現代経済学の直観的方法

長沼伸一郎 / 講談社
(24件のレビュー)

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  • キウィ

    キウィ

    資本主義とは何なのか、なぜどの国も農業から工業に移りゆくのか、ドルはなぜ国際通貨になったのか等々、経済学の理解が曖昧なところを非常に分かりやすく説明されていた。社会の縮退理論は、なんとなくみんながぼんやり思っていたことを理論立てて解説していて、なるほど納得だった。続きを読む

    投稿日:2020.12.13

  • aya00226

    aya00226

    経済成長の速度を遅くするような社会的技術が必要。
    経済社会は、拡大し不安定化する、と考えるのがケインズ派、自動的に復元し安定すると考えるのが新古典派。
    現在の消費と設備投資は4:1.そのままに留まろうとすると1/5の消費が失われる。
    マクロ経済学の最重要ポイントは、投資と貯蓄は一致する、ということ。貯蓄することで、消費が落ち込むか、投資を続けるか、が必要となる。
    (家計貯蓄-家計投資)+(企業貯蓄-企業投資)+(政府貯蓄-政府投資)-(輸出等-輸入等)=0

    カルヴィン派の教義では、享楽にために使うということはない。近隣で助け合うという概念はない。結果的に貯蓄に頼らざるええなかった。

    現代社会が資本主義を手放せない理由。
    軍事力の基盤を確保するため、アメリカンドリームとしての舞台、他国の資本主義から守るための資本主義。

    イスラム教では、カネを貸すことは共同で事業をするに等しい。リスクは共同で分担すべし。金利がない理由。

    資本主義は、実は最も原始的な社会経済システム。それ以上壊れようがない。
    農産物の価格は下落する運命にあり、だんだんもうからなくなる。その結果、従事する数が減る。
    農業は、需要が伸びず、生産が中途半端な速度で伸びる、工業は供給の伸びが速すぎるが、需要が伸縮自在なので不利をカバーできる。

    植民地ではモノカルチャー経済が強要された。

    景気が良くなるとインフレになるのは、値上がりが連鎖する性質だから。一部供給のボトルネックがあると、そこがインフレの火元になる。

    インフレの原因。
    紙幣の増加=ドイツなどの例。供給不足=戦後の日本、好景気と供給のボトルネックのせい。
    デフレは、物価と賃金の下落の悪循環が起きる。

    戦後の日本は、鉄鋼部門と石炭部門に集中してお金を投入して生産を復活させた=傾斜生産方式。

    貿易は価格差で動く。自由貿易は関税収入はなくなるが、経済の拡大による税収の増加がその分を補う。関税の利益は、大衆の手に渡る。

    自由貿易は、最初に2階に上がったものがはしごを引き上げてしまう制度。

    かつての商業民族(中国人、アラブ人、ユダヤ人)は没落した。商業より工業が儲かる時代になった。
    オランダは、バルト海貿易(商業)で栄えた。
    イギリスは、毛織物(工業)で栄えた。衣料品は、耐久消費財より買い替えが多く、穀物より単価が高い。当初は保護貿易。アメリカ独立戦争のあたりに、自由貿易論に転換した。すでに2階に上がっていた。=アダムスミス学派の登場。インドの繊維産業を壊滅させた。

    アメリカの南北戦争は、綿花を売りたい自由貿易主義の南と、工業化のため保護主義にしたい北との戦い。南部は、北部のモノカルチャー経済に取り込まれた最初の経済植民地。

    ブロック経済化が第二次世界大戦の原因=自由貿易が善とされている。

    日本の高度成長期までは、安い人件費は武器になった。1980~90年ごろには、技術面の差がつきすぎて、安さだけでは戦えなくなった。さらにロボット化で、安い人件費も無力化した。
    現在の新興国は、製品の一部だけを細分化して低賃金を武器にサプライチェーンに参加した結果。しかし、その結果、奪われた分野で貧困が先進国に戻ってきた。

    将来は、世界経済の発展か、国内の安定か、の選択になる可能性がある。保護主義とのバランスが必要。

    古典派の考え方では、縮小均衡も均衡のうち。ケインズ派はそれを打破するために、需要喚起策(有効需要の増大)が必要、と考えた。
    乗数理論=ケインズ派のよりどころ。需要を増やせば、何倍かになって増える仕組みがある。

    貯蓄が、成人病のように有効需要の足を引っ張る存在になる。古典派の考えでは、これを掘り起こす手段がない。
    所得の高い人は消費性向が低い。しかし、彼らへの増税は得策ではない。なぜなら彼らが新たな産業のきっかけになることが多いから。
    そこで、財政赤字を出してでも国が消費する。

    マネタリストが自然失業率という概念を出してきた。レーガン政権以降小さな政府に徹する。

    ケインズのISLM分析は、金利を下げる効果を説明している。

    イングランドの紙幣は、自然発生的にできたもの。イングランド銀行の意義は、ばらばらな銀行券に国王の特別許可状により統一されたこと。
    モンゴルの紙幣は、武力を背景に、強制的に流通させたもの。このタイプの紙幣は、末期には乱発によって自滅する。

    銀行による又貸し機能が経済の成長を助けている。堅実な人だけで借り入れを行わなければ、経済は拡大しない。

    金本位制は、ゆっくりした拡大であれば、デフレになることで価格変動は可能。しかし急な変動に対しては、資金不足が急速に起こる。

    仮装通貨は、虚か実か。又貸しのメカニズムを持てば虚のマネーになるが、実の部分だけならマネーの代替になるだけ。

    現在のドルは、金の裏付けがなく、アメリカの軍事力という裏付けがあるだけ。
    ドルが支払い手段になるためには、貿易赤字になってドルをばらまかなければならない。アメリカの貿易赤字はアメリカの弱体化=ドルの弱体化。解決しがたいジレンマがある。しかし、どんなものでも基軸通貨がないとはじまらない。
    レーガン政権の双子の赤字でも、ドルは強かった=有事に強いドル。
    核兵器の影響が弱まったとしても、慣性質量が大きいので、基軸通貨として通用する可能性がある。

    貨幣は、すぐには勝手に増やせないが、経済の拡大に合わせてゆっくりとなら増やせる、必要がある。

    金本位性の信奉者は、自由放任主義、自由貿易主義が多い。神の見えざる手を信じている。
    金本位制には、貿易赤字解消の自動調節機能が内蔵されている。じっさいにはゆっくりしかこの機能が働かないため、追従できなかった。いったんデフレになるため、現実には機能しない。財布の中をマイナスにはできない。
    ケインズの提唱したバンコールは、IMFのSDRとして機能している。

    現代社会では、グレシャムの法則はない。兌換貨幣ではないため。

    暗号資産=正式名称、仮装通貨は、電子の世界の金本位制。
    貨幣は、短期的には量を絶対に増やせないが、ゆっくりであれば状況次第で増やせるもの。
    仮装通貨は、台帳を改ざんできない仕組みがあり、仮装通貨を発掘できることで、増やすことができる。

    一部で通用するブロックチェーンを応用した通貨ならばあり得る。
    金本位制がビットコインの限界。
    政府が信用できないという理由、しかし金本位制と同じ目に合う。信用できない理由は、必要に応じて量を増やせるから。その限度がないことが信用できない理由だが、限度があると、デフレに陥る。
    ビットコインも金も裏社会では、活躍の余地がある。

    縮退という繁栄。大きなお店が流行り、小さな商店街が衰退するが、経済全体は成長する、減少。
    恐竜が絶滅する直前は、ティラノザウルスとトリケラトプスばかりになった。
    縮退は、作用マトリックスというツールで表される。
    良い生態系は、多種共存の状態、悪い生態系は少数の主だけが繁栄し、他の弱小種を駆逐している状態。
    偶然良い生態系が生まれることは非常にまれなこと。
    縮退の過程で、富が生まれる。
    希少性の高い状態から低い状態に移行するときエネルギーが生まれる。=エントロピー増大の法則。

    人間の長期的願望と短期的願望の間でも縮退が起きる。願望が短期化することは一種の縮退。長期的願望は、注意していないと短期的願望に圧倒されて駆逐される。

    巨大企業が活発化しているだけでなく、昔のシステムが縮退することで生まれているのが、現代の富ではないか。
    縮退は、自動的には戻らない。
    乱立は、一強を招く。個体が過剰に主張を始めると、結果的に巨大な塊をベースに成り立つ単一勢力が勝利する。
    現代の世界経済では、世界金融市場の内側だけの投機でぐるぐる回るようになっている=マネーの動きの主要部分が縮退している。

    長期的には購買力平価によるが、短期的には金利動向で為替が動く。
    マネーは、戦争における補給路だったはずだが、マネーの流れが縮退することで、そちらのほうが主流になってしまった。

    部分の総和は全体に一致する=大勢の短期的願望を集めれば、全体の長期的願望になる、は間違いだった。
    要素還元主義では解けない。リベラル進歩主義は、縮退を進歩と勘違いしている。近代以前の社会のほうが短期的願望を抑え込む必要性を理解していた。
    真の高い文明とは、人間の長期的願望が短期的願望によって駆逐されるのを防ぐ方法を知っている文明、ではないか。
    地域的な結びつきを強める動きや愛国心は、巨大な金融の力に対抗するには力不足。

    将来の経済学は、縮退をどのようにコントロールするか、が問題になるのではないか。
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    投稿日:2020.12.07

  • 猫三郎

    猫三郎

    ボリューミーな本であるが非常にわかりやすい。
    経済学の基本が良くわかる。
    最後の章だけは残念な内容。

    投稿日:2020.12.06

  • yoshi679

    yoshi679

    これほどまでにわかりやすいとは、衝撃的だった。
    章立ての展開や例示表現など、至る所に理解が進む工夫が含まれてる。
    学生も本書籍を読んでから講義を受けるなどすると、理解が一気に進むと思う。
    本書で得た感覚をもとに、より専門的な書籍にトライしてみたい。続きを読む

    投稿日:2020.12.05

  • upaneguinho

    upaneguinho

    スゴ本でした。これはお勧めします。大人の教養本。

    極論したら経済学の本なんてこれ一冊でいいです。体系的、かつ網羅的。経済学どころか歴史、宗教、地政学、哲学、テクノロジー、政治までパッケージされてます

    理系畑の著者が、理系研究者が世の中で冷や飯食らわされてるのは経済学に関する基礎的知識、そもそも興味がないのが問題なんだということで入門書として書かれた本書。たしかに本当に読みやすい(ボリュームがあるので読むには時間がかかりますがw)。そしてタイトルにもある「直感的方法」、これが凄い。

    電車の上り下りの例えで「家計の貯蓄=企業の設備投資」というマクロ経済の第一関門をお茶の間レベルの分かりやすさでエレガントに解説した第1章だけでも2640円の値打ちがあると思う。各章にはそういった卑近なイメージに例えてぼんやりした経済学を実態として噛み砕けるような著者のサービス精神が散りばめられている。

    他にも中央銀行が実はマネーストックを増やせない訳や仮想通貨は金本位制を目指しているから現行貨幣を超えられないという限界説など、新刊だけに刺激的な内容が盛り沢山。

    しかも著者は御用学者でもないし、政界とも経済界とも距離のある人なので、特定の主張を啓蒙しようという意図がないのがまたよろしい。最終章はなんかしんどそうでしたけど。
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    投稿日:2020.12.03

  • あかね

    あかね

    最初は単に、経済の原則について簡単に学びたいと思って手にしたのだが、「暴走する資本主義をどうやって遅くするか」という問いに、人間の根源的な欲求を絡めた答えを導き出しており、その類い稀な洞察力に衝撃を受けた。

    第一章で資本主義を「最も原始的な社会経済システムなのであり、それ以上壊れようがないからこそ生き残ってきた」としている。なぜ高度な中世の文明が壊れ、いま原始的な文明が残っているのか不思議に思わざるを得なかったが、縮退という概念を理解すると腑に落ちる。

    かつての縦関係を重視し、神話など大きな物語を中心にまとまっていた共同体では、多様な関係者がバランスをとる希少なシステムが構築され、その中で経済を回すことができた。しかし、カリブィニズムの誕生を機に、共同体が瓦解すると人間の短期的な欲望を叶えるべく資本主義が暴走を始めていく。
    今後その進みを遅くするためには、カリブィニズムに匹敵するほど衝撃的で、全員に心底理想だと思わせる大きな物語を与えなければならない。
    それをシェアリングエコノミーは担えるのだろうか。別の本を読み、考えていきたいと思った。
    続きを読む

    投稿日:2020.11.14

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