【感想】崩れ

幸田文 / 講談社文庫
(30件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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4
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ブクログレビュー

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  • yoichiokayama

    yoichiokayama

    老いてから崩れに魅せられた幸田露伴の娘・文が訊ね歩いた「崩れ」。
    日本三大崩れに有珠山、桜島などを訪れます。
    自然や季節を表現する描写が美しいです。
    自然の崩壊に自分の老いを重ね、生あるものの哀しみを見つめた作品。続きを読む

    投稿日:2023.10.21

  • がんちゃん

    がんちゃん

    著者が日本全国の崩壊地を巡る随筆。

    72歳にして、日本の風景に厳然とあり、そして記憶から忘れ去られたようなこの山崩れを尋ね、それを著者独特の目線で、言葉で捉えようとする。

    その捉え方は優しい。

    自然の冷酷さに嘆きつつ、それに立ち向かう人たちを励まし、暴れる自然に対してけして諦めず愛そうとする。

    老女はじっと崩れ落ちる山を見つめる。
    そしてわかろうとする。

    自分の中のフィルターにこの風景を注ぎ、一杯の茶を淹れるかのように。
    お口にあいますかと、微笑みながら読者にさしだす。
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    投稿日:2023.05.18

  • ryuji

    ryuji

    幸田文さんの文は時代か、難しいものが多い。この本も例外ではない。おそらくもう少し歳を重ねてもう一度読んだ時にちゃんと理解できると思う。

    投稿日:2023.03.23

  • はやし

    はやし

    このレビューはネタバレを含みます

    「崩れ」(山体の崩壊)という禍々しい自然現象に取材しているのが新しく、この作品の価値であろう。あとがきにもあるとおり、風景は言葉を与えられて初めて風景になるとするなら、崩れを風景に昇華した意義は大きい。ただ、表現についてはあまり好きになれず。山河を擬人的に表すことが多いように感じたが(「かわいそう」「やさしい」などの形容詞に顕著)、どうもこれが性に合わない。既成の(しかも人間を見る時の)見方によって自然という対象を歪めている気がしてならない。そのためすべての形容詞が薄く感じられ、あまり心に響いてこない。こういうのが好きな人は好きなのかもしれないが、もう少し出来合いの観念から解き放たれた形で崩れを活写できなかっただろうか。

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    投稿日:2022.11.11

  • ばあチャル

    ばあチャル

    読み時が来たと言おうか、読むべくして読んだ。

    幸田文さんの独特の言い回しの文章が好きで、文学作品のほとんどを読んでいるのだが未読だったので。(あとがきにもあるが「心がしかむ」「遠慮っぽく」「きたなづくり」「ひよひよと生きている」などなどの表現が好きで)

    これは「崩れ」という地球地質的現象を文学的に捉えているエッセイである。

    昨年は日本の災害の年だったとは、年末からのスマトラ地震の大、大災害のニュースが続いているので忘れもしない。けれどもそれは珍しいことではないだろう、小さい災害が目白押しにくるのが特徴の日本。

    時期も時期そんなときに読んだこのエッセイ、感動ふたつ。

    日本の国は大風が吹けば崩れ、地震が来れば崩れという災害。それは地形の特徴という宿命であるというのが諦念を持つのでなく、意識して見てみようとする姿勢の発見がひとつ。

    ふたつめ。阿倍川の大谷崩れを偶然見てから圧倒され、、興味を持って専門家ではないのに日本中の崩れを見て歩いて文章にしようとした72歳のエネルギーが、なぜゆえにあったのか?

    現代は人間の身体の仕組みは解明された。しかし心の中身は計りがたい。その『心の中にはものの種がぎっしりと詰まっている』のであるからいつ芽吹くかわからん。それが芽を吹いたそうな。

    しかも、地球の仕組みとかの専門的な勉強は老骨なので持ち時間も無し、あきらめて分相応の精出しとするという。つまり、『崩壊というこの国の背負っている宿命を語る感動を、見て、聞いて、人に伝えることを願っている。』

    そして全国崩れの跡、流れ出す川、崩れる地形、火山を見て歩くことになる。新潟もしっかり入っている。崩れの多いところと言われているという…。

    ただ単に描写するだけではなく、含蓄のふかい言葉、洞察の文章であることはもちろんである。

    私は文学的に捉えた「崩れ」を読み、なお、災害のむごさを理解した。幸田さんの不安の予感を持った老女(幸田文)がいたというのがもう何十年も前だということ。ひょっとすると預言者ではないのかしらん。いや、文学は常に先見の明があるものなのだ。
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    投稿日:2021.09.09

  • 臥煙

    臥煙

    著名な作家さん。70を過ぎて崩壊地形に関心を持ち全国を探索する。名文で淡々と語る自然災害の脅威。

    何とも不思議な作品の感。
    名文家で知られる幸田文が、全国の崩壊地形を旅する紀行。

    写真も地図もなく、淡々と語るところが筆者でなければ成し遂げられなかっだろう。
    大自然の力の前に立ち尽くす大作家の姿が目に浮かぶ。

    筆者の行動力には感嘆する。
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    投稿日:2021.05.03

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