.25

  • mkt99

    mkt99

    小早川隆景配下にいた引退した武士たちが主人公?という設定で、鞆の安国寺を拠点に茶会に集い、飲食をともにしながら、厳しかった戦国の世を思い返し語りあった記録という体裁をとる。
    集った各人の記録?をたんたんと記しているだけなので、会話らしい会話はなくそれぞれの事件の顛末と若干の皮肉が披露されるというパターン。血なまぐさい出来事を老いの境地にて静かに振り返る。あまりにも事実記録に徹しているため、もしかして創作ノート?という疑いをずっと払しょくできなかった。(笑)
    設定は誠に面白いのだが、(老人という設定故、もしかするとわざとかもしれないが)同じ話を何度も繰り返されるのが辛いのと、連載だったためかわざとかはわからないが、出来事の順番が逆転して矛盾していたり、誤記や事実誤認が何カ所も散見されるので、こちらの頭が混乱してしまう。(笑)
    優しい設定ながら厳しい体験を振り返り冷やかに皮肉る様が絵になっている。
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    投稿日:2012.04.21

  • 花鳥風月

    花鳥風月

    小学校の六年ぐらいの時に、井伏鱒二の『山椒魚』を読んだのは今でも覚えている。そして、私にとって、文学者らしい文学者の訃報を意識的に新聞で認知したのも井伏鱒二が初めてだったと思う。亡くなったのは1993年。新聞の一面に訃報が書かれ、その代表作は『黒い雨』であると書かれていたように記憶している。

    この小説は井伏鱒二の最晩年の作品らしい。1986年、八十八歳の時の作品なのだという。鞆ノ津は著者の思い入れのある土地であることが著書の中で触れられる。

    茶会に登場する人物によって、秀吉が天下統一から朝鮮出兵に至るまでの歴史的な挿話が回顧的に語られていく小説。基本的に時系列的だが、同じ人物の挿話について、いろんな人物によって語られることで重層的になり、空想の茶会がじわりじわりと想像されてくる。最初なかなか馴染めなかったが、読んでいくに従ってこの小説に入り込んでいった。

    話については「誰が」「どのように」亡くなったかを語る話が多い。例えば清水宗治が切腹した時の高松城水攻め周辺の挿話など、話者、視点を変えて繰り返し語られる。あまり感情を示すような言葉がなく、淡々と書かれていくのに不思議といろんなことが読み手の方へ去来する不思議な味わいがある。これが老いて達する境地なのかとかなり驚きを持って読み終えた。作品全体が生け花のようで、名人芸と称したくなる。

    安国寺恵瓊とか清水宗治とか言われて「誰?」となると少し読むのがつらいかもしれない。私もたいして知るわけでもなく、断片的な予備知識しかない状態だったが、その少しの知識のおかげで読みとおせたような気もする。

    解説に出てきた養老孟司さんの『身体の文学史』が読みたくなった。
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    投稿日:2011.12.25

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