【感想】湖の国

柏葉幸子, 佐竹美保 / 講談社
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 2.8
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ブクログレビュー

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  • rinsyun

    rinsyun

    久しぶりの柏葉さん。
    以前読んだ物語は小学生が登場人物だったけれど、今回はもっと大人だけれどどこか似たような雰囲気を持つ女の子でした。どちらも自分に自信がないけれど、いざというときは底力出せるという共通点がある気がしますが。
    今回、民話テイストが非常に強いです、日本の民話のホラー感を持ちつつ、現代とさらに過去の話までつながっていくうえに胸キュンストーリーまで入っているので、昔読んだ柏葉ワールドよりもさらに大人向けになっていて驚きつつ読み見進めました。子供向けよりも大人向けに近いかな~。
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    投稿日:2023.10.01

  • ただ

    ただ

    惹きつけられるような表紙の絵に、背表紙と裏表紙の絵、全てが物語上のポイントになっているデザインが心憎い。

    今作品における、柏葉幸子さんのファンタジーは、和のテイストを感じさせられ、少々ホラーな雰囲気もありました。
    それから、浦島太郎のような、昔話のイメージですかね。

    物語の前半は、ミステリーのような謎を巡る展開だけど、真相が完全に不明なため、少々、中弛みに。

    ただ、その中弛みは、後半の展開のために用意してあったようにも思われ、途中から内容が思いきり様変わりし、一気に物語のテーマが収束されていきます。

    そこで問われるのは、人間とそうでない者の違いであり、それは、感情と理屈に言い換えることができるかもしれません。

    特に、愛が絡むと、理屈云々でないときもあることは、古今東西、様々な物語や史実(あるいは経験)からも明らかであるとは思うのですが、如何せん、これを児童書で問いかけていることに、少々疑問が。

    どういった方をターゲットにしているのか、といった点だけ、ちょっと気になりました。高校生くらい? それとも少女漫画のようなイメージなのだろうか。

    物語の中には、大人のわびさびに近いものを感じさせる、登場人物の切ない心情もあり、それを逆に、どう感じるのかといった楽しみ方もあるのかもしれませんね。

    まあ、私的には特に問題なく楽しめたし、僅かな希望を滲ませた終わり方も、却って、吹っ切れた感が出ていて良かったと思います。
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    投稿日:2022.01.19

  • あこ

    あこ

    表紙からもなんか異世界からの出会い、とは思っていた。
    家族から疎まれ、自分の居場所がないミト。
    家に戻りたくなくて、ふと思いつき、バイト先で知り合ったおばあちゃんが家族にも秘密で買ったという家を1人訪れる。
    その晩現れたのはそのおばあちゃんだったが、姿はそうだが中身は違うようで…。
    とまどいつつも始まった2人暮らしの中にミトは居心地のよさを感じていく。
    おばあちゃん、もといヨシノもそうかと思っていたのだが。

    異界との触れ合いと主人公の成長、という感じの児童書かと思ったけど、もいちょい心の機敏、というか、
    誰も知らない不思議な町、とはちょっとテイストが違うかな。
    話しが湖の国に移ってからが第二部、という感じ。
    千と千尋の神隠しの電車に乗って行くところ、みたいな。

    誰かを愛しいと思うこと、一緒に生きたい、隣に立っていたい、と思うこと。

    姿違ってもわかるってのはツボですなー。胸キュンポイントですわー
    沢井のおばあちゃんの家を買った理由に泣けたり、
    血が繋がってなくても親子として想いあう家族にいいのうっと思ったり、
    いろんな想いに色々切ない一冊。
    まあ、ミトさんとこの家族設定はちょっと今時ないやろーーーな作り物めいた
    感じだが、そこはスルーで。


    兄者が猫ならヨシノはなにに?
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    投稿日:2021.05.17

  • ちゃいこv

    ちゃいこv

    このレビューはネタバレを含みます

    児童書としては、主人公が前を向いて力強く生きていくことを
    最終的に期待してしまいますが
    この物語はちょっと違うような気がする
    いろいろ経験した大人が共感しながら読んでいくような感じ
    そして、物語という夢から覚めてからもどこかで続いているような印象

    前半はミステリーで後半はファンタジー
    印象が違う不思議な物語
    追いかける人の姿が見えないところも
    いままでにはない展開ですね!

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    投稿日:2020.05.02

  • 図書館あきよしうた

    図書館あきよしうた

    弁護士の父、大学教授の母、優秀な兄と姉に囲まれるミトは、取り立てて優れたところのない娘だった。高校も中退し、2年の引きこもり生活の後、ひょんなことから介護施設のアルバイトを始める。半年後そのことを知った家族から、辞めてアメリカの高校への進学を促されるが、彼女は今のままの生活を望んでいた。
    ふと思い立って、施設で親しくしている沢井のおばあちゃんがこっそり買ったという家を見てみようと東北の湖のある街を訪ねるが、その晩湖から大波が来て、向かいの公園に巨大な船が乗り上げ、びしょ濡れの黒い人影が降り立つ。その人影はミトのところまでやってきて倒れ込んだが、なんとそれは、介護施設にいるはずの沢井のおばあちゃんだった。

    ……。

    普段ならここに、まとめの一文を入れるのですが、ここまでの導入部分の粗筋を読んだだけでも、かなり奇想天外な話だと推測されると思います。
    私の読解力では、この話が何を描きたかったものなのか、想像すらできませんでした。



    *******ここからはネタバレ*******

    介護施設で知り合ったおばあちゃんの恋い焦がれる家の様子を見てきて話してびっくりさせてあげよう、どうせ自分の家には居場所もないんだし、と考えて衝動的に旅に出たのはわかるんですが、どうしてプロの「追手」が、びしょ濡れで倒れてしまうような事を起こすのか?ミトという一般人がたまたま泊まっていたのが想定外だったとしても、交通事故で介護施設に入っていなければ沢井のおばあちゃんが住んでいたはずではないか。それなのに「自分に関わるな」と突き放すなんて支離滅裂だ。
    それに、なぜ地蔵菩薩の真言を唱えることが、伊坂弓子を鬼に変え、ミトを危険に晒すのか?そもそも真言や菩薩という存在を、あやかしもののように扱うのは不遜ではないのか?
    ここで描きたかったのは、住む世界も違う、姿も知らない相手への思慕ではなかったのか?それでは、昔の強盗事件など持ち出す必要なかったでしょうに。


    「湖」の意思も理解できない。なんのために生きながらえたい人々を保護しているのか?なんのために脱走者を執拗に追うのか?
    「兄者」だって、そもそもどうして薫子さんに姿を見せたの?
    ミトは、ヨシノが兄者と同じように猫となっても、同じ感情を持って生き続けられるのだろうか?ヨシノが人間以外の姿で身近にいる限り、彼女は他の人と人生をともにすることが難しくはならないのか?
    仙崎の家でヨシノを待つと彼女は言うが、そもそもそこは人の家で、黙って何ヶ月も住んでいるんでしょ?アルバイトとはいえ社会人なんだから、それじゃまずくありませんか?

    ファンタジーの場面設定もストーリーの展開も、人物の感情の動きも、私には奇想天外で、とても理解困難な作品です。

    表紙裏に「湖の国」「東北の湖の町」の地図がありますが、これは物語の順序に合わせて「東北の湖の町」「湖の国」に載せたほうがわかりやすいと思います。

    とても難解なので、私は人にオススメしませんが、文章自体は平易で全てにふりがなもついているので、中学年や高学年から読めると思います。
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    投稿日:2020.01.09

  • yamamomon

    yamamomon

    いや~やはり柏葉幸子さん、素晴らしく面白かった。前半は割とうだうだとまどろっこしい鬱々とした雰囲気だが、後半すべての伏線が縒り合され加速度を付けてぶっ飛ばされてくような物語展開スピード感が素晴らしくて一気にダア。(この前半ウダウダ後半ぶっとばしパターンの感じってちょっとダイアナ・ウイン・ジョーンズ思い出すなあ。)珍しく子供向けというよりは少し上の世代にも、と思えるような主人公の年齢設定、恋愛要素。てんこもりにビルドゥングスロマン、自己確立、民話的要素、大地に根差したファンタジー、ミステリー。何しろ魅惑的。是非続編出てほしい。続きを読む

    投稿日:2019.12.11

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