【感想】ESG思考 激変資本主義1990-2020、経営者も投資家もここまで変わった

夫馬賢治 / 講談社+α新書
(17件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • K.A.Z1001

    K.A.Z1001

    世の中がESGを意識した活動に代わってきた歴史が、環境破壊を考えるようになった1980年代以降から、SDGsを掲げる現在までに渡って詳しく書かれている、またそこに、日本と外国での差、意識の遅れ、取り組みの遅れがどう出てきているのかがわかる本。

    メモ
    ニュー資本主義とは、環境・社会への影響を考慮すると利益が増える、と考える。この考え方がここ10年でグローバル企業や機関投資家に浸透してきている。
    リーマンショックを機に、欧米の機関投資家やグローバル企業は、サステナビリティ経営やESG投資に取り組むようになっていった。
    ESGとは何かを理解した上で、ニュー資本主義の時代に必要なマインドは、長期思考を持つこと、グローバル企業や国際機関など、視野を広げて世界の動き、情報を捉えること、が特に重要と感じた。
    世の中の変化に対して、長期思考を持ち、将来の事業成長や価値創造にとって重要なことは何かを考え、適応して実行していく力が必要とされる。
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    投稿日:2022.08.21

  • 708

    708

    現在のESGムーブメントに至るまで経緯を中心に書かれており、日本がいかに出遅れているか、顔色を伺い無難にやっていこうとする姿勢では今後通用しないことが分かります。

    具体的な事例が挙げられているのですが、自分には馴染みのない団体であったりワードであったりで正直頭に入って来なかったです。

    詳細な説明が多い分、全体像が掴みにくいのが残念でした。

    これまでの話が9割なので、これから何をすべきかと知りたい方、時間のない方は最後の章だけ読むことをおすすめします。
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    投稿日:2022.04.06

  • すた

    すた

    とても良い。TCFDに関わるようになって手に取ったけど、これまでの世界の歩みや日本の対応が手に取るようにわかるし、基礎知識として役にたっているように思う。

    アナン事務総長のころの国連の動き(20世紀末)や、その後(21世紀初頭)の国内での経産省と環境省の対応や「CSR」の潮流、あるいは欧米での(WRIなどの)NGOの動き、といったあたりがきっかけとして大事そう。
    国連では2006年にできていたのに国内では10年以上知られていなかったPRI(国連責任投資原則)なども象徴的だし、リーマンショックが与えた影響の違い(日本ではCSRが暗黒の時代に突入した一方、欧米ではむしろサステイナビリティ経営が勃興し、リスクの洗い出し・対応や、社会の信頼回復が急務と捉えられた)も印象深い。
    また、CSR報告書の内容(項目)についても、GRIのガイドラインでは重要な項目に絞って報告すればよいとされているのに日本企業は網羅的な対応をするという愚直さも、誰かが指摘していたとおりだ。

    本書が示す四つの象限による、「オールド/脱/ニュー 資本主義」という捉え方は、世界の動きを理解するのに確かに有用だ。
    欧米が「ニュー」に移行するなかで日本がどこか「脱」にいき気味なことや、そんななかでもGPIFの水野氏らの動きが投じた一石の意義もよく理解できる。
    また、リーマン後と同様、今回のコロナをうけて欧米企業ではむしろサステイナブル(気候変動への適応含む)を意識しているがその背景をやっと理解できた気がする。
    学んだ視座を、TCFD関係でもいかしていきたい。
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    投稿日:2021.11.25

  • わかめ

    わかめ

    ・欧米でこれだけESG投資と経済成長について議論されているにも関わらず、なぜ日本の企業や投資家はその潮流に乗れていないのか疑問に思った。英語ができないことや、右へ倣えの意識が強すぎることが原因なのだろうか...

    ・恥ずかしながら私も、CSRは株主に社会貢献活動をしているアピールをするためのものだと思っていた。しかし、この本を読むことで、適切なCSRは企業成長につながること、ESG投資は株主の利益につながること、がちゃんと理解できた。多くの人に勧めたい一冊。

    ・無知ほど怖いものはないと感じた。読書をすること、英語を学び海外の情報に触れること、を心がけたい。 

    ・日本で最初にESGインデックスを採用した、当時GPIFの水野さんは凄い。批判覚悟で新しいことを最初に取り入れられる人は本当に凄い。

    ・最近日本でも、「クリーンエネルギーへの転換」が叫ばれているが、これはただの流行なのか、それとも環境問題へのアプローチが経済成長につながることを理解した結果なのか、気になった。

    ・政府が産業界の声を集約し、政府が国際会議で交渉するといった「二層政治」が崩壊し、政府の存在がどんどん小さくなっていることも気になった。大企業の力がどんどん強くなることに問題はないのか、グローバル化ってこういうことなのか。関連書をもっと読みたいと思った。
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    投稿日:2021.08.27

  • かーくん

    かーくん

    ESG投資が生まれた背景が、とても細かく書かれているので理解しやすいです。日本と欧米で環境経営に対して考え方がずれていたことが今の差になってしまったことがわかりました。おそらく日本の企業経営や国の政策に関わる人などがしっかり勉強してESG投資やサステナビリティを理解していればもっと日本も欧米に追いついていたのではと思いました。やっぱり英語とか読書が大切だと思いました。続きを読む

    投稿日:2021.06.24

  • t254

    t254

    ESGの重要性が叫ばれて久しいが、その内容や背景を理解したく本書を手に取ったが、ESGを誤解していた自分に気付いた。企業の社会的責任あるいは倫理的観点から、環境、社会、コーポレートガバナンス(ESG)を遵守するものと認識していたが、本書を通して、ESGはグローバルで企業が守るべき重要な枠組みとして理解されていることを知った。
    リーマンショックを経て、短期的な業績に焦点を当てるのではなく、長期的視点でリスク要因を洗い出し対応することが企業経営に求められるようになった。つまり、短期的視点で利益を追求するような企業経営では、社会・環境・コーポレートガバナンスを度外視した企業活動が正当化されていまい、長期的なリスクが顕在化する。例えば、四半期決算の利益向上を目的にして、海外生産拠点で児童労働をして人件費削減をした場合、短期的には減価を下げ利益を上げることができるが、長期的には現地労働者によるボイコットで生産ラインが停止したり、国際NGOが児童労働を猛烈に批判し、株価が急落するだろう。中でも、気候変動は最大の長期的リスクの1つで、グローバル展開をする企業にとっては、その生産地から長期的かつ安定的に資源調達が可能なのかは、サプライチェーンを管理する上で非常に重要だ。
    このように、欧米ではESGは企業の長期的成長を支えるための重要なリスク管理として捉えられており、環境・社会への配慮と利益は両立するものだという共通認識がある。
    一方、日本の多くの企業では、ESGはボランティアら倫理的取り組みとして捉えられており、ESG推進が長期的な成長要因になると理解されていない。そればかりか、ESGへの配慮と企業の成長は対立すると認識されている。
    ESGに対する捉え方の違いを学ぶ好例は、ファーストリテイリングのウイグルからの綿花調達の問題だろう。ナイキを初めとする欧米メーカーは、中国政府のウイグル自治区に対する監理を批判し、ウイグル自治区からの綿花は調達しないと公言した。これは、ESGの思考の枠組みで考えたとき、ウイグル自治区で不当な労働環境にある労働者からの綿花を調達することは、長期的にはサプライチェーンが維持できないと考えたからだろう。一方、日本の最大手アパレルメーカーであるファーストリテイリングは、中国のウイグル自治区への支配に対して明言を避けている。もちろんファーストリテイリングも中国の振る舞いが倫理的に肯定できないと分かっているが、重要顧客である中国を刺激できないのだろう。この意思決定の背後にあるのが、ファーストリテイリングとナイキのESGに対する考え方なのではないかと、わたしは思う。
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    投稿日:2021.06.13

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