【感想】現代経済学の直観的方法

長沼伸一郎 / 講談社
(75件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Die

    Die

    マクロ経済学を直感的に理解できる。
    1章では簡便な例え話でGDPの本質的な理解をうながす。
    中盤で資本主義の宿命を仮想的な装置(燃料を組み上げる装置で、その燃料は自分自身で組み上げる)で説明。
    最終章では縮退という概念を導入し、今後の経済への憂いと希望が書かれている。続きを読む

    投稿日:2024.03.17

  • rafmon

    rafmon

    今まで読んだ経済学の本とアプローチが違う。例え話、思考実験で本質を見抜く。専門用語なしに物事を新たに理解し、脳が再構築される感覚。また、素晴らしい本に出会った。

    序文から、「粋」である。

    歴史や哲学、国際問題に関しては、かなりの読書量を誇っているのに、なぜか経済に関しては教養の空白になってしまっている人が少なくない。また、理系の中にもそういう人が非常に多い。こうした「教養の高い非経済人」を対象にして、本書を書いたと述べる。

    で、金利を払うために、資本主義は成長し続けなければならない宿命。この点から解説が始まる。この解説には感動すら覚える。軍隊の近代化、鉄道による兵站の例え、GPSつきの金貨からアプローチする。

    鉄道による補給革命が起こるまで、軍隊は基本的に現地調達に頼らざるを得ず、そのため軍隊のサイズは敵も味方もその限度において、指揮官の能力や兵の練度・士気を競った。軍隊は鉄道により、総力戦へ。この軍隊における鉄道の役割を経済世界において担ったのが、銀行。実物資本以上のお金を貸し出す事で、増殖していく仕組みができた。

    GPS付き金貨の例は、見事に「国民所得=消費+投資(貯蓄)」のモデルを映し出す。お金の総量が決まっていて、夜に給与が日払い、翌日の昼に食料品を買いにいく夫婦が住む仮想ドーナツ都市。GPSで見ると、朝には、全ての金貨は都市周辺部に存在。昼に都市で買い物するので、この全ての金額は都市に戻る。その金貨を給与として支払い、再び周辺部へ。夫婦が節約すると、金貨は都市と周辺に分かれて存在する事になり、給与も節約した分減る。この節約した金貨は、つまり貯蓄されたわけだが、このままだと経済は衰退。貯蓄が投資に用いられ、還元されていく必要がある。

    中盤でもう一つ感動したのは、経済イデオロギーにおける役者の分類。インフレの場合、資産家階層は、財産の目減りで損。企業家階層は、値上げの転嫁と後追いの賃上げのラグによって得。労働者階層は、上記の裏表で損。これらの利害対立構図のバランスが作用する。尚、デフレにおいて、一番得するのは消費者層。しかし、値下がり期待が買い控えを助長し、社会全体がやかで不況に。最終的に誰も得しない。

    他にも、紙幣の誕生、グローバルサウス問題の本質、仮想通貨、国際通貨にも踏み込む。どれも読み応えがある。そして終盤は、経済発展の矛盾、つまり、幸福指標にまで辿り着く。短期的に欲望について。原始状態では短期的欲望を満たす事に精一杯だが、発展と共に短期的欲望の充足は所与となり、長期的欲望に目が向く。しかし、やがて長期的欲望すら縮退し、テクノロジーはすぐに手が届くように働き始めるのである。

    人間は外面的な幸福それ自体は吸収することができず、人間の心の中で想像力と言う酵素が作用することで初めて吸収できる状態になる。従い、我々にとって皮肉であるとともに重大な事は、欲望や願望に対する制限がなさすぎて、それが物や情報の形で無制限に叶えられてしまうと、想像力という酵素がかえって分泌されなくなってしまうことである。そして、それこそが、現代の不幸の根源だという。

    総体としての不幸のベクトルに対し、個が、いかに向き合うか。お金を使わない生活など、擬似的に楽しむ事も可能。精神的アウトドアブーム、ヒッピーやジプシーみたいな世界観もあるだろうと思うが、何だかゲームや漫画でよくある人類二極化の構図を示唆するようだ。
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    投稿日:2024.02.10

  • sunshine1234

    sunshine1234

    評判どおりとてもわかりやすかった。経済学というより経済的側面からみた社会の成り立ちみたいな話なので、残念ながら資格試験の勉強には使えなさそう。

    投稿日:2023.10.15

  • まさ

    まさ

    マクロ経済
     企業、個人預金、銀行の仕組み
     消費と設備投資は4:1の割合で継続していて、経済が止まることは経済の1/5が止まることである。何かぎトリガーとなって経済が止まったり、加速することでインフレやデフレご起こる。

    ミクロ経済
     需要と供給

    農業経済から工業・商業経済に移ったことで経済が躍進さした。これらは商材の移動させやすさに起因しいてる。重厚長大から軽薄短小へ。日本の得意は車などの重工工業なので、ITなどをいかに輸出できるかが鍵。
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    投稿日:2023.09.24

  • kenisfsan

    kenisfsan

    とにかく話が上手というか、メタファー使って引き込むのが上手い。
    当然直観的理解に全振りのため、正確性少し不安を感じる部分もあるが、その枝葉を捨ててもなお得るもののほうが大きいのではないか。

    気になったのは、伝統的社会は縮退に対応できているのではなく、縮退にたまたま対応できていた社会が残っていただけなのではないかということと、これまでの伝統社会と現代社会というスケールとOSが全く異なるシロモノを同じ土壌で見比べるのが適切なのか?ということ続きを読む

    投稿日:2023.08.24

  • みろ

    みろ

    経済学と聞くだけでとっつきにくい印象を受けるが、うまく噛み砕いて具体例もつかって説明してくれているのでわりと抵抗なく(多少詰まる事もありましたが)スルッと入ってきます。とってもありがたいです。
    ……この本を読む事で確実に経済学に対する苦手意識は減りました。

    何回でも読み返したい一冊です。
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    投稿日:2023.07.30

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